台北市内

Photo: 1995. taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

Photo: 1995. taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

台北市内の裏路地。

市内は、いかにもアジアの下町を感じさせる雑居ビルが建つ。下は商店で、上の階に人が住んでいるといった感じ。台湾は日本と同じ島国で、山地も多い ため、必然的に都市の住宅事情は過密になる。台北市内の道路事情も東京と似たようなもので、朝夕の通勤ラッシュに巻き込まれると、全く車が動かなくなって しまう。

看板は漢字なので(英語はない)、なんとなく意味は分かる。見た目になんとなくゴミゴミしているのは、日本と同じで電線が地上に露出しているせいだろうか。

台湾というと、Acerなどコンピュータのコンポーネントを生産する企業がひしめく、アジアのハイテク下請け工場地帯のようなイメージがあるが、街 を歩いている限りでは、ハイテク製品は見かけない。せいぜい、半分閉まったようなスポーツ用品店に、ウィルソンのテニス・ラケット(カーボンファイバで作 られるテニス・ラケットは一種のハイテクだ、そして、テニス・ラケットは大半が台湾製だ)を見かけたぐらいだ。大半が、海外輸出に回されているのだろう。


湿った空気や、どことなく緊張感のない風情は、日本と比べて、あまり違和感を感じない。治安の目安になる警官の数も、あまり多くなく、市街地の治安 は良いようだ。もっとも、つい最近まで、ホテルに盗聴器などがあっても当たり前、という国だったそうだから別の意味で怖いかもしれない。

韓国の旅をふり返る

韓国の旅を振り返ってみる。

韓国は何だったか、と言えば、やはり食べ物だ。食事のよさでは、アジア圏では筆頭。(もちろん、僕は日本食が一番美味しいと思っているが)そして、韓国の食べ物と言えば、牛肉とキムチだ。

実は、韓国に行く前に、昔1ヶ月間韓国でソフトの開発をやったことのある先輩から「韓国は何でもキムチだ」と言われていて、「んなアホな」と思わないこともなかったのだが、行ってみたら本当にキムチだった。


まずは焼肉から考えてみよう。(考えるほどのことでもないが)韓国と言えば焼肉というイメージだが、これは確かにそうだ。韓国人が毎日焼肉を食っているわけではもちろんないが、焼き肉は旨い。というよりも、牛肉が(安いやつも、高いやつも)根本的に美味しいのである。

一口に牛肉といっても、国によって味の方向性は違う。例えば、日本の牛肉はわりと脂っこくて、半生ぐらいで食べるのが良い。悪名高いアメリカの牛肉は、どう調理しても味も脂も感じられないし、レアで食べてもどのみち固い。それに比べて、フランスの牛肉は、とにかく固いが、いちおう脂はある。ドイツの 牛肉はただの炭で、ああ、ソーセージにすればよかった、と後悔しつづけるような代物だ。別に、世界の牛肉を食べ尽くしている訳ではぜんぜんないが、少なくとも、和牛よりも美味しい牛肉なんて、僕は食べたことがなかった。

しかし、韓国の牛肉は、もしかしたら和牛よりも美味しいかもしれない。脂はあまりないし、食感が柔らかいわけではない。しかし、プリプリした歯ごたえと、肉の味の濃さが確かにある。そして、焼きすぎても(韓国の肉料理は、往々にして焼きすぎだ)、冷めても、そのプリプリ感は失われず、全然美味しいの だ。肉自体の脂が少ないから、焼肉にしても、日本で食べるよりも沢山食べられる(食べてしまう、というべきか)少なくとも、僕はあんまりしつこいのは嫌いだから、個人的には韓国牛の方が好きかもしれない。


で、次にキムチだが、これは日本の御新香、、ではなさそうだ。それは、おかずであり、味の傾向の基本であり、そして御新香の役割もある。韓国で何か食べると、小ぶりな平皿にキムチを入れたものが数種類は付いてくる。

(余談になるが、地球上でなりたくない職業の一つは、間違いなく韓国の皿洗いだ。ここの人たちは、驚くほど皿を景気良く使う。盛り合わせるぐらいなら、皿を分ける、というのが基本らしい。これは、別に高級な店に限ったことではない。大韓航空の機内食だって、街の500円ぐらいの定食屋だって同じだ。 まあ、キムチをごちゃまぜに出したりしたらまずいので、必然的に皿が多くなるのだろう。)

よく韓国のキムチは種類が豊富だと言うが、これに関しては僕にはよく分からない。なぜなら、韓国料理の味付けの基本は唐辛子。唐辛子で真っ赤に染まった野菜や肉は、いったいどこまでがキムチなのか、その境界が分からない。だから、日本人からみると、みんながみんな唐辛子味、つまりキムチ味なのだ。 だから、朝も昼も、夜も、キムチを食っているような気になってしまう。あぁー、もうキムチはいらない。しばらくするとそんな気になったりもする。

僕は食べなかったが、南大門の市場のあたりを歩いていると、昼時には店先で出前の定食を食べている人がけっこう多かった。出前は、長方形の金属製の お盆に料理を載せ、それをいくつか重ねた状態で、若い出前係りが手で運ぶ。ごちゃ混ぜの露天と、それに群がる人々、その中を器用にすり抜けていく出前持ち、、。なんともアジアの混沌といった感じの景色が繰り広げられている。少し失礼とは思ったが、食べている人のお盆の中をのぞいてみると、どんぶりのご飯に、メインのおかず(野菜炒めとか、レバニラ炒めのようなもの、あるいはカレイのから揚げ等)、そして、そこに4皿ほどのキムチがついている。これって けっこう美味しそう。

