ピカピカスーツのクソ野郎

社会人が守るべきスーツの基本10。みたいな記事を、季節柄よく目にする。仕事のできるできないの判断は見た目が全て、まあ、そういうのは分かり易い。


スーツネイティブな欧米人の、それも VP とか役職の高い、その中でも「ある種の」人間を間近で見ると、一目で凄くいいものを着てるな、というのが分かる。真っ白のただのシャツだって、シワ1つ無くフワリと着ている。

そんな彼らを、僕は内心「ピカピカスーツのクソ野郎」と呼んでいる。これは僕の偏見だが、見事なスーツで、ピッカピカの格好をしているやつは、政治屋ビジネスマンだ。彼らは自分のキャリアとポジションしか考えない。その歪んだ努力と下らない誇りとが、ピッカピカになって見えているのだと、僕は感じる。


昔、僕がまだ社会人になったばかりの頃、社食の隅の簡素なテーブルで、もぐもぐ定食を食べている社長(日本の Country Manager だ)を見て、とても尊敬したし、そういう会社で働くことを嬉しく思った。スーツがどうだったかは覚えていないけれど、別に全然ピカピカじゃなかったと思う。

あるセミナーで、たまたまエリック・シュミットが現れて、ひとしきり喋っていった事があった。ざっくりしたシャツと、チノパンだった。ピッカピカではないけれど、すげーなと思った。

情熱の向いている方向、っていうのがあるのだろう。何かを食い物にしようという情熱は、スーツをよりピカピカに仕上げるのかもしれない。

香港2011年

Nathan Road, Hong Kong

Photo: “Nathan Road” 2011. Hong Kong, Apple iPhone 3GS, F2.8/37.

香港便。結局、退屈しきったので、PCを取り出して、文章を打ち始めた。

香港。それが中国という意味であれば、僕は中国には行ったことがある。しかし、そもそも通貨が異なる。中国行きの、ましてコードシェアであれば、それなりにアジアな喧噪を想像したが、そうでもない。中国本土行きに比べれば、乗客の民度というかお行儀は格段に良い。持ち込む荷物の量も少ないし、席を隔てたおしゃべりもあまりない。本土と香港は一つの国だとは言っても、租借の期間に歩んだ道のりの差異が、そういう所にも出ているのだと思う。もちろん、隣に座った香港人はヘッドフォンを付けず、大音量で iPhone で撮影した日本滞在中の動画を鑑賞している。

それも、まあ、そういうもんだろうと思うのは、僕が少しアジア圏のスタンダードに慣れたからなのかもしれない。


朝は、いつものように、少し早めの空港行きのバスに急いで乗った。こういうのは、勢いが大事で、迷っていたら永遠に荷造りなんて出来ない。バスの一番前の席に座って、曇り空の一日が明けていくのを眺める。毎日、日本から旅立つ人と、海外から降り立つ人を、運びつつけている運転手は、どんな気分でいるのだろう、という、いつもの疑問を頭の中で転がしながら、前を見つめる。

幕張を過ぎたあたりで、高速道路沿いにぼた山が見えてくる。厳密にはそう呼ばれるものでは無いのかもしれないが、僕のイメージではそれはぼた山だ。ただの建設残土の塊だった山に、数年で樹木が生えて、いまは少し山っぽくなってきた。張りぼてのミラコスタの壁を眺め、グランドオープンと書かれた、眩しい照明看板を掲げるラブホテル(午前6時だ)を通り過ぎ、一面の水田とそびえるゴミ焼却場。

誰だ、成田に空港を作ろうと考えたのは。

(震災前の文章)

笑ってはいけない

笑ってはいけない、を見ている。もう、最近のは笑ってはいけない前に、笑えないけれど、豆絞り隊だけは見なくてはいけない。

少し前。すき焼きをつつきながら、シンガポール人と話していた。

「お前は、Japanese comic showを知っているか?」

と訊かれる。なんの事だろう?日本の有名なテレビというが、そんな名前の番組、知らない。


「Don’t laughだ」

ん?んん?それはもしかして、

「笑ってはいけない」

の事だろうか。笑うと、バットで殴られるやつ。そう、それか。そういうジャンルの番組って、ものすごく日本オリジナルらしい。あの笑いが分かるのか。でもって、Youは肉を生卵にからめて食べられるのか。

外国人と親しくなるのが、だいぶ苦手だったが、彼とはその後、けっこう仲良くなった。