理解できないセンテンス

ある評論家が言っていた。「本の中には、必ず理解できないセンテンスがある。理解できないものを恐れてはならない。それが、自分を成長させてくれるのだ」

文章を書くということは、本来書けないこと、分かっていないことに近づくために書くのだ。そうやって、試行錯誤を繰り返して書くと、最初に書いた文 章が、最後には一段落も残らないことだってある。途中で行き場がなくなって、何ヶ月もそのままになることだってある。しかし、文章が出来上がったとき、何 か新しいことを手にする。

文章の出来・不出来は、自分では直ぐに分からない。例えば、何年も前の自分の文章を読んでみて、ああ、この時は苦しかったけれど、今見るといい出来だな、と思う事が、たまにはある。

でも、ここ数回のはいまいち、、だねぇ。

ニャーニャニャニャーニャ

深夜。ディスプレイを睨み付けながら、まったく進まないプレゼンテーションのスライド作り。カーソルが、画面の上を、行ったり来たりしている。頭が オーバーヒートした感じというのは、こんな時のこと。2リットル入りの、ミネラルウォーターのボトルから、ドボドボついで、飲んでみる。胃は息を吹き返す けれど、頭まではすっきりしない。ううう。明日使うんだよな、この資料。つーか、あと20分で明日だが、、。ううう。

そんな時、僕の中で何故か鳴り始めるテーマ。

ニャニャニャニャニャーニャニャ、ニャーニャニャニャーニャ
ニャニャニャニャニャーニャニャ、ニャーニャニャニャーー

ニャニャニャニャニャーニャニャ、ニャーニャニャニャーニャ
ニャニャニャニャニャーニャニャ、ニャーニャニャニャーー
(一昔前、ダウンタウンの松本が歌ってたやつ)

近頃、頭の中から、この曲が消えない。しかも、振り付き。

都庁の周りを掃除しているキレイなお姉さん

全国500人の、「都庁の周りを掃除しているキレイなお姉さんファン」の皆さんこんにちは。羊ページです。


都庁の周辺の清掃作業は、当然ながら、専門の業者が外注で行っている。彼らは、蝉がジージーうなる真夏から、ビル風が容赦なく吹き付ける真冬まで、 毎日のように都庁の通路や、中央公園につながる陸橋など、あらゆる部分を掃除している。メンバーは、約6名。ほとんどが、30 – 40代の男性だ。しかし、そのライトブルーの作業着をまとった掃除集団の中に、一人だけ、「お姉さん」がいる。しかも、「キレイなお姉さん」が。

実際、「都庁の周りを掃除しているキレイなお姉さん」というのは、新宿都庁近辺に働く男子であれば、おそらくは誰しもがチェック済なのではないかと 思う。周りの人間に聞いてみても、「ああ、あの人でしょ」と答えが返ってくる。午前11時のフレックスタイム限界時間にさえ、ダッシュしないと間に合わな いような生活をしている人びとが、皆、彼女の事を知っているのだ。よく見てるというか、それぐらい目立つのだ。


さて、ここでポイントなのは、多分、「都庁の周りを掃除している清掃員」という点だと思う。最近は増えてきたといっても、若い女性の清掃員というの は、割と珍しい。というか、率直に言って、なんとなくミスマッチな感じがする。そして、そういうイメージとのギャップというのは、人の興味を惹くものだ。 ジャガーショールームの受け付け嬢。それよりは、タコ焼き屋台の女亭主とか、スキー場の宿の看板娘とか、なんかそういう方が、いい感じがする。

ところで、僕はその「お姉さん」と毎日会うのかというと、実はそんなこともない。業者が清掃している場所は日によって異なるし、僕の出勤時間や出勤 コースは極めて気まぐれだ。だから、月に数回、出くわせばよい方だと思う。それだけに、彼女に会うと、割と得した気分になる。ビル風は強く冷たく、水は手 を切るような冷たさ。そんな冬の早朝に、彼女が一生懸命手すりを磨いている光景は、なんとなく感動的ですらある。(横で同じ作業をしているオヤジは、なん とも思わないんだけどさ)


確か、1ヶ月ぐらい前のことだったと思う。その日は、丁度中央公園陸橋の洗浄日。橋の上では、例の業者が、機械を使って床を磨いている。と、向こう 側から、作業を中断して、彼女が歩いてくるではないか。実は、僕はちゃんと彼女の顔を見たことがなかった。彼女は、いつも帽子を目深に被っているし、敷石 なんかを清掃しているから、ずっと俯きっぱなしなのだ。

すれ違ったとき、僕はどきっとした。顔を上げた彼女を、僕は初めてはっきりと見た。そして、その瞳には、なんと一杯の涙が浮かんでいたのだ。当然、 僕が声をかける筋合いではなく、僕たちは数秒ですれ違った。この瞬間、彼女と僕の距離は近くても、互いに何の繋がりもないのだ。僕は、床を磨いている、清 掃業者の他のメンバーをよけつつ、橋を渡り終えた。あの涙は、、。

まあ、洗剤が目に入ったんだろうけどね。

注:ジャガーショールーム及び、ジャガーショールーム勤務の方に対して、なんら悪意はありません。第一、行ったことないので、よく分かりません。