美の時代

Photo: 晩秋赤煉瓦 2002. Sapporo, Japan, CONTAX T3, Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Kodak EBX.

Photo: "晩秋赤煉瓦" 2002. Sapporo, Japan, CONTAX T3, Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Kodak EBX.

テレビで、美輪明宏が「現代は恐ろしい時代だ」と言っていた。

陰鬱なニュース、暗い時代。

食欲、性欲、金銭欲、そういったものを皆求め、そういったものが大事だとされ、そうしてこの現代ができあがった。そこでは、精神性とか、叙情性とか、そういうものは、単なるマーケティング上のレトリックに貶められた。

モノとカネはあるけれど、品位も誇りも、穏やかさもない。そんな金ぴかのゴミ溜めは欲しくなかったのに。気が付いたら、僕たちには、選択肢がほとんど無い。僕たちの(あるいは、僕たちのちょっと前の)世代が捨て去ったものは、あまりにも大きすぎた。


昔、美が、他のいろいろなものに勝ってもっと大切だった時代があった。そんな話は、現代に生きる僕からはとても信じられないことだけれど、そんな時代に生きてみたかったと思う。


注:札幌の赤い煉瓦。もう、昔のような煉瓦は今では焼けないという。明治の時代、ドイツから来た職人が焼いた煉瓦は、人の手によって打ち壊されなければ、あと何百年か、持つだろう。今の日本で、百年後の事を考えている人は、ほとんど居ないと思う。

スペインな衣装を着たスペインの男ども

Photo: wireless というより、unwire 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

Photo: "wireless というより、unwire" 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

いつも贅沢な広告を打つ intel の看板に見下ろされながら、飲む。何なんだ、この店の奇妙なロケーションは。

やる気無くカールスバーグを飲んでいると、ギターをかき鳴らしつつ、スペインな衣装を着たスペインの男どもがテーブルの方に寄ってきた。

イタリアで、金をやるまで帰ろうとしなかったレストランのカンツォーネ・トリオの記憶が脳裏を過ぎる。


やばい、目を合わせたくない。別に金払うのはイヤじゃないけど、今日はイヤだ。っていうか、スペインの音楽を聴きたい気分じゃないし。横のテーブル の客、アンコールとか言うな。しかも、これって端麗生の CM ソングじゃないか。あれって、ジプシーキングスなんだ。で、演奏が終わると、、
「それじゃあ、また来週?、グラーシャス!」

と言い残して、トリオは去っていった。あれ、無料?フリー?なんだ、お得じゃないか。疑って悪かった、、。


注:そういえば centrino は一説には、センチュリーノらしいんだが、それは本当か

何、葉っぱむしってるの!?

Photo: 夕刻の紅葉 2003. Sagamiko, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

Photo: "夕刻の紅葉" 2003. Sagamiko, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

そうそう、もとは紅葉を見にいこうというのが最初だったのだ。焼き肉ですっかり忘れていたが。

リフトでピクニックランドの山頂に登ると、相模湖を一望できる。

ここは、一面の紅葉、というわけでもないけれど、けっこう椛とかがあって、綺麗だ。ひっそりとした山奥の木の葉の息吹、みたいなものはないけれど、お手軽に綺麗。空気が、とても美味しい。

遠くから見ると一面の赤に染まった椛も、近づいてファインダーから覗くと、結構枯れ葉が絡んだりしている。それを手で除くの写真としてはありなのか、などと思案しつつも、枯れ葉を除いてみる。
「何、葉っぱむしってるの!?」

いや、枯れ葉だから、、。紅葉をむしる人って、桜の枝を折って持って帰る人みたいでイヤだ。


日差しはもう弱くなってきていて、少し寒い。そういえば、日が短いなぁと、この時初めて思った。


注:本気で撮ろうとすると、案外綺麗な状態の紅葉って無いものです。ちなみに、この写真は、枯れ葉をどけたりしないで撮ったものです。