てくてくてくてくてくてくてく。
縄文杉を目指す道は一本道で、とにかくルートに従って歩く以外に、方法は無かった。ひたすら、トロッコの軌道をづたいに頂上を目指す。獣道が多い屋 久島の山中で、ろくな装備も持たないままにルートをはずれることがいかに危険かは、容易に想像が付く。今年、既に3人が山から帰っていない。
てくてくてくてくてくてくてく。
苔と、水たまりと、濃い森。足元に続く線路。
「やっぱ、我々人生レールの上ってことかね?」
、、仰る通り。
写真と紀行文
てくてくてくてくてくてくてく。
縄文杉を目指す道は一本道で、とにかくルートに従って歩く以外に、方法は無かった。ひたすら、トロッコの軌道をづたいに頂上を目指す。獣道が多い屋 久島の山中で、ろくな装備も持たないままにルートをはずれることがいかに危険かは、容易に想像が付く。今年、既に3人が山から帰っていない。
てくてくてくてくてくてくてく。
苔と、水たまりと、濃い森。足元に続く線路。
「やっぱ、我々人生レールの上ってことかね?」
、、仰る通り。
「洒落になんね?」
登山ルートの入り口に立った我々の、最初の感想である。うち捨てられたような、トロッコの軌道。手元にある、ペラペラの案内図(観光センターでも らった)によれば、この線路に沿ってひたすら 2時間ほど登り、そこから更に山道を 2時間ばかり辿ると、目指す縄文杉にたどり着くらしい。午前 7時、朝霧が晴れ、太陽が眩しく差し始めた。つまり、登山を始めるには、ちょっと遅くなってしまっているということだ。果たして、日没までに下山できるの か?
目の前の沢にかかる、危うげな橋。枕木には杉板が渡されており、なんとか歩けるようになってはいるものの、手摺りらしきものは無し。勝手に歩いて勝手に落ちろ、的な風情。実に、縄文杉に向けての登山は、この橋梁から始まるのだ。
「こんな道ばっかりなのか?」
そして、こんな道ばっかりだった。3つめから、僕は橋の数を数えるのをやめた。でも、人は慣れる。やがて僕たちは、この手の橋や、危なっかしい崖道に慣れた。(横風が強いときは、ちょっと恐かった)
そして、ついには、単調なトロッコ道に飽き始めることになる。
注:写真は、コースの中盤あたりにかかる橋梁。最初は、写真を撮る余裕なんてないです。見た目、普通の線路のように広く見えますが、実際はトロッコ用の線路なので、えらく狭いです。そして、板はガタガタしています。
その時、僕たちは空腹にあえいでいた。
今までの行き当たりばったり旅行の中で、幾多のボッタクリ飲食店にやられてきた我々としては、旅先での店の選択には慎重にならざるおえない。しか し、食事の出来る場所を探して島中を走り回ったが、昼食の間帯を外し、飲食店は皆「準備中」の看板を下げている。そもそも、やってないのだ。コンビニだっ て、まともなものはなかった。
結論。スーパーだ、スーパーに行こう。食べ物を買おう。
たどり着いたのは Aコープのお総菜コーナー。夕食の買い物にはまだ早いせいか、棚は幾分スカスカ。それでもコロッケとか、焼き魚とか、いろんなものが並んでいる。ちなみ に、鮮魚コーナーの充実ぶりは流石だ。つやつやしたイカ丸一本、それが目にとまる。ちょっと買いたくなったけれど、昼から刺身でも無いか。
唐揚げと、巨大なソーセージサンド、おやつにシュークリームも買う。そして、飲み物は、縄文水。縄文水は、屋久島オリジナルの超軟水ミネラルウォー ター。東京では薬局で売られることもあり、一部のマニアには珍重されているらしい。その縄文水も、地元の生協ではお茶やジュースと一緒に、ごろごろ売られ ている。ちなみに、値段は 500ml のペットボトルが 130円(定価)。
期待して買ったわけではなかったが、縄文水の柔らかさと、ゆっくりした香りが、深く息を付かせた。島に降り注いだ雨が、そのまま湧き出したような、 優しくて新鮮な水だ。深夜、ホテルのベッドサイドに腰を下ろし、1.5リットルのペットボトルから、ごくごく飲む。嚥下するたびに、この土地の匂いが体に しみ込んでいく。結局、島に居る間は、この水ばかり飲んでいた。追加の水や、こまごましたものは、Aコープで便利に買いそろえることができた。値段も、 スーパーだからぼられる心配が無い。
明日は、この水を生んだ屋久島の山々。そして、縄文杉に会いに行く。ホテルのフロントから登山届けの用紙をもらい、昼メシの弁当も手配してもらった。弁当?予約しておくと、山に行く途中で、弁当が買えるようになっている。資本主義というのは、面白い。