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羊レシピ:紫タマネギでガチ・インドなカレーを作る

Photo: “Red(Purple) onion curry.”
Photo: “Red(Purple) onion curry.” 2020. Tokyo, Japan, Apple iPhone XS max.

八百屋でふと見ると、ダンボールに見事な紫タマネギが山のように積まれている。インド人の友人がいつも言うのは、

「インドのカレーは、紫タマネギで作る、これが一番大事。」

本場のカレーを再現するに最も重要なのは、凝ったスパイスや、高価なギーではない。最近、膨大な量をApple TV 4Kで鑑賞している「インドの屋台動画」の中でも、あらゆる料理で絶対に使われているのは、この紫タマネギなのである。そして、八百屋の肉売り場(何を言っているか分からないと思うが)には、今日は和牛のすじ肉が山盛り入荷している。しかもありえない、お手頃価格。

この状況から、本格インド風牛すじカレーという、文化的・宗教的に混乱た禁断のカレーを作ることになった。ヒンズー教徒に食わせようというのでは無いのだから、問題は無いだろう。料理にルールは(さほど)無い。


■材料 おおよそ5リットル分

  • バター 自分が許せる量
  • オリーブ油 鍋底がひたひたになるくらい
  • 生姜 大1かけ みじん
  • ニンニク 大4かけ 粗みじん
  • ローリエ 5枚
  • クミンシード 適量
  • ターメリック 適量
  • ガラムマサラ 適量
  • カイエンペッパー お好み
  • カルダモン 多め
  • 岩塩 適量
  • 黒胡椒 適量
  • 紫タマネギ 大きめ2玉 粗みじん(飴色不要)
  • 牛すじ肉 1kg弱(湯通し不要)
  • トマト 大きめ4つ ざく切り(湯むき不要)
  • カシューナッツ 100gぐらい

■作り方

  1. 大きめの鍋でバターとオリーブ油を適当に熱する。マハラジャの料理人はギーを熱する。
  2. ニンニク、生姜を炒めて香りを出し、ローリエ、クミンシード、ターメリック、カイエンペッパーあたりの熱で辛みを出したいもの、ホールの形のものなどを入れる
  3. 紫タマネギを放り込んで、ほどほどに炒める。飴色とかは求めない。
  4. 牛すじ肉をまとめて放り込んで表面に火を通す。塩も強めにしておく。(別にラムでもチキンでもかまわない。)
  5. 肉の表面に火が通ったら、トマトを投入。面倒な人はトマト缶でも良い。
  6. 鍋の容量いっぱいぐらいに(縁までという意味では無い)、水を加える
  7. 牛すじであれば、圧力鍋で加圧15分自然冷却。圧力鍋じゃない人は気長に煮る
  8. 煮ている間に、カシューナッツをすり鉢で根気よく砕いてペーストにしておく
  9. 自然冷却が終わったら、カルダモン、ガラムマサラ、黒胡椒など香りが飛びやすそうなものを加える
  10. カシューナッツを加えるとシチュー色だった鍋が、突然インドのあの色になる
  11. 仕上げに塩で味を調える。好きなら刻んだパクチーをどさっと入れて一煮立てしても良い

成城石井にギーはある。一瓶千円ぐらいする、、。だいたい、いつも視線を合わせてから、外す。日本でギーを使って料理するというのは無謀かもしれない、あるいは、京葉線あたりのそれっぽいお店に行けばもっと手頃に買えるのかもしれない。

なので、今回脂は気休めにオリーブ油とバターをまぜる。生姜はおろさないでみじん切り、ニンニクもみじん切りにした。インド屋台動画から察するに、そこには別に順番とかルールとかいうものは無い。香りが出てきたら、ホールスパイス的な空気感のあるものをぶっ込む。なんとなくターメリックとか、クミンシードとか、ローリエも試しにこの段階で入れて油で炒めてしまう。ついでに、黒胡椒とかも入れておく。

そして、このカレーのほぼ唯一のポイントである、紫タマネギを適当に刻み入れる。インド人のみじん切りは、みじん切りだけは、執拗に細かい印象がある。逆にここは和的な、わりと大きめな刻みで入れてしまう。どうせ圧力鍋なので、たいして結果は変わらないのだ。紫タマネギは通常、サラダの飾りなんかのイメージだと思うのだが、これに火を通してみると、香りもなんとなく違う気がする。タマネギを飴色に、と言うのだが正直そこであんまり味が変わる気がしないので、シナシナになったらもうOKとする。


主たる具である牛すじは、湯通しをして一回煮こぼす、とかしない。軽く水で洗ってそのままぶち込む。牛が嫌な人は、鳥でも、マトンでも、茄子でも入れると良い。肉の表面にある程度火が通ったら、トマトを入れる。インドではキロ50円とかそういう世界なので、水代わりに入れられているが、冬の日本ではそうもいかないのが残念。ちなみに、現地でトマトの湯むきなんてしてる気配は無いので、これも芯だけとって投入。別に缶詰のトマトでも問題無いが、味が濃い目(しつこめ)になると思う。

