「俺は自分の力で会社を変えてみせる!」

Photo: ちょっと暖かい朝 2005. Tokyo, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "ちょっと暖かい朝" 2005. Tokyo, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

「俺は自分の力で会社を変えてみせる!」

と言っている同期の話を「ふーん」と思いながら聞いていたのは、もう5年は前の事だと思う。僕はそれよりも、自分のスタイルは変えないで、それが合わなくなったら、逃げ出してしまえば良いんじゃないかと思った。今でも、実はそう思っている。


不愉快なものには、なるべく近寄らない、というのが僕の基本的なスタンスで、根っこのところでは逃げることはちっとも悪いことだと思っていない。人 の本質は多分、時間がゆっくり変えるものなんじゃないかと思うから、誰かを変えようなんて思わない。何かを変えようなんていう風にも思わない。自分のこと を、ちゃんとやればいいんだと思う。だから、人を変えようとか、会社を変えようとか、そういうのはある種迷惑だなぁとさえ思う。(それは極端か)


ただ、そんな風に思っている割に口を出してしまって後悔することも多い。(むしろ普通より口を出してる気がするが)まあ、口を出すよりは待つ方が良 い結果が出ることを経験として知るようにもなったな。というか、最近、そういうのにかまってる時間とか労力が、ものすごく無駄に思える日々。

CONTAX TVS DIGITAL, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105

Photo: Contax TVS Digital

Photo: Contax TVS Digital

発売後まもなく衝動買いした CONTAX TVS DIGITAL。

一般的なデジカメの評価としては、きっと「ダメ」なんだと思う。プロユースを考えるなら、もっと当たり障りのない、着実に結果を出せる多機 能&高性能のものを撰んだ方が良い。かといって、通常のアマチュアユースを考えると、遅すぎるレリーズラグが致命的だし、撮れる絵のくせも強すぎ る。価格的にも、マスプロダクションな ASIC を使った他社のデジカメに比べてしまうと、このカメラの電子的な部分でのコストパフォーマンスは低い。(でも、最近では 40,000円とかにまで値崩れしているようで、それなら全くお買い得だと思う)

よって、一般的な価値観でデジカメを買おうという方は、これ以上レビューを読む必要はないし、他のデジカメについて調べた方が時間の節約になるだろ う。

そこまで書かれてもなお、CONTAX T の名前をつけられたコンパクトデジカメというのはなんなのか、買ってみる価値があるものなのか知りたいという人は、これ以降を読んで欲しい。言っておく が、僕はこのカメラを「とても気に入って」いるのであって、論調は辛いかもしれないが、決してけなしているわけではない。こんなに「愛をもって」使えるデジカメもそうは無い。


ごく簡単にこのカメラ CONTAX TVS DIGITAL を紹介すると、CONTAX の名前が付いた初めての(そして、もしかして最後の)、コンパクト・デジタルカメラで、500万画素 CCD を搭載した、ハイエンドモデル。レンズは当然、Carl Zeiss を搭載する。レンズが Zeiss、それだけで、即買ってしまう人は買ってしまうのかもしれない。ただし、その他の中身は京セラ(現在、CONTAX ブランドのカメラは京セラが生産している)のファインカムとどう違うんだ、という声も有る。価格の高さもあって、使っている人をほとんど見ない、もはや都 市伝説なデジカメ。

さて、TVS の最大の特徴は、撮った絵の当たり外れの激しさ。安定&安心して撮れ「ない」かわりに、多分この機械でしか撮れない絵が、間違いなく撮れる、あるいは撮れ てしまう。これって、キライな人もいっぱいいるんだろうと思う。なんというか、この機械の妙な挙動を笑って許せる人が買った方がいい。あるいは、単なる高 性能なデジカメに飽きた人なんかにもいいだろう。もちろん、CONTAX と聞いたら、試さずにはおれない、という人の期待にもある意味答えるはずだ。逆に、これをデジカメ最初の一台にするのは、まったくお勧めできない。個人的 には、このカメラの癖が分かって来るにつれて、どんどん気に入ってきている。個性的で、使いにくくて、コレでしか撮れないものが撮れるからだ。以下、思い ついた点を、いろいろ書いてみる。