ところで、食事の度に景気良く出てくるキムチというのは、全部食べきってしまうということはないのだが(地元の人でもそう)、これって残りは捨ててしまうのだろうか?あるいは、使いまわされるのだろうか。焼肉店などで出てくる食べきれないほどのキムチの残りは、いったいどこにいってしまうのだろうか。さすがに、ごみ袋をあさったりすることは出来なかったので、真相は謎だが、あの調子で考えると、莫大な量の食べ残しキムチが捨てられているはずだ。僕の勘ではそのうちの幾らかは、鍋なんかに使われるんじゃないかと思うのだが、、。

韓国 その4

(今回の今日の一言は、旅先で書いたものを再編集して掲載しています)

韓国 その4

なんか、いままでの韓国からの「今日の一言」を読むと、飯食って、買い物して、酒飲んでるだけのように見える。まあ、いいけど。いささか更新をさぼっているうちに、韓国での滞在も今日で最後になってしまった。


さて、韓国人に「韓国の人は、毎日こんな昼飯を食べているのか?」と訊いた所、「そんなわけない」とのこと。今回は、特別待遇のようだ。昨日の昼食 は中華料理。意外なことに、同じテーブルの台湾人3人が、しきりに「料理が辛い、辛い」といって顔色が悪い。台湾には、唐辛子を使った料理はあまりないら しい。結局、6品目の「牛肉と野菜の細切り炒め極辛唐辛子風」が出てきたあたりで、いつのまにかいなくなってしまった。アジアといっても、食文化の幅は広 い。出されたメニューを全て食べたら、「日本人はなんでも喰うな」と言われた。確かに、そうかもしれない。


今日は、早めに仕事が終わった。韓国最後の夜ということもあって、お土産などを買いにゆく。韓国というのは、いくつかの財閥(例えば、サムソン、大 宇、現代、SK、LG等)が独占的な勢力をもつ財閥の国でもある。財閥は、あらゆる種類の事業をカバーしていて、車や銀行など日本でもおなじみの財閥的事 業があるかと思えば、「現代印の海苔」なんてものまである。あるいは、「現代高等学校」とか「サムソン駅」とか地名にまで財閥の名前が付いている。そうい うわけで、「現代百貨店」というところに行ってみた。

現代(ヒュンダイ)百貨店は、ソウルオリンピックのメイン会場に程近い、ソウルの新市街にある。新興住宅地の、ちょっと高級な西友、あるいは騒がしい伊勢丹といった感じのデパート。一通りみてみて、洋服類はいまいちだったので、とりあえず地下食品売り場へ。


やはりこういうフロアはお国柄が出ていて面白い。商品のレイアウトは、日本のデパートとほとんど同じ。向かって右手が野菜、奥が魚と肉、中央が乾き 物、左が乳製品とキムチ。推測だけれど、日本の百貨店を参考にしたレイアウトではないかと思う。野菜は日本とほとんど同じ。(心持おおきい気はした)しか し、鮮魚売り場にはいろいろ面白いものがあった。なんと言っても印象的だったのは、生簀の中の「ミニざめ」40cmぐらいだが、確かに生きた鮫が売られて いた。いったい、これはご家庭でさばいて食べるものなのか、、。そして、どういう風に料理されるのだろうか?100gで3,000ウォンなので、少し高級 品なのかもしれない(ハングルが読めないので間違っているかもしれない)

試食コーナーもあるので、所々食べながら歩く。肉類コーナーには、日本のスーパーにもありそうな「焼肉セット」みたいなものが売られていて、値段もお買い得っぽく設定されている。高級な焼肉やりたいのであれば、量り売りのもう少し高い肉を個別に買うことになる。

乳製品のコーナーの次には、お約束のキムチコーナー。販売員3名が割り当てられ、さすがの力の入れようだ。ここで、同僚の人と日本語で会話していた のが店員の耳に入ってしまったらしく、日本語でキムチの売り込み攻勢を受けた。キムチの類は、品数、量、ともに充実している。いかに韓国伝統の食品といっ ても、都市部では買って済ませてしまう人もいるのだろう。このデパートの周りに立ち並んでいる近代的な住宅には、キムチの壷は似合いそうにない。

で、お土産にこれはいいと思ったのは、「海苔」と「ロッテのお菓子」。韓国の海苔は、日本の海苔より粗目で塩味が濃い目。空港なんかで買ったら、 きっと高いのだろうがここで買えば(なんと言ってもここは地下食品売り場)山ほど入って一袋400円。本場(そう、いちおう本場)ロッテのお菓子もだいた い半値。僕は買わなかったけれど、キムチをお土産にするときは、水物だけに物凄く重いので注意が必要だ。

最後の食事は、やはり韓国っぽいものを食べようと、街の食堂にビビンバを食べに行く。この料理、いままで日本で食べた時には「美味しい」と思ったことは無かったのだが、やっぱり本場のは旨い。お値段は、5,000ウォン(500円)。