聖地より遙か

Photo: 2003. Nagasaki, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX

Photo: 2003. Nagasaki, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX

五島列島には、カトリック系の教会が沢山ある。なかでも、ステンドグラスが綺麗な教会があるらしい、だから行ってみることにした。

夏の盛りの恐ろしく暑い午後、周囲の道にほとんど案内もなく、トウモロコシ畑の中を散々行ったり来たりしてようやくたどり着く。教会は別に観光のためにあるのではない、だから分かりやすい表示もない。けれど、観光ガイドには載っている。

教会には、誰もいない。窓に強い日差しが当たり、締め切られた室内には熱気がこもっている。扇風機をつけると、空気が動いて少しだけ涼しくなった。


ステンドグラスは、多分に日本的な幾何学模様で線対称にデザインされている。その向こうには、蘇鉄の葉が揺れている。

ローマ、バチカンに実際に行ったこともあるけれど、やっぱり日本と全然違う文化と歴史があって、その上にはがっちりと、キリスト教が「生きて」 いた。選択としての宗教ではなくて、文化・文明の規定値としてのキリスト教。そこから、遙かに離れたこの場所に教会が建っていて、ステンドグラスがはめ込まれていて、イエスキリストの信仰を守る人たちが居る。遠い遠いこの土地で、その有り様は、やはりバチカンのそれと同じであり得るのだろうか。

ひっそりと薄暗い祭壇には、イエスキリストの十字架が掲げられている。こじんまりとした、人の生活を感じる祭壇だ。それにしても、ここは遠い。遙かに。

お肉が食べられないなら、お魚を食べればいいじゃない

Photo: 多けりゃいいってものみたい 2003. Osaka, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: "多けりゃいいってものみたい" 2003. Osaka, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8

ウイルス、ウイルス。人類を暗黒時代から救い出した抗生物質も効きません。栄養をとって、早寝早起きをして、あとは神にでも祈っとけ!って、おばあちゃんの知恵袋か。で、ウイルスとプリオンは何が違うんですか。よく分かりません。


まあ、そんな高尚な話はどうでもいい。実際問題として、SARS で出張が取りやめになりそうな人がいたり、夜中の牛丼屋が閉まっていたりして困ったモノだ。ふむ。お肉が食べられないなら、お魚を食べればいいじゃない。 ということで、お鮨を食べましょう。なんと大阪で鮨を食べるのは初めてだ。(また、大阪に居るのか、俺は)現地の人に、こっちではちょっと有名、という店 に連れて行ってもらった。
「すごいですね、刷毛で醤油を塗るんですねぇ。初めてなんですよ、どうやるんですか?」
「ん?俺も初めて」
「、、。」

あと、食べ散らかしてあるのではなくて、こぼれる程ネタを乗せるというのが、この店のコンセプトなので。盛りつけが、ちょっと西海岸入ってる気がす る。(出てきた状態で、このようになっている)味は、うーん、美味しかったような気がする。新幹線の終電を逃して、怪しい資料作って、とにかく腹が減って いて、そこにでかい握りとビールっていうのは、なかなか良かった。飯としての鮨、みたいな。


なんだろう、関西の料理って、なんとなく「癖」を嫌うところがあるような気がする。美味しいんだけど、なんか、最後の一手が足りないというか、ひっ かかりが弱いというか。素材の味は生かすんだけど、とんがってる部分は均しちゃう。誤解を恐れずに言うと、「不味いかも」みたいなスレスレの部分が無い気 がする。

巨大なヘビ

2001. Yakushima, Japan, Nikon F100, AF ZOOM NIKKOR 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film RHP III

2001. Yakushima, Japan, Nikon F100, AF ZOOM NIKKOR 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film RHP III

下山の途中で、雨が降り出す。道の真ん中に、巨大で巨大なヘビがのたうっているのを見る。怪我をしている足首を、すこし捻る。

水の残りが少ない。使いもしない三脚のせいで、持ってくる水が減ったのだ。山頂にいたるまで、意外と暑くて、水分が足りない。これは、かなり失敗 だった。とにかく全部飲んでしまわないように、我慢する。途中で野生の鹿に出会った。これだけ動物が多いと、水庭に寄生虫が居る可能性もある。野生動物 は、単にカワイイとか、そいういう話ではない。

帰り道、下り坂の方がキビシイ。4時間かかって、日差しが弱くなりつつあるころ、ようやく麓の駐車場まで降りてきた。


ホテルの清潔なシーツの上で足を伸ばしていると、さっきまで登っていた山が嘘のようだ。太平洋にぽつんと浮かんでいる島、日が沈むと真っ暗になる。潮騒は遠い。

屋久島、けっこういいなぁ。