雨に煙る市街を、エッフェル塔から望む。
エッフェル塔に登る頃になると、突然天候が荒れ始め、春の嵐のような激しい雨に襲われた。鉄骨むきだしの展望台には、まともに雨がたたきつけ、とても景色を楽しめる状況ではない。
エッフェル塔の展望台というのは、東京タワーのようにガラス張りの快適な空間ではない。言ってみれば、巨大な物干し台みたいな場所なのだ。
一般的には悪天候をものともしない周りのヨーロッパ人観光客も、為す術無しといった感じで物陰に隠れ、時たま意を決して景色を見に雨の吹き荒れる展望エリアに足を踏み出した。
ものすごい風と、たたきつける雨で、まともに撮れたのはこの1枚だけ。風でカメラがぶれる。カメラを抱えて、手すりにつかまりながら、必死に撮った。
遠くに見えるはずの、ポンヌフ(ポンヌフの恋人、のあの橋)を撮ろうと頑張ったが、まあ、あのあたりだろう、という事ぐらいしか分からなかった。