髭を剃りながら、僕はふと

シャリ、シャリ、シャリ、、。

髭を剃りながら、僕はふと、軽い絶望に襲われていた。安っぽい、シェービングローションの臭い、ざらついたタオルの感触。俺はこれから一生、毎日髭を剃りつづけなければならないのか?いったい、一生のうち、何時間をこの作業に費やすのだ?

髪をいじる時間を考えたら、そんなもんはない方が良い。そういって、スキンヘッドにしてしまったタレントもいたっけ。髭にだって同じ事が言える。いっそ、伸ばそうか。その方が、もっと大変らしいけどさ。

もちろん、人はたいていの煩雑さに慣れることができる。ひげ剃りを苦に、人生をあきらめる人はいない。でも、なんかめんどくさい。羊は、年にいっぺん、ひっつかまえられて、仰向けに転がされ、綺麗さっぱり刈り取られる。

ああいう方が、いいかも。

UFOキャッチャーに奪われた物

羊ページの管理者は、ゲームという物をあまりしない。まして、ゲームセンターに行くことは滅多にない。

そんな僕が、過去、ゲーセンで最も金を使ったのが、「UFOキャッチャー」である。ストレイシープポーを捕るために、僕は半日で 1万円を失った。それでも捕れない僕に同情した女の子から、結局、ポー(中)をもらった。だから自分の部屋には、ポーが一匹置いてある。ちなみに、その子はミカン星人もくれた。振るとミーミー鳴く、カワイイやつだ。

今でも、「UFO キャッチャー」には相変わらずポーがいる。しかも(大)。年齢を重ねて、少しは巧くなっているかと挑戦。しかし、ポー(大)は、びくともしなかった。

そういえば、あと半月もすると、僕の誕生日が来る。高価なプレゼントはいらない。それより、真心。いや、愛情。というより、根性。根性のこもったものがいい。ということで、ポー(大)を捕まえて、どんどん送付していただきたい。

ぜひ。

じいちゃんがくれたもの

「小3の時、パソコンくれたでしょ」
「うん」
「あのお陰で、今の僕の仕事があるんだよ」
「あー、そうか」

入院しているじいちゃんを見舞いに行った。じいちゃんは、少し前から歩くことも、起きあがることも、できなくなっていた。ベッドの横に置かれた丸い椅子に腰を下ろして、僕はじいちゃんと話をしている。

小学校 3年のクリスマス、じいちゃんにもらったパソコンが、僕にとっての初めてのコンピュータだった。その時から、僕はコンピュータを使うようになり、やがてプ ロとして、働くようになった。メモリ16KBのちいさなパソコン。それが、僕のエンジニアとしてのルーツだ。そのマシンに出会わなければ、僕は、また違っ た職業を選んでいたかもしれない。

人は一人。人生は一度きり。そして、それっきり。暗い夜を歩くとき、ふと、そんな風に思うことはある。

でも人は、誰かに何かをしてあげることで、いろんなものをのこす事ができる。そして、育てることができる