小田嶋隆の訃報を聞く。コメンテーター、みたいな感じで、いつの間にかこの人がメディアに出ていた事に、僕は少なからず驚いた。僕にとっての彼は、「パソコン雑誌」のライターだったからだ。
「我が心はICにあらず」今でも、僕の本棚にもある。引越の度に、持っていく本として選ばれてきた。
何かを書くときに、主語が大きくなると、おかしくなっていく。
「我が心〜」の頃の、自分語りのエッセイは面白かった。あのまま行って欲しかったけど、あのままでは食えなかったのだろうか。
写真と紀行文
小田嶋隆の訃報を聞く。コメンテーター、みたいな感じで、いつの間にかこの人がメディアに出ていた事に、僕は少なからず驚いた。僕にとっての彼は、「パソコン雑誌」のライターだったからだ。
「我が心はICにあらず」今でも、僕の本棚にもある。引越の度に、持っていく本として選ばれてきた。
何かを書くときに、主語が大きくなると、おかしくなっていく。
「我が心〜」の頃の、自分語りのエッセイは面白かった。あのまま行って欲しかったけど、あのままでは食えなかったのだろうか。
このウンザリする厚さの本を読む気になってのは、一昨年のWired conferenceで著者のケビン・ケリーのセッションが出色に面白かったからだ。(テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? ケヴィン・ケリー著、服部桂翻訳、みすず書房 2014年)
この本は前から知っていた、多分書店で手に取ったこともある。しかし、時が熟していなかった。そして、再びこの本を手に取った2020年末は、この本が必要な時で、この本がドットを繋げる(あのスピーチで言及されていた、ホールアースカタログの編集者の一人は、まさにこの本の著者であるケビン・ケリーなのだが)時期なのだ。どこに行くのかはさっぱり分からないが、何かの潮流に乗って、このタイミングで、なにかの繋がりへの萌芽を感じたことは確かだ。
1年半前の自分のメモには、いささか不正確だと思われる引用を交えて、興奮気味に印象を書いている。曰く、
”テクノロジーは滅びない、その進化は縦ではなく、過去のアイディアが突然現れたりして進む。それは、我々が日々のネットの技術を評価して、これって昔もあったよね、みたいな事を言い合っているのが、あながち単なる懐古趣味と言うことはなくて、テクノロジーが本質的に持っている進化の仕組みがそうさせている。そんな指摘は初めてみたし、しかし、直観的に正しい指摘だと感じる。”
しかし、この本は、まだ途中なのだという感じが拭えなかった。ただ、何かの再スタートのきっかけにはなった。
数年前、相当に酷い内容の外部トレーニングに数日間参加した。内容は酷かったのだが、参加者は素晴らしかった。そこには、いろいろな会社から、だいたいが幹部候補というか、この人はコースに乗っているんだなという人達が多かった。(当時、僕はそういう感じでは無かったが数あわせで参加していた)皆、魅力的で能力が高いなと感じた。
しかし、その中に、なんでこの人が?という人が居た。彼は、ある日本の会社で、社内ベンチャーを手がけているという。彼のやった仕事、というか、ベンチャーのサービスは、その概要を聞いただけで、「それは、どうなんだろう?」と首を傾げたくなるものだった。(そのサービスは。とうに終了している)
どこかに書いたが、僕はベンチャー担当を暫くしていたので、そういったものにはちょっと慣れている。確かに、ベンチャーの世界には、成功する素晴らしい会社もある。が、数パーセントだ(小数点が付くかもしれない)。大多数は、失敗だ。自分がやっても、おそらくは積み上がるクソを作るだけだという確信がある。だから、他人を批判する気は全く無いのだが、なぜ、この人が会社のアセットを使って、ベンチャーをドライブすることができるのだろう?と、休憩時間に薄っぺらい話をくどくど続ける彼に相づちを打ちながら、純粋に疑問に思った。
そして、随分たってから、同僚に見せてもらった、まったく別の日本の会社の、社内ベンチャーについての資料を見たとき、その理由が分かった気がした。社内ベンチャーを推進するに当たって、「求められる人物像」がそこには書かれていた。正確に覚えているわけでは無いが、修羅場力、向上心、素直さ、そんな感じのことが書いてあったと思う。なにこれきもちわるい。これはブラック企業の管理職が求める都合の良い部下像、であって、ベンチャーを立ち上げる人間の姿ではないだろう。
しかし、ふと思うと前述の彼はそれを満たしていたように思う。(ある種の上司の受けだって多分良いのだ、だから参加しているのだろうし)つまり、そんな能力を使うと、社内のお偉いさんの気分を良くして、多様なステークホルダーの全ての顔を立てる、素晴らしいプランができあがるに違いない。ただし、利用者のことは二の次だ。関係者向けプレゼン資料の上でのアカウンタビリティーだけが高い、利用者無視のサービスが生まれるのだ。
そう考えると、とても納得させられる。と、同時に、日本で成功するベンチャーが生まれづらい、特に社内ベンチャーは、という理由も分かった気がした。