「ぷくぷくぷく」
「サワガニさんですね、この石のあたりに住んでるんですか」
「ここで生まれたんだよ、ずっとここに居るよ」
「どうですか、この辺は」
「いいよ。いつだって涼しいし、お前らの言うカニミソもヒンヤリして良い気分なんだ。」
「苔も水も綺麗で、暮らしやすそうですね」
「でもな、足許には気をつけろよ、足を滑らせた人間に、仲間が踏まれるんだよ」
「そういえば、さっき潰されたカニを見た気が」
「だろ、、くれぐれも足許に気をつけてな。。」
写真と紀行文
「ぷくぷくぷく」
「サワガニさんですね、この石のあたりに住んでるんですか」
「ここで生まれたんだよ、ずっとここに居るよ」
「どうですか、この辺は」
「いいよ。いつだって涼しいし、お前らの言うカニミソもヒンヤリして良い気分なんだ。」
「苔も水も綺麗で、暮らしやすそうですね」
「でもな、足許には気をつけろよ、足を滑らせた人間に、仲間が踏まれるんだよ」
「そういえば、さっき潰されたカニを見た気が」
「だろ、、くれぐれも足許に気をつけてな。。」
虎ノ門ヒルズは、虎ノ門駅から歩いてずいぶん遠かったし、狙って作りました感の凄さに、ただただ感じ入るばかりだ。仕事でなければ絶対、近寄らないな。
でも、トラえもんは見ないといけない。
仕事が片づいて、お昼はここで食べていきましょうかという事になる。ちょうど、トラえもんを発見して、その近所の店に入る。メニューはどれも意識高めで、食べ終わった瞬間に腹が減りそうなものばかり。でも、どうせなら一番意識が高そうな、野菜たっぷりカレーにしてみる。
見た目の意識の高さ感、半端ない。というか、見た目を楽しまずに、このカレーにこの値段をどうして出せるだろうか。なんでライムが乗っかっているのか。なぜ鰹節が付いてくるのか。意識が高すぎて、僕には理解できなかった。ただ、ある意味、見た目より美味しかった。
ソファにゆったり座って、鷹揚に遠くからトラえもんを眺めていると、それはそれはたいした人気で、観光客が引きも切らない。専属の警備員が付いていて、尻尾のスイッチを試したりする不届き者が出ないように、見張っている。開館時間はずっと人を付けているのだろうか。それとも、時間が来たらトラえもんは帰ってしまうのだろうか。
この店は、調べてみれば above GRILL & BAR というらしく、店名からしてそもそも意識が高かった、恐れ入った。そういえば、店の名前を調べていて知ったのだが、トラえもんはトラえもんではなくて、トラのもんという名前だった。
みんな、トラえもんって言っていたが。
「こんにちは。ちょっとよろしいですか。」
と、IM が入る。マレーシアで一緒になった、北京の人だった。
「私、会社を辞めてアメリカに移住します。」
移住?留学とかではなく??
日本の地方都市をちゃんと巡る、というのは面白いだろうな、と最近思う。下手に海外に行くよりも、高くついてしまうけれど、ネイティブの視線でより深く見られる。
地方に行くと、その地域で完結する世界がある気がする。ここで一生を送っていく人は、どんな気持ちと、どんな思いで、その人生を選択したのだろうか。
東京に戻れば、それは首都という一つ上のクラスタになる。上というのは上等・下等の意味で言っているのでは、もちろん無い。僕はそこで少しの疑問を抱きながら、生活をしている。これから先も、このままこのクラスタに居る、恐らく、自信は無いが。
もう少しクラスタを上げて行くと、いまや日本もアジアのクラスタの一員に過ぎない。過ぎなくなりつつある、といった方がいいだろうか。アジアのクラスタの上の方はどこだろう。
日本と、中国と、シンガポールあたりが争っている感じか。それからインドか。
アジアのクラスタを上げると、欧米になるのだろうか。そこで冒頭の彼女のことを思い出す。中国から、一気にアメリカに移住か。華僑は世界中いたるところに住んでいる。中国人の、そういう根っこをほかに移してしまう思い切りには感心する。
もの凄く真剣で、切実に、クラスタを移ろうと努力したのだろう。僕は、彼女の努力を、なんとなく感じていて、アメリカに移住するという IM にもあまり驚かなかった。
彼女の位置から見ると、僕は世界の一地方のクラスタに安住しようとしている人間に見えるんだろう。それは、あるていど気楽で、可能性の決まった世界だ。
google翻訳を使って、「よい旅を」と北京語で返した。