「我が心は IC にあらず」

「今のところは、もっぱら深夜の受話器や同好会のサークルノートにたたきつけられている、青春の情熱 や個人的な愚痴や妄想や表現欲求が、大量に出版され、あるいは電話回線を通じて不特定多数の読者に向かってバラまかれるのだとしたら、これは相当に鬱陶し いことになるに違いない。*1」

と、小田嶋隆が書いてから約 15年。予想通り、事態は相当に鬱陶しい事になっている。電話回線どころか 100Mbps の光回線に乗って、億千の繰り言が目前のディスプレイまでやってくる。


僕はまた、小田嶋隆の「我が心は IC にあらず」を読んでいた。

何度読んでも、面白い。コンピュータという産業自体が、まだまだヤクザだった黎明の時代。そんな時代に、20代フリーランスのテクニカルライターが 紡いだ文章は、15年の時を経てなお、面白く、そして振り返ってみれば、たくさん正しかった。小田嶋隆の文章は、かつての本の時代にあって、今の web のような独特の「近さ」みたいなものを持っていたのであって、間違いなく新しかったのだ。

ついぞ考えた事がなかったのだが、今、インターネットには、小田嶋隆のホームページというものが存在する。15年前のこの本の上に固定されていた小 田嶋隆というテクニカルライターは、現実の世界で、それだけの歳をとって、やはり存在していた。google で簡単に探しだしたそのページを訪れるということは、僕にとってあまりにも奇妙な体験だった。


小田嶋隆はあまり変わっていなかった。偉くなってもいなかったし、書いていることは相変わらずだった。それは、喜ばしいことではあったが、僕をなん ともやるせない気分にもした。向こう見ずな 20代の小田嶋隆が、いきなり、40代子持ちの小田嶋隆になり、そしてあいかわらず文章を書いていた。

彼が書いたあまりにも正しい約 15年前の文章。そして、きっちりその分だけ歳をとって突然目前に現れた小田嶋隆。ノスタルジーではない。彼自身が予見したテクノロジーが生み出した、軽い、衝撃。

*1 我が心は IC にあらず、小田嶋隆、1988年,  ビー エヌ エヌ。(絶版)

太陽の塔、の裏

20040921-mark189.jpg「太陽の塔には3つの顔をつけた」
テレビのインタビューで岡本太郎がそう言っていた。おかしい、太陽の塔ぐらいは知っているのだが、あれって真ん中とてっぺんに1つずつ顔(のようなもの)が付いてるんじゃなかったか。
真実を確かめるチャンスは思ったよりはやく巡ってきて、数日後に訪れた岡本太郎記念館の2階に、太陽の塔の模型が鎮座していた。
うーん。どう見ても2つだ。ゲイジュツという視点から見ると、3つなのか??ワカラン。
答えは簡単だった。何気なく後ろ姿をみると、、。
そういえば、太陽の塔の後ろ姿なんて考えたこともなかった。やられた感じ。しかも、これって34年も前の作品だ。
「調和」をテーマにした万博で、太郎のデザインを採用することには大きな反発があったそうだ。でも、調和というのは、真剣にぶつかった後にしか生まれない。だから、おもいっきり変わったのを作った。34年たっても、相変わらず変わってるんだからすごい。

IPキッチン実況

20040920-DSC00204.jpg今から、プチ氏とIP電話で交信しながら、こちらの指示に従って料理をつくってもらいます。こちらに伝わってくる情報はIP電話のみ、何ができあがるかは未だ不明です。
今日の特選食材は、おから(半年冷凍モノ)です。
まずはレシピをgoogleで引きます。「おから料理」で引いて、一番上に来たモノをつくります。食材はキッチンスタジアム内にあるものを自由に使えます。
では、googleを引いてみましょう。
google→おから料理
本日の料理は、「卯の花の炒り煮」に決定です。
では、料理スタート。

★キッチンスタジアム内の食材
キッチンスタジアム内には以下のような充実した食材が準備されています。(これしかない、とも言う)
卯の花(冷凍モノ) 賞味期限2003/6/8 39円
九州で買った鰹のふりかけ
スモークサーモン切り落とし(臭い)賞味期限 2004/9/9
自家製ネバネバ(生もの、3ヶ月前に製造)
イカ徳利 賞味期限 消えてる
やわらぎ(ニセモノ)
さしみこんにゃく(酢味噌付き) 2004/8/15製造
岩のり
フルーチェ
コーンフレーク
味付けのり
うどん
スパゲッティー
茎若布
枝豆(冷凍モノ)
干し貝紐
高級豆腐 賞味期限 2004/9/15
餃子
★進行状況
指示1:卯の花の炒り煮をつくってください
指示2:具は、できるだけ沢山入れる方向でお願いします。
・材料の準備
おから解凍中。(ラテラルサイトレーナーでトレーニングしながら待ちます)
解凍を待ちながら、その他の具を準備します。
ざるを洗い、枝豆を解凍。(→水解凍)
・炒る
鍋にオリーブオイルを投入します。(→煙が出ている模様)
刺身こんにゃくを準備します。オリーブオイルで炒めます。
穂先メンマやわらぎ(ニセモノ)を投入します。
・乾物系の準備
乾物を戻します。(スライス椎茸、茎若布、干し貝紐)
指示3:イカ徳利を入れて下さい。
指示4:乾物は電子レンジでちゃっちゃか戻して下さい。(味の素のサイトに書いてあったらだいじょうぶ)
乾物が煮えたようです。
シェフからのコメント「古民家の匂いがする!」
・炒めていきます
枝豆を入れます(→多すぎる模様)
戻し汁ごと乾物を入れます
昆布だし(のもとスティック)を投入します。
おからを投入します。(ちょっと凍ってる、黄色くなってるらしい)
シェフからの報告「量的に作りすぎになってきているようです。」
指示5:鰹ふりかけを入れて味を整えて下さい。
・さらに炒めます
豆腐投入。
スモークサーモン投入。(→赤い彩りが加わりました)
状況→鍋の中から、豚の飼料(組合モノ)の臭いがするようです。
できあがり。味は、まあまあ、でも家畜臭い。ちょっとぱさぱさしている。敗因*スモークサーモンの投入。及び、おからが旧い。
指示6:黒霧島(芋焼酎)を入れて臭いを消して下さい
→事態は良くなった模様。割と喰えるようになった。臭いが抑えられた。しっとりして、喰えるようになった。
ゴマ油投入。
指示7:健康のために黒酢を入れて下さい
黒酢を投入。
シェフからのコメント「やっぱり食材の関係をまとめるのも、人間関係をまとめるのも、酒なんですかね」
味の素投入。
20040920-DSC00208.jpg
指示8:食べてみて下さい
シェフからのコメント「味はまぁまぁです、強いて言えば甘みが足りない」
指示9:コーンフレークで甘みを足して下さい
シェフからのコメント「トウモロコシが入って飼料っぽくなった。ちょっとまるくなった。まだ、甘さが足りない」
クリープ投入(→ダマダマになっているらしい)
ちなみに、なんやかんやで、ここまでで1時間が経過。
シェフからのコメント「なんやかんやで、まとまりました」
指示10:じゃあそれを今日中に食べきってください
シェフからのコメント「えーーーーーーーーーーーっ!」