「エスニック・クレンジング」という言葉を知っているだろうか。
直訳すると、「民族浄化」となる。要は、ある民族を皆殺しにし、根絶やしにすることだ。
根絶やし、ですぐに思い浮かぶのは、第二次世界大戦中に行われたホロコーストかもしれない。しかし、1999年4月現在、ボスニア・ヘルツェゴビナではそういうことがリアルタイムで行われている。
日本人の(この括りは誤りではあるが、他に表現もないので)好きなやり口に、過去の惨禍を心に焼き付けて、同じ過ちを繰り返さないようにしよう、というのがある。僕は、これほどアホらしいことはないと思う。惨禍を焼き付けようが焼き付けまいが、同じ過ちは繰り返される。
日本人の中で、ホロコーストを知らない人はいまい。その単語は知らなくても、(僕は読んだことないが)アンネの日記ぐらいは知っているだろう。でも、知っているだけだ。何の役にもたたない。
惨禍を焼き付けても、そこで思考を停止するのであれば、無駄だ。
EUはコソボ自治州からの難民 10万人を、アメリカ合衆国は 2万人の受け入れを決めた。彼らは、確かに爆撃機で人を焼き殺しているかも知れないが、少しは歴史から学び、その対策を考えている。
日本国は、一人の難民も受け入れないだろう。この国は、もう長いこと思考を停止している。