少し煮込むと、肉とかトマトとかから、謎の水分が出てくるので、あとは適宜水を追加で入れて濃度を調整する。ここまで全然塩を入れていないが、それは単に忘れていたというだけだ。

で、圧力鍋の方は15分加圧する。そうで無い方は小一時間ぐらい煮込む。そうして、煮込みが終わると、すでにカレーっぽい香りにはなっている。それと、なんとなく普通のタマネギとは違う香りもするだろう。ターメリックが入っていれば、見た目は既にカレーだが、更にスパイスを足していく。ガラムマサラで複雑な香り、カルダモンで深いインド的な清涼感、辛さは様子を見ながらカイエンペッパーで調整。辛さは旨さ、というロジックが心地よい人はカイエンをたっぷり入れて欲しい。ここまの作業で、香りは相当にカレーなのだが、見た目はシチューみたいな感じになっているはず。


仕上げに、煮込んでいる間に根気よくすり潰しておいたカシューナッツをドバッといれる。一混ぜ、二混ぜすると不思議なことレストランでよく見る「あの」インドカレーの色になる。そして不思議なことに、「あの」色の脂がういて来る。茜色、とでも言えば良いだろうか。

そして、仕上げの塩。インド料理というのは甘みを付けない代わりに、塩分というのが存外沢山入っている。味見をしていて、なんかインド料理にならねぇな、と言うときはすべからく塩を足すべきなのだ。味を見ながら、「おーインドだ」と思うポイントまでかなり思い切って塩を入れていく。インド料理であれば、岩塩の方が良いかもしれない。塩味が決まったら、完成だ。一晩寝かせるとか、そういう面倒なことは無い。そのまま直ぐに食べよう。


サラダ代わりに、残った紫タマネギの輪切りをそえ、ほんとはバスマティーライスとかなんだろうけど、そんなものは無いので、普通のお米で。インドでも、米の種類はその長さや品質から、もの凄く沢山あるので、別にだいたい米なら日本米でも問題は無い。

不要不急の荒木町

Photo: “Araki-cho.”
Photo: “Araki-cho.” 2020. Tokyo, Japan, Apple iPhone XS max.

震災のときは、他の多くの人がそうだったように何を書いてよいのか分からなかったし、あらゆるところに非日常の緊張感と悲劇的なニュースが存在していて何を書くべきかも分からなかった。

それから時間が経って分かったのは、歴史的な悲劇が襲ってきても、未来はあり日常は続くということ。そして、普通に暮らすことの大事さと、その時の普通の生活を書き残しておくこともまた大切だという事を思い知ったのだった。


震災の時、家に閉じこもるのは精神に大変よろしくないことを学んだ。所詮はバランス。非常事態とは言っても、我々が必要とする日常の要素に変わりはない。この状況で違うのは、一方に生命に関わる明示されたリスクがある、という事にすぎない。

と言うことで、不要不急に外出してオフ会をしてみる。といっても、相手は昔からの友達で、僕にドラクエウォークを勧めた張本人。都内某所の、メタルドラゴンが湧いている場所で、仕事終わりに待ち合わせる。


ひな祭りキャンペーンの「まもの」を倒して歩きながら、そして荒木町。店は、安易にRettyで探して、店の雰囲気からカンで選んだ。最初に出てきた、どこかの地鶏正肉、焼き鳥って正直見た目がそんなに変わらない。でも、それはあまりにもうまく、二人の口から出てきた感想は、

「凄いなこれ。」

材料は正肉の地鶏を除けば普通のもの、しかし焼く技術が凄い。塩が、割と昭和な強めに付いているのも、好みに合った。

荒木町のこんな店ががら空きなのは、やっぱり世間から少しずらすのが大事なんだなと思う。それでもこの日は1階は予約で埋まっていて、2階に通された。お客は我々だけ、貸切。普段なら気まずく感じてしまうが、今の時期はかえって良いと言えるだろう。人混みを避けろ、という意味ではこれ以上低リスクなものは無い。


レバーは、ここ数年食べた中で一番美味しかった。ハツは丁寧に掃除されて、見た目も美しかった。勧められた、薄皮もまだ柔らかいそら豆は、春の香り。標準よりも大ぶりの串に、最初の一連のオーダーで腹八分目。じゃあ、いつもの2軒目に行こうか、という流れになる。

