DVD が発売される。

DVDが発売される。CDサイズで、ビデオが見られる機械だ。視点やストーリーも選べるというのだが、そういう面倒なことをしたいという人は、いないだろう。インタラクティブなソ フトウェアを求める人間が地球上にそう多くはないことは、LaserActiveやCD-Iで実証されているはずだ。そういう方向に市場を求めるのはおじさんたちの勘違いだと思う。

テレビが生まれて、随分時間がたった。この間、人類が操作するボタンの数は、「チャンネル」と「音量」から増えることはなかった。最近になって、よ うやく「早送り」と「再生」が加わったに過ぎない。それを考えれば、DVDプレーヤーの複雑なリモコンを見て、その未来に暗澹たるものを感じるのは自然なことだ。

明日から、世の中のレンタルビデオ屋が全てレンタルDVD屋にとって変わらない限り、DVDの爆発的な普及は望むべくもない。デジタル高画質はいいが、誰も画質なんて気にしていない。画質も糞もない3本1パック500円のビデオテープは、スーパーの売れ筋商品なのだ。

みんなが欲しがっているのは、安くて小さくて録画ができるCDだと思うのだが、そういう肝心な商品はつくられない。つくれるのに。

なんにしても、録画可能なDVDがでたときに、本当の勝負が始まる。しかし、「良いものが勝つ」という論理が、全く通用しないのが明白である以上、その高性能に頼るのではなくて、コストパフォーマンスとサービスで普及を目指すしかない。FM放送が発明されたとき、AMは廃れると思われた。その結果はどうだったのか、ということだ。

ただ、俺の持ってるLaserDiskはもう終わったらしいということは確かだ。

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