花崗岩アパート

Photo: 花崗岩アパート 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.

Photo: "花崗岩アパート" 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.

牟礼の町を歩いていると、一棟の建物が目にとまった。

アパートなんだと思う。石の町にある、石のアパート。コンクリートと花崗岩を美しく組み合わせた建物。特に、高級なものでは無さそうで、住人が大きなベランダに布団を干したり、子供の声が響いたりしている。生活の匂いが凄くするのに、佇まいはドッシリとしていて、遠くから見ると美術館か何かのように 見える。

花崗岩を組み合わせた堅牢な塀。全身灰色で固く出来ているのにもかかわらず、開口部は多く、開放的な印象を受ける。そんなあたりは、沖縄の建物みたいだなと思った。


引っ越したいなぁと思っていて、もっと暖かい土地で、こんな開放的な建物に住むのはどんな気持ちがするのだろうと思いを巡らす。

ここは石の町だから、遠くから重機が採石する音が聞こえてくる。それも、良いのかもしれない。

欲しかったのは

Photo: 夜 2006. Tokyo, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.

Photo: "夜" 2006. Tokyo, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.

欲しかったのは、言葉ではなくて。

世界の中心で愛を叫ぶ

Photo: 世界の中心で、愛を叫ぶ突堤 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

Photo: “世界の中心で、愛を叫ぶ突堤” 2006. Kagawa, Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX

「世界の中心で、愛を叫ぶ」をもちろん僕は見ていない。しかし、そのロケ地に来てしまった。(そんなのばっかり)

地元では、当初撮影が終わると、セットも何もさっさと壊してしまったそうだが、暫くして観光客が引きも切らずに訪れるようになると、遅まきながら「なにやら観光資源になるらしい」と気がついたという。


今では、一部のロケセットは再建され、ロケ地の名所には案内板が付けられ、市役所の入り口にはロケ地マップが置かれている。とは言っても、ここは至って普通の地方の漁村。ぐるぐる迷いながら、なんとかロケ地の「突堤」にたどり着いた。突堤マニアとしては、ここは外せない。

さて、この突堤はかなり良い、相当良い。長くて、真っ直ぐで、シンプルだ。文句のない、突堤だ。


狭い幅の割に、長く突き出た突堤を、どんどん歩く。気の抜けたような、瀬戸の内海が、ただ広がって、波はろくに打ち寄せもしない。自主制作の映画のロケハンだろうか、大学生風の二人組が、デジカメを手にしながらフレーミングをあれこれ試している。

ジリジリと暑い。僕はいつもやるように、突堤に腰をおろしたりはせず、そのまま元来た道を戻った。