里芋とBCP

Aroids

Photo: "Aroids" 2011. Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

ずっと続く緊張感。厳しい状況を伝え続けるニュース。

そんなものに段々疲れてきて、それでも、日常の諸々は無理矢理にでも元のオペレーションに戻ろうとあがいている。

輪番停電を前提にした BCP(business continuity plan) をどう作るかのミーティング、例えばそういう思いもかけないものが、予定表に割り込んでくる。


普段通りの事を、少し丁寧にしてみよう。沢山の事は出来ないから、少しのことを、時間をかけてやってみよう。

夜、スーパーにうずたかく里芋が積まれて、残っている。こんな時に、里芋を煮ようという人も居ないのだろうか。

二袋買ってきて、野菜の図鑑を見ながら下ごしらえする。生のままいきなり剥くんじゃなくて、熱湯に通すと手が痒くもならず、手で剥けるらしい。お湯を沸かして、ゆっくり里芋を湯通しする。生きていくのは、こういう事の積み重ねなんだと思う。


東京の今日の線量を基準に計算すると、0.1μSv/hの放射線量は3ヶ月で、約0.2mSv(0.1μSv/h x 24h x 30d x 3m)。キャンセルになった米国出張の二倍の被曝量。10年後、東京で過ごした日々を、僕はどう思うんだろう。

結局、数分煮たぐらいで、里芋の皮が剥けるはずもなく、ピーラーで剥く。台所中ドロドロになった。そんなに、うまくいくものでもない。

突然の雨

rabbit

Photo: "rabbit" 2011. Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

突然の雨に降られて、狭い飲み屋街の路地を早足で歩く。

ウサが梅花をもって、ちょこんと座っていた。


そのウサからさほど遠くない所で、ちょっと良さそうな居酒屋を見つけた。

雨に冷えた体を燗酒で温め、白魚の天ぷらを少し食べる。


今年ほど、春が待ち遠しいこともない。

アンコウ鍋

sea devil hot pot

Photo: "sea devil hot pot" 2011. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

都心から地下鉄で少し、駅の階段を登るとすぐ国道が通っている。商店街も何も無いそんな道沿いに、古くからの鮨屋が一軒。

引き戸を開けると、カウンターはもうお客で一杯だ。座敷でビールを飲みながら、集合まで少し待つ。去年のアンコウ鍋会では、やや熱燗をがぶ飲みし、お会計もだいぶ大変な事になった様であり、今年はもう少しじっくり鍋を頂こうという感じ。


丸一匹分?だろうか。とんでもない量のアンコウが、野菜も控えめに大皿に盛られてくる。良く行く居酒屋の料理番が、今日は客の一人として、鍋奉行をしてくれる。

「料理人の手だから、そのまんま手づかみでいいわよね」

と、鍋にリズム良く具を入れていく。それが、妙に説得力があるのだ。


アンコウの身を山と鍋に入れて、とどめに、かぶせるように肝をどっさり載せる。もう、下の野菜も身も見えない。
あとは、グツグツ肝が煮融けるのを待つばかり。