人は何によって世界を把握するか

Photo: rose 2005. Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: "rose" 2005. Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

人が何によって世界を把握するかというと、五感なのであって、その中で取分け何に重きを置いているか、何に傾いているかというのは人それぞれだ。


僕はそれを嗅覚に頼っている。そのことには最近気がついた。羊ページを検索してみると、僕はこの 10年で 29回の「匂い」という言葉を使い、22回の「香り」という言葉を使っている。

匂いが表現できるメディアは、ほぼ文章だけ、だと思う。だから、僕が表現の手段として、画を描くわけでもなく、歌を歌うわけでもなく、文字を選んだのは、そいういうこともあるのかもしれない。

10周年。

Photo: ハート 2005. Sony Cyber-shot U40, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "ハート" 2005. Sony Cyber-shot U40, 5mm(33mm)/F2.8

朝起きて、なんとなく日付を見ていたが、さっき突然気がついた。今日は羊ページの誕生日で、しかも、10回目の誕生日。10周年。

コンピュータの上、というとても不安定な場所で、10年続けることが出来たのは意外。あるいは、こういう場所だから、10年続けることができたのかもしれない。自分の興味のあることを自由に追求できる、その風穴みたいなものが、とても大事なんだと感じる。


このページを読みに来てくれた全ての人に、10年間ありがとうございました。

これからも羊ページをよろしくお願いします。

干物屋をひやかす

Photo: 梭子魚 2006. Atami, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

Photo: "梭子魚" 2006. Atami, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

熱海の街を歩いて、干物屋をひやかすのは面白い。


店の作りはどれもよく似ていて、軒先には人寄せを兼ねた干し台があり、奥にこぢんまりとした入れ込みのような休憩所がつくってある。練炭を入れた七輪で、干物を炙って食べる趣向だ。

干物の他にも、蛸の塩辛や、鯑の山葵漬、若布のふりかけなんかが並んでいるが、よくよく見ると、これって箱根でも売ってたよな、というのもあったりする。もっとも、そういうのをあえて買う愉しみ、みたいなものは確かにある。


それにしても、干物というのは、色とりどり魚が盛られていて、しかも、もうあとは炙って食べるばかりという訳で、つい、あれもこれも欲しくなる。特にこの棚。梭子魚のピンと張った尻尾と、飴色の身は、とても美しくて、日本の食べ物の綺麗さに息を飲む。温泉町の土産物屋で、こんなものが買えるのだ。

結局僕は、ここでは何も買わないで出た。かまぼこか何かを、買っていたのも居たな。