最近のMacのCMってやっぱり不愉快だと思う

最近の Mac の CM ってやっぱり不愉快だと思う。

学生が出てきて「E-Mail 書いてたら落ちた、PC 最低?」とか言ってる、そういう CM。あれを見て、「おお、オレも Mac に買い換えよう」とは思わなかった。むしろ、こんなヤツの使っている機械は、「絶対に買わないようにしていきたい」と思った。

この CM が、2年ぐらい前に流れていたら、もしかしたら「アリ」だったのかもしれない。でもこの CM のノリは、なんというか、今の時代の気分じゃない。それに、今の僕の気分でもない。そういうタイミングって、意外と大切だ。特に、広告みたいなものの場合は。

昔の Apple の宣伝は、「良さの分かる人だけ、Mac を使ってください」というか「アホは使うな」という感じの、ある種、高慢なテイストがあった。それはそれで、カッコ良かった。今の、「簡単だから使ってみ てよ」的なノリは、ダメだ。この不況の時代に、結果としてデフレ的テイストの CM を打ってる。ある種の、精神的な安売り Mac だ。


冒頭の CM は、Apple の SWITCH という乗り換えキャンペーンの一環らしい。で、そのキャンペーンの Web サイトに載っている、通販番組の体験談みたいなコーナー。実際のユーザーの声という設定(?)で語られるメッセージは、あいもかわらずの使いやすいコンピュータというメッセージ。
「触ってみたら、思ったより簡単だった。PCより使いやすい」

そうか?僕は、Mac から Windows に乗り換えたときに、ほぼ逆の事を思った。
「なんだ、触ってみたら思ったより簡単だ。場合によっては、Mac より使いやすい」

実際、慣れれば使い心地なんてそんなに変わるものじゃない。PC から Mac に乗り換えて得るものがあるように、Mac から PC に乗り換えても同じように得るものはある。(いずれにしても、失うものだってあるが)それから、あのキャンペーンで語られてる PC 像って、いまから何年前の PC だよって。


ちなみに、もともと熱心な Mac ユーザーだった僕が Windows に乗り換えた理由。それは、頑固な Mac ユーザーとして知られた坂本龍一が Windows に乗り換えたときの一言だった。Windows ユーザーになった教授は、だいたいこんな事を言っていた。
「すぐ慣れますよ」

そして慣れた。


さて、この前、久々に新しい Mac OS を触ってみた。すっかり Windows に慣れてしまった僕には、簡単どころかさっぱり分からなくなっていた。いかに見た目の良いインターフェイスとは言え、いまさら Mac の操作を覚えなおす気にならないのは、僕の好奇心が薄れたのか、それとも。

注1:ネットでは、Mac を賛美する文章はよく見るけれど、批判する文章をあまり見ない。そうなると、書いてみたくなる。Mac って超プロプライエタリの非オープンプラットフォームなのに、その点をまるで非難されない、不思議なコンピュータだ。
注2:まともな可搬ノートをちっとも出さない Apple に痺れをきらして、僕は LC630 以来 Mac を買っていない。彼らは一時の互換機路線を捨て、今も OS とハードウェアの両方を独占し続けている。Mac のハードウェアは見た目こそ良いけれど(趣味によるが)、ラインアップは少なく、値段も高い。競争が無いからだ。

検索エンジン

前にも話した同じネタを、知らず知らず話してしまって、苦笑い(もしくはあいまいな微笑み)をされている皆さん、こんにちは。羊ページです。


さて、羊ページに[検索機能]をつけてみた。誰のためというのではなく、自分のために。

実際、6年以上も書いていると、自分が何を書いたのか本当に忘れてしまう。
「コーヒーがいかに嫌いか」について書こうと思うと、実は前に結構書いていたり、あるいは、「ミッキーマウスって全然可愛くないと思うんだけど」ということは何度も述べたはずとおもいきや、一度も書いていなかったり。


何かを忘れる、ということは、「忘れたという事実の認識」さえなくなるということだ。当たり前のことなんだけれど、結構コワイ。人間の脳味噌は日 々、死んでいくというのに、記憶すべき経験はどんどん増えていく。忘れたって仕方がない。だから、Web に繰言を書いたって、まあ、いいんだが。しかし、それをコンピュータの力で補ってしまえるというのも事実。どっちが、自分にとって良いのだろう。

まあ、動作も(相当)速いし、羊ページの文章だけを検索できるので、もしかしたら便利かもしれません。皆さんも、気が向いたら使ってみてください。

注:石版とか、紙のメモとかだって、記憶の外部化ではあるんだが。

オレンジのベリーショート

北海道からの出張帰り、どっと疲れてバスの座席に座り込む。仕事はほとんど徹夜で、体中に嫌な疲れが残っている。東京の寒さのほうが、札幌よりもいやらしい。

バックパックを脇に置こうとして、お土産を入れたビニール袋の中身を、わらわら落としてしまった。通路に散らばる、六花亭のチョコレートやら、ご当地キティのストラップやら。

ついてない。情けない気分で、身を乗り出した時。


丁度バスに乗り込んで来た女性が、間抜けに転がったお土産達を、かがみ込んで拾い集めてくれた。
「あ、、ありがとう、ございます。すみません、、。」
僕は一瞬茫然とし、そしてオレンジ色に染めたベリーショートの後姿に声をかけた。
「いえ」
小さな返事が聞こえた。

24時間ぶりに眺める東京の街は、少し明るく見えて、「親切」ってコトバを思い出した。