会社からの帰り道、バス停を降りて雑木林の横を歩いていると、見慣れないものが歩道の上を歩いていた。
蝉の幼虫。
たいてい、夏になると木の幹や、家の壁にその抜け殻だけが張り付いているものだが、羽化直前のものが歩いているのは始めてみた。
なんか、どうみても踏み潰されてしまいそうな雰囲気だった(だって歩道)。何年間かは知らないが、それだけ土の中で暮らして、太陽も見ずに死んでしまうのかと思うと、かわいそうか、、。
一度は通り過ぎたのだが、思わず戻って、摘み上げた。するとやつは、ものすごい力で僕の手を払いのけようとした。なかなか必死なのがわかって、どきっとした。
とりあえず、林にほうり込んで家に帰った。