デザイン的に言うと、多くのデジカメのデザインは安普請家電の典型とも言える最悪のものばかりなので、それを考えるとかなりまともで気に入ってい る。少なくとも、何かの気品は感じるし、フィルムカメラに近い保守的なデザインなので、他の CONTAX のカメラと並べても違和感は少ない。実際、ほとんどの人が背面を見るまでは、銀塩カメラだと思うようだ。無駄にでかいと言われるが、実は大きさ自体は、 T3 よりちょっと大きいぐらい。重量は一般的なデジカメより重いが、軽いカメラなんて信用したくないので、これはこれで良い。背面がプラスチックで安っぽいと いう意見もあるが、僕は別に問題ないと思う。所詮、デジタル機器なんだし。ボタンの押し心地も悪くはない。ただし、モード切替ダイアルが、かなり緩いの で、ポケットやケースに入れた時に知らぬ間にずれてしまっていることが多い。これは要注意。

操作系については、「こうやったら、こうなるはず」というオペレーションができる秀逸なもの。動作も速く、これについては高く評価できる。マニュア ル無しでも操作は可能だ。ただ、使っていて Mac ぽいなーと思うロジックが多々あって、コンピュータユーザではなくて、純粋なカメラ使いにとって使いやすいかは、謎だ。

その他のギミックとして評価できるのは、Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105 を搭載しながら、フラットなレンズ沈胴式を採用した点。Canon G1で、沈胴式ではないコンパクトデジカメが、いかにコンパクトではないかを思い知った身としては、このクラスでこのギミックを採用しているのはとてもポイントが高い。


Photo: ソーセージのペペロンチーノ 2003. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "ソーセージのペペロンチーノ" 2003. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

起動時間はあまり速くない。というか遅い。とっさのシャッターチャンスには、強くないと考えた方がよい。また、レリーズラグは相当あるので、それだ けで、いらいらいする人もいると思う。書きこみも速くないので、連写とかスポーツ撮影とかは考えるべきではない。ただ、プレイバックの処理が恐ろしく高速 で、ズームや表示位置の移動などの追従も同じカメラとは思えないほど速い。これは快適だ。

画質についてだが、ノイズや偽色は多く、デジタル処理部分での性能が高いとは思えない。ただ、コントラストの高さ、フィルムカメラに近いトーンカー ブ、なんだかよく分からないがやたらに派手な色乗り、などなど、面白い点が多々ある。Carl Zeiss + Digital ならではの味なのか、何なのかは分からないが、とにかく従来のデジカメでもなければフィルムカメラでもない、独特なものが撮れる。この明確なキャラクター を好むか、嫌うかは、完全に使い手の好みだろう。僕はこのカメラは好きだ、そういうカメラだ。

充電については、悪夢のように遅い。ただ、予備のバッテリや急速充電器については、買っていない。バッテリ自体の持ちは良く、毎日何十枚も撮るので ない限り、思い出したタイミングで充電すれば、十分といった感じだ。


最後に、暗い環境でのスローシャッターでの写りがかなりいい。バーでいろいろいじって遊んでいると、見たこともない絵が撮れたりして面白い。夜型の 都市放浪人間には、まったくもって面白いカメラだ。

追加情報:京セラからファームウェアのアップデートが出ている。ファームが、ver. 1.05 未満の場合は、書きこみ速度がだいぶ速くなるので、必ず適用して使用したい。このカメラの挙動に慣れた身だと、正直「すげー早い!!」と思った。(実際に は、やや普通、ぐらいになるだけなんだが)詳細は、京セラのページからどうぞ。

暴れん坊将軍・レクター博士・デスラー総統

あまり似ている有名人というのが居ないようで、「これは」という定番がない。皆、てんでばらばらな事を言うが、いままで言われたところで、エッジなのを集めてみると、、。

暴れん坊将軍、レクター博士、デスラー総統。

なんだそれ、意味が分からない。何でみんな(特殊な)肩書きがついてるんだろう。いや、っていうか、デスラー総統は人間じゃないし。


注:暴れん坊将軍と呼ばれたのは、彼がサンバを踊り始めるずっと前のことだ。