プライベート・ライアン

今年、もっとも面白かった映画は、おそらく(僕は見ていないのだけれど)タイタニックだろう。特に、その高い特殊効果技術は、各メディアで繰り返し 取り上げられていた。(もっとも、映画タイタニックのCGを支えたDECが、今年永遠に消えてしまったのはなんとも皮肉な話だ。)

しかし、タイタニックの陰に隠れて目立たなかったとはいえ、タイタニックを越える特殊効果技術賞をあげたい作品がある。それは「プライベート・ライアン」。

この映画、筋立てはなにもない。一応あるが、あまり関係ない。

この映画の最大の売りは、未だかつてなかったリアルな「戦場」だ。


爆音、衝撃波、圧倒的な残酷。この映画の思い切りのよい点は、戦場の再現にのみ集中し、反戦とか人間ドラマとか、そういう押しつけがましい要素が何 一つない(描くのに失敗しているだけかもしれないが)点にある。戦闘では、人間が飛び散るし、着弾音が劇場を揺るがす。はんぱない。特殊効果の存在を感じ させない丁寧な作りも好感が持てる。

ライアンを見た後に食事をするのはかなりきつくなること請け合い。目を背けたくなる光景も続出で、ホラー映画なんてかわいいものだ。

で、確かにきつい映画ではあるのだが、不思議としばらくしてショックから立ち直ると、もう一度見たくなる。怖いモノ見たさというか、ジェットコースターのようなものなのかもしれない。

ちなみに、似たような話題作にアルマゲドンというのがあるが、あの映画の良い部分は全て予告CMの中に凝縮されているので、特に劇場まで行く必要はない。(あそこしか見るところがない)

違和感(あるいは微笑ましさ)

ワインが、またブームだ。

僕は、ブームなものは苦手だ。お店で、店頭に並んでいるワインに、視線を注ぐのだって、恥ずかしい。「ああ、あの人もブームに流されちゃってる人なのね」と哀れまれるのではないかと思ってしまう。

だから、酒屋の店頭で季節モノのボジョレー・ヌーボーを買うなんてことは、できない。


でもたまたま、飲む機会に恵まれた(別にはやっているモノはキライではない)。

味がどうこう、というような話は、はっきりいって「ワカラン」というのが感想。やっぱり、物心つく前から、水代わりにワインを飲むような文化で育たないと、ワインの味なんてわかるものではないと思う。

日本人がワインを飲んで、あーだこーだ言っている風景というのは、それこそ、あちらの人々から見ればカリフォルニア巻きを食べながら、日本の詫び寂びをかたり合うフランス人のような違和感(あるいは微笑ましさ)があるに違いない。

でも、そういう風景が悪いのかというと、決してそんなことはない。細かいことはどうでもいいから、なんか飲んでみようよ、とか、そういう軽さはいいと思う。

ホントに不景気

「不景気」という単語の意味は、自分が子供の頃にはよく分からなかったけれど、社会に出て、自分で働いてみると、よく分かる。

ホントに不景気。

でも、自分のことや、家族のことをちゃんと考えようとしている人が増えているような気もする。いい加減にいろんなことをやり過ごせた時代は終わって、もっと真剣に人に向き合わなきゃならないような空気がある。

そういうのは、僕にとっては少し好ましい。

いろんな矛盾が金と勢いで片づけられた時代は終わって、新しい空気が生まれているような気がする。