電力事業というのは、第一に安定供給。必要な量を、確実に供給すること。それが全てだ。在庫切れは、許されない。
さて、風力とか太陽光線とか、そういう「クリーンエネルギー」というのは、まだまだ安定供給のニーズを満たせない。エコロジーブームに乗って、注目 されてはいる。でも、実際に電力需要を賄えるわけではない。言ってみれば、電力会社の客寄せパンダみたいなものだ。しかし、最初は電気そのものがサーカス の見せ物であり、客寄せのためのアトラクションだったことを思い出した方がいいだろう。
目の前に巨大なプロペラ、ここはカリフォルニアではない。鹿島の海辺には、デンマーク製の風力発電機が2基建っている。目を開けるのが辛いほどの潮 風に、直径48mの羽根が、ゆっくりと回る。流体力学と軽量化素材の進歩が生んだ構造物。風力発電にかけては、北欧勢が強い。フィヨルド周辺の過酷な自然 環境は、言ってみれば豊富なエネルギー源であり、その利用にかけては一歩先んじている。
そもそも、風車は3000年の歴史を持ち、人類にとっての古馴染みだ。そのお馴染みのテクノロジーが、再び人類の生活を支える日が来るかもしれない。