フォトエッセイの記事一覧(全 320件)

10年

Photo: こってりパイ 2008. Tokyo, Sony Ericsson re.
Photo: “こってりパイ” 2008. Tokyo, Sony Ericsson re.

久しぶりにあった仲間達は、なぜだかことごとく(僕も含めてだが)体重を落としていた。一人はサーフィン、一人は走って(僕だ)、一人はプロジェクトやつれ。それぞれの大人の事情なり、日々の思いなりは、それぞれの体型に、微妙な影響を与えているようだった。

それでも、出会ったときから大食いのサーファーは、僕が集合に遅れた15分の間に、既にバターまみれのジャーマンポテト一皿(けっこうなカロリーだ)を平らげていたし、「俺、酒が入ると食べられなくなるんだ」が口癖のもう 一人は、やっぱり皿の上に冷めきったパイの一切れを置いたまま、延々と煙草を吸っていた。


そうして、考えてみれば、初めての給料で、初めて飲んだ三人が、10年を超えて同じように飲んでいるのだ。話題の内容は、いささか大人びた(メンバーの中には、二児の父もいる)のかもしれないが、そこにある実直さというか、ナイーブさ、みたいなものは、あまり変わっていない。もちろん、それぞれの日々の中では、もっと大人なことをしたり、言ったりしているのだと思う。で も、ある時を共有した友達との間には、そういう琥珀に固めたような空気が、やはりあるのだと思う。

ラストオーダーからだいぶ時間が経って、周囲の客が引けるのと共に、店を出た。そうして、多分、10年後も同じように飲んでいることを、あまり疑うことは無く、手を振って別れた。

某月某日

考え込んだ月。

落ちている犬

Photo: 落ちている犬 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.
Photo: "落ちている犬" 2008. Tokyo, Ricoh GR DIGITAL, GR LENS F2.4/28.

今日は曇りで、たいして天気も良くない。少し遠くの駅まで歩いていこうと思う。家を出て、いつもとは違った方向に歩き出す。

不燃ゴミの収集の日、収集車がやってくる。後を追って、二人の男が全速力でこっちに走ってくる。なんだ、あれは。

収集車はかなりの速度で 15メートルほどの間隔で設けられたゴミ捨て場を走る、そして、二人の男が走って追いかける。追いついて、もの凄い勢いでゴミを投げ込み、そして次の場所に走っていく。二人は声を掛け合いながら、止まることなくゴミを放り込んでいく。


作業はもの凄く早い。田舎のゴミ収集って、もっとのんびりやっていたような気がするのだけれど、都心のゴミ収集はこんなに強烈なのか。このチームだけがもの凄くやる気があるというわけでも無いのだろうし。

例えば、今の仕事をやめてしまって、収集車みたいなきつい仕事でも、何かのためならがんばれるかなぁ、と漠然と思ったこともあったのだけれど、これじゃあ全然無理だ。鍛え方が違うね。

その凄いゴミ収集作業のルートを外れ、ちょっと迷ったなぁと思いながら大通りの気配を探していると、歩道の真ん中に犬が落ちていた。しかもでかい。どんどん近づいても、うるさいなぁ、という風情でちょっと見上げるだけ。仕方ないので、それをよけて歩く。邪魔なヤツ。