Production I.G がIPOするらしい。
I.G 作品の中で一番好きなのがパトレイバー2だ。脚本の密度、絵づくり、リアリティー、どれをとっても一番良い。良くできた作品に漂う隙の無さ。第一次湾岸戦争直後のタイミングで発表された作品だが、そこに漂っていた漠然とした未来への不安感は、今、テロへの不安につけいって様々な思惑が蠢くこの時代に、もう一度新しい。
フィクションに於けるリアリティー。それは虚構の世界に築かれた日常に宿る。
映画の中盤、首都が事実上の戒厳下に置かれる。首都高を走る陸自の治安出動部隊。トレーラーに乗せられた 90式のハッチから呆然と夜のオフィス街を眺める戦車兵と、それを窓に張り付いて見つめる会社員。お互いが、お互いの新しい役回りに慣れることができない瞬間を、このアニメーションは切り取っている。
未だ見ぬ光景への既視感のような、そんな危ういバランスを創り出すのは、監督 押井守の、まさしく天賦の才のなせる技か。
でも、最近の作品はちょっと緊迫感が無いような。うむむ。
カテゴリー: 芸術&写真&音楽
トル竜、appleサイトに
某掲示板では、未だに「インディーズ板」にスレッドがあるトルネード竜巻(トル竜)が、なにやらapple.co.jpのトップを飾っていて驚く。そして、近所に買い物に行くのかというような格好で出ていることに更に驚く。
http://www.apple.com/jp/switch/macstory/tornado/index.html
このバンド名を言うと、必ず「トルネードと竜巻って同じ意味じゃない」と言われる。多分、それだけで聴く気をなくす人も多い(逆張りで興味を持つ人が残りの1割かな)んではないか。でも、その入り口でダメな人は、曲も多分ダメだから、それはそれで上手いのかもしれない。
2枚目のアルバムが出て(この人達はメジャーデビューしている)、手持ちのCDが増えてきたので、寄せ集めてCD-ROMに焼いてみたり。iPodのプレイリストで良いような気もするが、CDプレーヤーで聴くと全然音が違うから。
あと、部屋を更にかたづけて、キーボードをもう少しまともに使える位置に移す。なんで俺は88鍵なんて買ったのか。あまりにも長い。
カメラのはじめ
思えば、写真が趣味になったのには、2つの理由があった。インターネットが登場したことと、CONTAX T2に出会ったことだ。
初めての海外旅行にもっていくためになにげなく買った、T2。その当時、レンジファインダーと一眼レフの区別も付いていなかったのだが、出来上がってきた写真を見た時には本当に驚いた。この絵は凄いな、と。
特に、ベネツィアで撮った何枚かの写真は、まともなカメラで写真を撮るのはせいぜいフィルム5本目程度の自分が撮ったとは思えないものだった。もちろん、背景にはベネツィアという都市の力があるのだが、それにしても、こんなものができてくるという驚きが写真の魅力に「はまらせた」のだ。
今から考えてみれば、水の風景というのはZeissのレンズにとっては、ある種独壇場で、なんの期待もてらいもなく切ったシャッターは、2度と撮れないほど無心ではあったのだと思う。今でも、その写真はとても大事だ。
もう一方のインターネットがなければ、これほど写真を撮ることは確かに無かったとも思う。文章と写真を組み合わせるということを、1997年ぐらいからやってきたのだが、あまり物理的なものとしての写真に囚われたくない自分としては、それをネットの上だけで展開するというのは魅力的であった。事実、フィルムスキャナとデジカメを本格的に使うようになってから、撮影枚数は劇的に増えたにもかかわらず、プリンタを使った数枚のお試し印刷をのぞき、僕は1枚たりとも紙焼きをしていない。