芸術&写真&音楽の記事一覧(全 92件)

南の島の星の砂 — Cocco の絵本

Photo: 伊江島伊江港 1995. Okinawa, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film,
Photo: "伊江島伊江港" 1995. Okinawa, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film,

Cocco の描く歌詞や絵はもちろん、凡庸とは一線を画していた。

それでも、彼女は歌を歌う人だった。彼女の歌声は、洒落ただけの空っぽの歌とは違って、言ってみれば、もっと美しくて、もっと深刻だった。しかし、彼女の歌手としての生活はいつも不安定で、自分の生み出したものに喰い尽されそうにさえ見えた。

2001年、Cocco はステージを去った。彼女は歌うことを、止めた。「絵本をつくりたい」残したメッセージはそれだけだった。復活コンサートも、なんの続報も、なにもなく、時間が過ぎた。一年半。

ある日、彼女の絵本が、本当に書店に並んでいるのを見たときには、とても驚いた。彼女が、たとえ何の手段によってでも、皆に向かって表現することは、再びあるまい、と勝手に思っていたのだ。


わずか数頁の、とても丁寧に描かれた絵本。物語は、幸せに終わっていた。そんな話を、彼女が描くようになったのだ。

カバーの裏に、思い切り笑っている Cocco の写真があった。そこは、太陽の降り注ぐ、夏の沖縄のようだった。彼女は還るべきところに還ったように見えた。


書籍データ:南の島の星の砂, Cocco, 河出書房新社, 2002, ISBN: 4309265847
参考文献:Cocco―Forget it,let it go SWITCH SPECIAL ISSUE, スイッチ・パブリッシング, 2001, ISBN: 4884180011
関連ホームページ:出版案内

宇多田ヒカルのポスター

そういえば、Deep River のおまけにくっついてきた、ポスター。
東京のどこかの下町の裏路地に、うつむき加減に立っている宇多田ヒカル。


綺麗だとか、そういう写真ではない。ただ、凄く親密な感じがする写真。
部屋にポスターを貼ったりすることはあまりないのだけれど、しまう場所もないので貼っておいた。

今見ると、もしかして、これって宇多田のダンナが撮ったのかもしれんなぁ。と思った。

宇多田ヒカルの音楽

Photo: 2002. Tokyo, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Kodak Tri-X pan 400, F.S.,
Photo: 2002. Tokyo, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Kodak Tri-X pan 400, F.S.,

宇多田ヒカルの音楽。

彼女の音楽は、かんばっているときに聴くと、とても気分が良い。がんばっていないときに聴くと、ちょっとつらい。

エネルギーがあるのだ、前に行く。そういうエネルギー。


宇多田ヒカルの新しいアルバム、Deep River は、発売日の翌朝に HMV.co.jp から届けられた。送料無料というのは普通だが、HMV はちゃんとポスターがついてくる。とりたてて欲しいわけではないが、ちょっとした手間をかけてくれるお店のほうが、良い。

さて、Deep River はなんというか、安心して聴けるアルバム。頭を抱えて聴くというのではなくて、かけっぱなして楽しむ感じ。日本語の韻を自由に使った歌詞が楽しい。


今回も Ted Jensen がマスタリングをしている。彼はもともと、マドンナや、坂本龍一などのアルバムをマスタリングした人だが、最近「宇多田ヒカルのマスタリングで有名」という記述を Web で見つけてびっくり。そういうものか、、。