紺碧

Photo: 2004. Miyazaki, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Vario-Sonnar T* 35-135mm/F3.3-4.5(MM), Kodak EB-3

Photo: 2004. Miyazaki, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Vario-Sonnar T* 35-135mm/F3.3-4.5(MM), Kodak EB-3

旅に出ると、いいなぁと思う一枚が撮れることがある。それって、その時の自分の気分とかが大事な気がする。

あまり打算的に撮ると、ろくなものにならなくて、ベタベタな言い方をするとあまり考えずに素直に撮った方がいい結果になる気がする。

(おもしろいことに、買ったばかりの慣れないカメラで機材に振り回されながら撮ると、意外とよく撮れる。上手く撮ろうと考えない、それが大事なんだろう)


起き抜けに、カメラを構えて適当に近くの海岸を撮った写真。今回の旅で僕が一番気に入った写真は、(まあ、ただの海岸線ではあるのだが)なんとなく湿った朝の気配を含んで、夏の雲が輝いていた。こんな写真とったかなぁ、というような、そんな思いで眺める。

どうやったら良い写真が撮れるの?ということをたまに聞かれるが、やっぱりそれは沢山シャッターを切ることなんじゃないか。で、意外とどんな風に撮ったかも覚えてないような、そんな何気ないタイミングの写真こそ、現像からあがってきたポジを見て、えらくビックリするいい一枚になっている。

自分がつくりだしたものを、ちょっと嬉しく思う。自分の気持ちを含んだものが、形としてできあがってくる。そういうのは、やっぱり良い。

こちらはシェラトンのバイキング

Photo: シェラトン朝食バイキング 2004. Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "シェラトン朝食バイキング" 2004. Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

こちらは、シーガイアのシェラトンのバイキング。こういうのって、魚の善し悪しで分かってしまうものだけれど、ここのは美味しい。

香の物もきちんとしている。卵焼きもしっかり。確か、正規で食べると2,500円ぐらいするのだが、ホテルの朝食としてはCPは高いか。つい取りすぎてしまうので、努めて控えめに控えめに。

それにしても、ここのレストランの選択肢って、、。地元の人曰く

「あそこはレストランがダメ」

だそうで。朝飯はともかく、確かに夜はあんまり。

お詫びのディナー

Photo: カレーと焼きそば 2004. Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "カレーと焼きそば" 2004. Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

一連の騒ぎで、入港は 3時間遅れた。日没は近いが、いっこうに着かない。宿も決まっていない。「船長のお詫びのディナーは無いのか?」と冗談で言っていると、無償の晩ご飯が出ると言うアナウンス。そんな話をしていたタイミングだったので、凄い勢いで食堂に行く。

カレーと焼きそばが出た。ちゃんとレタスのサラダも付いている。具とかはあんまりなかったけれど、僕の好きなチープな味の焼きそばだったし、緊張感の続いた後で夕日を見ながら食べると、美味に感じた。なんかタダで食べるのも申し訳ないので、せめてビールを買って飲む。

乗る前は、フェリーって「船酔いするんじゃないか?」と思って恐かったのだが、そんなことは全くなかった。乗船後、最初はこわごわビールを飲んでみたが、気分は悪くならない。しまいには、売店で売られていた黒霧島(焼酎)を飲んでみたりしたが、大丈夫だった。


そういえば、一連の転落・救出・ヘリ来る、その大騒ぎを通して、デッキで寝ながら日焼けを続けていた人が居る。

死んでるんじゃないか?と思うほど、動かないのだが、ちゃんと寝返りは打っていた。いつの間にか誰言うともなく、「猛者」という名前がついていた。夕方太陽が沈んで、ふと不安になって(死んでんじゃないか?)見にいくと、猛者はちゃんといなくなっていた。

この猛者に限らず、転落事故で停船したことにブチ切れるトラックドライバーやら、全身彫り物が施されたお父さんと子供たちとか、なんか普段はあまり お目にかからない感じのお客さんが一杯。そんな人たちが、狭い(といっても全長 170メートル以上あるんだが)船の中でまる 1日の人生をシェアする。飛行機で行けばものの 1時間のこの距離を、ゆっくり進むフェリーって面白いかもしれない。


宮崎港に入ったのは 9時過ぎで、もう日もすっかり暮れてあたりは真っ暗だ。

「このような旅ばかりではありませんので、是非またフェリーをご利用下さい」

という船長のアナウンスが印象的だった。言われなくても、帰りもフェリーなんだよね、、。