マックでバイトしたい上司

Photo: “Big Mac accelerator.” 2025. Tokyo, Japan, Apple iPhone 14 Pro Max.
Photo: “Big Mac accelerator.” 2025. Tokyo, Japan, Apple iPhone 14 Pro Max.

世に知られた外資でマネジメントをしている人が、副業としてマックでバイトをしたいと口走っているらしい。そして、面接を受けてきたらしい。

機械的なインタラクションだけをしていたい。ディシジョンしたくない。指示待ちだけしていたい。間違っても、バイトクルーのリーダーになってなりたくない。クリエイティビティー?不要。その気持ちは、しみじみ分かる。僕だって、ラッキングして、インストールするみたいな仕事がしたいと言うと、冗談だと思われる。でも、別にそれほど冗談でも無いのだ。

よかれと思って、偉い人々に選択肢を提示するのは、たいてい、裏目に出る。決断する事に疲れているのだ。落とし込みたい結論と、妥当性のあるエビデンスと、ちょっとした質問をさせる遊びの用意。そうあるべきだ。


それはさておき、スーパーで売っているハインツのアレ。ビックマックをよりアクセラレートできるのではないか。ビックマックを分解して、アレを山盛りかける。その味わいは、確かに期待に応えるものだった。(飽きる)

今半

Photo: “Sashimi dish at Imahan.” 2024. Tokyo, Japan, Apple iPhone 14 Pro Max.
Photo: “Sashimi dish at Imahan.” 2024. Tokyo, Japan, Apple iPhone 14 Pro Max.

ちゃんとしたものを食べよう、そういう事で企画をして、不定期に有志3名が集う。万札を握りしめて、一度は行ってみようという名店を訪れるのだ。

人形町今半は、東京の人には割と馴染みのある店名だと思う。弁当なんかは、ちょっと景気の良いミーティングなんかでお目にかかったりする。しかし、本店の夜ともなれば、昨今は予約もずいぶん先まで埋まっている。個室のみで焼きの担当が付くわけで、そもそもキャパに限りが有るのだ。

さて、予約はどのコースにしましょうということで、刺身も付いた一番高いヤツにしよう、という事になった。正直、別に今半で刺身を食わなくても、とは思ったが、ここは後輩に従ってみようと思う。僕にも、そういう気分が湧くようになったのだ。


果たして、先付けの器も驚いたが、刺身の盛り付けも大変美しかった。海老も鮪も、そして器も昭和の時代から抜け出てきたような、朱の美しさだ。日本料理を食べる嬉しさは、こういう所にあるんだと思う。コスパとか、タイパとか、何に対してのPerformaceを求めているのか。世界にちゃんとしたものは、やっぱり必要で、ちゃんとしたものを作るのは手間と時間と、つまり金がかかる。

〆の挨拶、お願いできますか。

忘年会的色の濃厚なディナーで、僕は何のプレッシャーも無く、白身魚のカルパッチョなどを食べていた訳だが、いきなり耳元でそう言われて、ええっ、という気分になった。いや、他に居るでしょういろいろ。

「この場での役職最高位なので、、」

えー、そうなの。。


ついにそんなことになってしまったか、と思ったその時から5年半ほどの年月が過ぎた。空疎なスピーチを(なるべく短く)することにも、慣れた、いや、慣れない。形式のばかばかしさも、形式の安心感も両方分かるようにはなった。それでも、そういう茶番は他の誰かにお願いしたい。そういう気分は、何年経っても変わらないのだ。