旅&食の記事一覧(全 233件)

赤提灯とパスタ

Photo: 2002. Tokyo, Japan, Canon PowerShot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.
Photo: 2002. Tokyo, Japan, Canon PowerShot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.

美味い店。

入る前にこれを見極めるには、それなりの経験とセンス、そして運が必要。見た目が洒落ていなければいけない、ということではない。雑然とした感じの外観でも、なんとなく美味そうなオーラを出している店というのも多い。

しかし、いくらなんでも赤提灯に「パスタ」はないだろ。


スモークチーズのグリルを、テカテで流し込みながら、懸案のパスタを待つ。店内は(赤提灯なのに)ルート 66 をモチーフにした謎のアメリカンテイスト。店の隅では、常連とおぼしきジーンズ姿のおっちゃん達がビールを飲んでいる。

生トマトとベーコンのパスタ。

愛想の良いウエイターが運んできたパスタは、存外美味かった。ベーコンが、きちんとベーコンだった。ツルリと食べて、ウィルキンソンのジンジャエールで飲み下す。

窓の向こうに、赤提灯が揺れていた。


注:ウィルキンソン・ジンジャエール、かなり辛いが美味いジンジャエール。アサヒ飲料が製造する日本産というのは、ちょっと意外。詳しい情報は、ウィルキンソン・ジン ジャエール愛好会でどうぞ。

コンビニのゆで卵

いったい、誰が買うの?
コンビニのゆで卵。

その疑問に終止符を打つべく、思い切って買ってみた。午前 3時のコンビニで、ゆで卵を買う生活。ちなみに、ゆで卵は 1個 60円。パックに入った卵の単価を考えると、高いような気もする。


翌朝。

パッケージを開けると、ゆで卵が 1つと、折りたたまれた紙が入っている。塩は入っていない。

紙を開くと、マニュアルになっていた。これによれば、中の卵自身に塩味がついているらしい。それに、殻の剥き方の解説もある。頭の方を薄皮ごと 1平方センチ剥き、尻の方に小さく穴を開け、頭のほうから息を吹き込む。そうしてみると、確かに、なんとなく、うまく剥けるような気がする。


食べてみる。
「ウマイ、、」

黄身は濃厚で、ドロッとした茹で具合が絶妙。信じられないことだが、卵全体に塩味がしっかりついており、普通に塩を振ったときのように、一部分は塩辛く、一部分は味が無いなんてことはない。こ、これはもしかして、すごくウマイかも。思わず買ってしまうかも。

人目をはばかるように、ひっそり売られている、あのゆで卵。

ゆで卵って、ウマイんだね。

注1:付属のマニュアルは、殻を剥くときの、ゴミ受けにもなる。秀逸だ。
注2:その後の調べで、JR のキヨスクで売られている、「パールカル」というブランドのゆで卵が、別格にウマイらしいことが判明。しかし、最寄り駅ではいつも売り切れており、未食である。マニアが買っているに違いない。
注3:単に茹でたのではダメで、あの味はそう簡単につくれるものでは、ないらしい。

春独活とトマトのサラダ

Photo: Mar., 2002. Nagano, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Knodak Ektachrome DYNA 400, F.S.2,
Photo: Mar., 2002. Nagano, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Knodak Ektachrome DYNA 400, F.S.2,

土曜日、久しぶりに早起きしてテレビを眺めていたら、「ぶらり途中下車の旅」が。レポーターは阿藤快、路線は中央線。この組み合わせ、まさにぶらりの王道。僕は、こういうなんだか意味のわからない番組が、大好きだ。

番組の最後に、立川の独活畑が紹介される。独活は、2月から 3月にかけて収穫の最盛期を迎える、初春の野菜だ。


スキー場帰りに寄った山裾のレストラン。独活の短冊をあしらったサラダからは、瑞々しい春の香気が立ち上る。

美しく輝く虹鱒の燻製、じくじくと肉汁が滲む手作りのソーセージ。すっきりとしたグロールシュのビールもうまい。

腹いっぱいで、眠くなって、春が来た。


注1:うど【独活】ウコギ科の多年草。山地に自生。茎の高さ約 2メートル。葉は大形羽状複葉。夏、茎頭・葉腋に小白花が球状の花序をなして群がり開く。軟白栽培の若芽は食用とし、柔らかく芳香がある。根は生薬の独活 (どつかつ)で、発汗・解熱剤。季語:春[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
注2:阿藤快、2001年に阿藤海から改名。56才、マジかよ!?