久しぶりに良い店を見つけて、気分良く外に出る。また来週も、この辺りの小路に来ようか、そんな気分になった。

Apple TV(初代)をApple TV 4Kに買い換える

諸般の事情でCSが見られなくなって、初代Apple TVのみで生活してみたら結構いける。何年前に買ったのか忘れてしまったが、初代Apple TVはけなげに故障も無く動いていて、置き換えるのは忍びないものがあったが、リモコン問題(後述)と、年月に伴う性能の進化も見てみたくてApple TV 4Kを新たに買った。


注文は素直にAppleのオンラインストアから。時間指定で翌々日に届く。ニセモノとか嫌なので、普通にオフィシャルサイトで買っていきたい気分がある。セットアップは箱から出して繋ぐだけ。Ethernetを繋いで、電源ケーブルを挿して、4Kは使わないので既存のHDMIケーブルで繋ぐだけで特に問題なし、完了。(テレビが4K / 8Kの人は互換性のあるHDMIケーブルが必要になるだろう)

電源投入、付属リモコンのペアリング、iPhoneのペアリングなどをして普通に使い始められる。画質、反応速度、全く問題無い。iPhoneユーザーでないと、アカウントの二段階認証などで不便が有るのかもしれない。しかし、この製品をAndroidオンリーのユーザーが買うことはまずあり得ないので、実害は無いだろう。


スペックで初代Apple TVと比較すると、これはまったくの別物に進化していて(iPhone X程度のCPU、同量の3GBメモリ)だいたいiPhoneなモノがテレビに繋がってると思って良い代物。プロセッサもメモリも、全てが余裕をもって動いていて、反応速度に不満が一切無い。画面遷移、スリープからの復帰、アプリ間の切り替え、とにかく速い。だいたいiPhoneなモノが繋がっていると言うことは、それ用のアプリが動いていて、動画配信はそのアプリによって行われる。つまり、配信事業者による独自機能が、アプリとして自由に実装できる事を意味している訳で、恐ろしく高機能化しているYouTubeアプリなどの動作も快適、ライブ放送のチャット表示もスムーズ。ChromecastやFire TVとは、スペックも値段も全然違うApple TV 4Kの余裕感と安定感は凄い。そして、やたらにでかい。


実は、買い換えを考えた最初の理由は、本体とは別の所に有った。初代Apple TVのリモコンが金属の削り出しで、それは格好が良いのだが、手元にiPhoneと一緒に置いて常用したら、いつかiPhone側に傷を付けるな、という懸念をもったのだ。4Kの新しいリモコンは面取りされていて、そのような心配は少ない。リモコン上部はキーからタッチバッドに変わった。そして、なにより音量ボタンが新たに付いた。これは地味に、というか革新的に便利だ。赤外線で動く初代のリモコンであれば、学習型のリモコンに統合が可能だったが、タッチバッドにSiriのマイクが付いて、Bluetoothで接続される4Kのリモコンでそれは無理。となると、テレビ側のコントロールは4Kのリモコンに寄せざるおえない。となると、実際に常用するテレビ側の機能は音量ボタンなわけで、実際にとても便利だ。

ただ、リモコンには不満点も有って、Siriボタンと、ホームボタンは使わないし押し間違えて邪魔なので、即刻廃止して欲しい。あと、タッチパッドはあまりにもセンシティブで、軽く触れただけで再生が止まるのが結構なストレス。感度は変えられるようにして欲しい。そして、ライトニングでの充電式なのは良いけれど、バッテリがへたったら、どうなるんだろうという漠然とした不安。


新しいApple TVを買ったというと、ティッカーは出せるのかとか、iPhoneの通知は出せるのかとか、そういう事を聞いてくる人が結構居るのだが、そういう事は今のところ出来ない(し、個人的にはそういう機能には全く興味が無い)単機能のSTBに2万円超を誰が出すのか?という疑問はあるものの、きちんとした体験でストリーミングコンテンツを見る、という所に完全にフォーカスされている良い製品だと思う。ハードウェアの内容を考えれば、値段も高くない。

コンテンツに関して言うと、だいたいのメジャーな配信サービスはカバーされていて不便は無い。ゲームアプリなんかもあるが、まず使わないのは予想通り。今、Apple TV 4Kを買うと、Apple TV+が1年間無料だが、別に見たいものはないし、使わないし、ホームスクリーンを占拠してなんか邪魔。その一方で、常々思っていた、この手のアプライアンスに設定されたスクリーンセーバーの、やがて見飽きるプリセット問題が解消されていて画期的。設定するとスクリーンセーバー画面が、毎週更新される(といいつつ、結構同じものを見る気がするけど)。しかも、超・ハイクオリティの動画(風景動画)なのだ。素材のバラエティ、クオリティが高く、これは凄く金がかかってるなぁという感じ。こういうのは、出来そうでなかなかできないし、ユーザー体験を凄く上げる。こういう事の大事さが分かってるのは、Appleだよなぁ、と久々に思った。