古き良き東京の変わらない味、鰻重

Photo: 鰻 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "鰻" 2004. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

友人が、今日の気分は鰻だ。というので、鰻にした。

暖簾をくぐると、都心とは思えない静寂。最もお気に入りの、奥の座敷に通された。今の職人ではとてもつくれない、という美しい造作の丸窓、ゆっくり 歳をとった建物の佇まい。昔からの常連さんが多いから、値段が上げられない、と聞いたことがある。だから値段は高くない、むしろ、この時代にこの値段で やっていけるのか?とさえ思う。
「どのくらいのところでお持ちしましょうか?」
「日本人なら真ん中だよね、真ん中のやつで。」

仲居さんは、にっこりして、お茶を出していく。お腹は空いているけれど、ご飯の盛りを良くして欲しいとは言わない。以前、そう頼んだら、お重にみっ しりのご飯が入ってきて、大変なことになった。何も言わなくても、十分なのだ。さて、それからたっぷり 30分も待てば、鰻の登場というわけだ。料理が出来上がってくるのを楽しみに待つ、というのは、なんとも懐かしい感覚だ。


きっちり焦げ目の付いた鰻は、もちろん旨い。でも、周りをうめているものも大切だ。唇が少し痺れるくらいに辛い山椒。炊きたてのご飯と、漬け物の はっとするような爽やかさ。香の物を盛った鉢に、季節の香りが現れている。白菜の白の中に、甘酢で赤く漬けられた蕪の、美しい赤。朱塗りのお膳と、使い込 んだお重。丁寧な仲居さんの応対。何だって同じことだ、ちゃんとしたものを、ちゃんとした仕事で。

食事とは、こういう事なんだと思う。暖簾をくぐって外に出ると、存外冷たい空気。まだ、本格的な春は先だ。

俺とガイジン。(三種盛り)

俺とガイジン。(三種盛り)

ガイジンにとってマツタケは靴下の臭いだ。と読んだ次の日に、ガイジンが来て、マツタケ弁当が出た。イタリア系の人たちは食べていた。インド系の人は残していた。なんとなく分かる気がした。

ん?栗の甘煮もダメなの?ベジタリアン?でもマロンだよ、マロン、、。


やべぇ、お客が超ガイジン。でも。
「どぉーもどぉーも、はじめましてぇ」
めっちゃ日本語じゃん。しかも、しゃべり方がセイン・カミュにそっくりだ。
まあまあ、こちらにどうぞ。ところで、お飲み物は何がよろしいですか?
「そーねー、お茶っていうよりは、、、迎え酒かな、ハッハッハッ」
、、。いったい、何者だよ。


今日も朝からガイジンミーティング。てっきり、でかい陽気なアメリカ人が来るのだと思っていたら、ニヒルで小柄なフランス人が来た。そう、何事も決めつけてはいけないのだ。

ニヒルってあたりが、既に決めつけているわけだが。(名刺に Ph.D とか書いてあったけど、控えめで良い人でした)


注:車で売りに来るカレーにしときゃよかったのに、、。

ザ・カフェ飯

Photo: ザ・カフェ飯 2004, Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "ザ・カフェ飯" 2004, Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

たまたま入った喫茶店は、壁一面が本棚。それも、表紙のデザインだけで並べているのではなくて、読んで面白かった本を並べている感じ。ハードカバー の『ボーイング 747 はこうして空中分解する』を読みながら、ランチを食べたいという人が居るのかは分からないが、なかなか面白い。

白基調の明るい店内、ちょっと広めのテーブル、値段は抑えめ。雨後の竹の子のように増えている安易なカフェと言うよりも、一段、ちゃんとしている様に思う。だから、へんぴな場所にある割に、混んでいる。


『漁師の食卓』の鯛の目利きの方法を読みながら待つ。出てきたのは、ザ・カフェ飯、みたいなプレート一緒盛り(別名:犬ご飯)だったけど、実はちゃんと美味しい。本当はハンバーグを頼んだのだけれど、
「鶏の足丸ごとというショッキングな料理だとは思わなかった」

という理由で、鶏のプレートを前にげんなりしていた知人と交換。しっかり煮込んだ鶏の足は、最初テーブルにナイフがないことに戸惑うものの、箸で十 分に扱える。皮がついているのが偉い。コーヒーはともかく、お茶の類に信じられないぐらい手を抜く店もあるが、食後のハーブティーも、香りよく感心させら れた。

ちょっと変わってるけど、ちゃんとしてるね。