フォトエッセイの記事一覧(全 320件)

ハークション!チクショー!

Photo: “Basilica di San Pietro in Vaticano.”
Photo: “Basilica di San Pietro in Vaticano.” 1995. Rome, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Agfa

毎度おなじみの英語の先生が、ブースの横でくしゃみをした。僕はリアクションに困った。Bless youは言えない。つまり、彼女は無神論者なのだ。それも、理屈を積み上げた筋金入りだ。

Bless youは、キリスト教徒にしか使えない。ムスリムにも、仏教徒にも、無神論者にも使えない。ヒンズー教徒がどうかは知らない。

「んー、Bless youでは無いのは分かるんだけど、宗教的にニュートラルに使える表現てあるの?」

「(嬉しそうに)それはね、Gesundheit!」

ドイツ語で来たか。「あなたに健康を」みたいな意味のようだ。健康についてなので、宗教でも何でも無い。ドイツ語ではあるが、アメリカ人も意味を知らないで日常的に使っている、そうだ。アメリカもきっと広いわけだが。

「日本語ではどういうの?」

どう言うんだろう?人には言わないな、自分で付け足す人は居るね、

「ハークション!チクショー!」

とか。英語の意味?んー、

「Achoo! Sh*t!」

でかい卵サンド

Photo: “AMANOYA Traditional japanese egg sandwich.”
Photo: “AMANOYA Traditional japanese egg sandwich.” 2019. Tokyo, Japan, Apple iPhone XS max.

羽田空港、午前7時30分。別に腹は減っていない。

テレビか何かで取り上げられて有名な「あの」たまごサンドが、早朝につき、なんと今なら入手可能。

みたいな空気感を出して、そいつはANA FESTAの入り口で売られていた。まったくの初見だったが、あまりに気になったので買ってみた。卵だけで1,000円超え、どれほど凄いんだ。


大層なラッピングを剥がし、期待して口に運ぶ。ちょっと甘い鮨屋の卵を想像して食べると、全然甘くない蕎麦屋のだし巻き卵だった。ケーキ然としたカワイイ見た目をして、そっち路線なのか。

「天のや」のたまごサンドは、海外向けサイトでは”Traditional japanese egg sandwich”と書いてある。サンドイッチがTraditionalか?という疑問はつまり、「伝統的なだし巻き卵が」サンドされているという意味なのかもしれない。

同行者が買ってきたのは「肉の万世 ハンバーグサンド」で、万かつおみくじが付いている。お互い食べもので煽っていくスタイルは、ブレない。万かつおみくじは「吉」。今日のラッキーカラーは茶色で、ラッキーイートは肉団子。そこは、ハンバーグじゃないの。


卵だけで1,000円超え、それはつまり、凄く量が多いという事(12カットも入っている)。ハンバーグサンドの方は初めて食べたが、カツサンドより重たいサンドイッチは初めてだよ。いずれにしても、野菜がなさ過ぎる。

ヘビー級のサンドイッチ達を、未だ朝焼けのラウンジで平らげる。胸やけも、する。

渋谷

Photo: “Poster for 'La Trappistine'.”
Photo: “Poster for ‘La Trappistine’.” 2019. Tokyo, Japan, Apple iPhone XS max.

今年は、病院で散々検査漬けにされている。なので今さら人間ドックでもないが、決まりは決まりなので例年の通り渋谷。胃カメラ後の禁食時間を、これも例年通りBunkamuraミュージアムでつぶす。今開催されているのは、ミュシャ展。週末だったら、えらい混みようになりそうなテーマ。あまり気は乗らなかったけれど、せっかく平日なのだし、渋谷の街をただ歩いて時間をつぶすのは怖そうだし、行ってみる。

今回の展示では、世間のミュシャのイメージのリトグラフの他に、鉛筆を使った習作が結構展示されていて、それを面白く見た。最近、美術館の展示を見るときに、何歳頃の作品なのかを気にして見るようになった。どんな年齢で、どんな気分で、その作品を描いたのか、というような事が気になるようになったのだ。人が成し遂げられる事と、人が生きられる時間の関係、みたいなものが気になってきたせいかもしれない。

ミュシャと聞いてイメージされる、あの感じの作品というのは、40歳手前ぐらいからのスタイルらしい。それにしても、写真を撮って良いゾーンが設けられていて、マーケティングのそういう意見が、出展者側に受け入れられる時代なのか。


1時間できりあげて、いつもの定食屋に食べにいく。孤独のグルメの原作に出ていた店が、人間ドックの会場と同じ通りにあることを知ったのは数年前。それ以来、毎年通っている。

入院での絶食中に、あまりにも暇で見ていたサイトにも、この店のレビューが出ていた。書いている人の好みが自分と似ていて、この店で銀ダラ味噌漬けが良いと書いていた。いつもはなんとなく鯖味噌を食べていたのだが、今年は銀ダラ味噌。確かに、こっちの方がわざわざ出向いて食べる価値がある。