「カラカラカラ」
「あなた、、でかいですね」
「話しかけんなよ」
「ホーチミンシティーのど真ん中で、バス停の壁にひっついてるわけですが、、カタツムリかなんかですか?」
「うるさいよ、名前あるけど、ベトナム語だしお前には分かんないだろ」
「5センチぐらいありますよね、この大きさ普通ですか?」
「普通だよ。雨降るまでほっとけよ。今顔出したら、危ないんだよ。」
「確かに、、あなたを撮っていたら、むしろ僕の方が好奇な目で見られました」
「カラカラ。。」
鮮やかな黄色に映える謎の巻貝氏は、雨が降るまでは忍耐の作戦だろうか。この後、信じられないようなスコールがやってくる事を、僕はまだ知らなかった。その豪雨は、タイとかマレーシアとか、そんな国で体験したスコールとは、また桁違いの凄いヤツだ。
街が水飛沫に飲まれる頃、カタツムリ氏は息を吹き返して、悠々と這い出すのだろう。実に、あの豪雨でも大丈夫そうな大きさだった。