麻植(おえ)胃腸科

Photo: 麻植(おえ)胃腸科 2000. Shimanto, Japan, Nikon F100, AF Nikkor 35-105mm F3.5-4.5D, Kodak GC 400-6.

Photo: "麻植(おえ)胃腸科" 2000. Shimanto, Japan, Nikon F100, AF Nikkor 35-105mm F3.5-4.5D, Kodak GC 400-6.

「駐車券用に、なんか 1,000円分買ってくれないか」

wii を探し回って(僕が買うわけではない)たどり着いた、深夜のドンキホーテで友人はそう切り出した。なるほど、それならば、と、即決したのが、みうらじゅん ファースト写真集「アイノカテゴリー」だ。別に、みうらじゅんのセクシーショットが沢山載っているわけではない。みうらじゅんが長年撮り溜めたみうらじゅ ん的写真を集めた写真集だ。

「いや、別に無理して買わなくていいよ。っていうか、本気で買うのか」

本気だ。人っ子一人いない真夏のサイン会場で、じっと客待ちをするグーグーガンモ。旅館の?ご一行様の看板に書かれた「歓迎 もういい会様」の文字。好きな人には、たまらない。


僕は今、自分が撮ってきた写真を、全部スキャンして、デジタル化するという、とても気の遠くなることをやっている。で、そういう下らないことに対す る持続力はある方なので、3,000枚ぐらいまでスキャンした。その中で、かなりみうらじゅん的ショットと思われるものがあった。

「麻植(おえ)胃腸科」

四万十川を上ったときに、なんとなく撮ったような気がしないでもない。胃のあたりがムカムカした時に診てもらうと、きっと良くなりそうな予 感がする。写真をよく見ると、埃の上に「フフフ、、、」と落書きがしてある。この忍び笑いの落書きが、この看板を一層、心穏やかなものにしていると言えよ う。

松屋とよしのや

Photo: よしのや 2007. Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: "よしのや" 2007. Japan, Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

降りたことのない駅は沢山あって、この日僕が降りたのも、初めてのプラットフォーム、初めての階段、初めての改札口。


商店街を進んでいくと、どこの街にでもある松屋が。そして、その向かいには、「よしのや」の看板。でも、ここは居酒屋さんなのだ。

「恩というものは受けた人に戻らないで次の人へつながっていくもの」

僕が読んでいるサイトの中で、いつも、これは凄いなぁと思う言葉が載っているサイトがある。

デザイナーの人のサイトなのだけれど、この人の言葉って凄い気がする。何度か、勉強会みないなものに参加させてもらったことが有ったのだけれど、彼の作るカタチの凄さみたいなのは、正直僕は専門外なのでよく分からなかったのだが、話される言葉が凄いと思った。

そのサイトに、ちょっと前に載っていた言葉。


「恩というものは受けた人に戻らないで次の人へつながっていくもの」

そうなのかなぁと思う。僕を支えてくれた、僕を成長させてくれた、あるいは、僕のためにいろんな犠牲を払ってくれた、そういう人に、僕は多分なにも 返すことができないのかなと思う。でも、そうして他の人に、僕が繋がっていくことができるんだとしたら、それは許されるんだろうか。

注:Michio Akita, Information Lff. 現在のサイトでは引用元を発見できず。