ドアモードをアームドにしてください

In-filght entertainment box

Photo: “In-filght entertainment box” 2012. High sea, Apple iPhone 4S.

「ドアモードをアームドにしてください」
って何だ。

気にした事は無かったが、気になり出すと気になる。

あれはドアが開いた際に、脱出用シューターが自動展開されるモードに変更してるんだと最近知った。確かに、これから離陸しようという時に「脱出用シューターを自動展開モードにして下さい」とは言いづらいか。


それから、たまに座席の足許にある邪魔な「箱」あれは何だ。

飛行機大好きな友人に聞いて分かったが、あれはエンターテイメントボックス(多分、正確にはin-filght entertainment box)と言うらしい。あれがないと、VOD の映画なんかが見られないのだと。それにしたって、あれが足許にある座席に当たると、なんとも損した気分。21世紀なのに、真ん中座席にされた上に足許に「箱」だと、なんで自分ばっかりこんな目に遭うのかと、僻んだ気分。


そういえば、この間、かの Boeing 787 に初めて乗ったときに、タッチパネルで機材を操作している CA を見て、突然、ああ 21世紀になったんだなと思った。凄く、突然にそう思った。

台湾名物

Taipei in the dusk

Photo: “Taipei in the dusk” 2014. Taipei, Taiwan, Richo GR.

空港からホテルに着いて、言われるがままにタクシーに詰め込まれて、気がついたらかき氷屋の前。

前回台湾に来たときに、恐らくは水道水で薄められたタピオカティーでマーライオン並みの嘔吐を経験して以来、生水生氷の類は口にすまいと思ったのだが。


台湾名物マンゴーかき氷。更なるリスク上積みでミルク氷も選べるようだが、それはしない。なんか、洗面器みたいな器に入ってきた。冷凍物を使わないというポリシーのマンゴーは、確かに新鮮なマンゴーであるが、別に氷と一緒じゃ無くてマンゴーだけ食えば良くないか?というのは言わないでおく。

いくら名物のかき氷と言ったって、こんなに量が食えるかクソボケと、思いつつも何んとか食べ終えて街に出ると、さっきまで、焼けるような蒸し暑さだった街路が、なんのことはない、風の爽やかな普通の夕暮れ手前になっていた。

氷の力は凄いのだ。

ささいな瞬間

Old Tavern

Photo: “Old Tavern” 2012. Tokyo, Japan, Apple iPhone 4S.

人は、ささいな瞬間の、ささいな言葉を覚えているものだ。

「最近、ギョウザを胡椒で食べるのがいいんだよー」

そこまで言うならやってみようか、と、S&Bのテーブル胡椒を醤油に溶いた。

まだ寒さの厳しい 1月、すきま風の吹き込む古い店内は、平日の5時をまわったばかりだったが、客でだいぶ混み合っていた。石油ストーブでどうにか温められたテーブルで、瓶ビールとシウマイ、ギョウザなんかをとって、3人で食べた。


その店はもう、すっかり建て替えられてしまって、その日の面影は無く、そして胡椒の話をしていた人もこの世には居ない。

喪失感は、そういう所からやってくるのだな。