この日は、風が強かった。
土手の上には、沢山の蜻蛉。吹き付ける川風に逆らうように、目まぐるしく行き交う。吹き渡る風に、草と木が揺れる。風が、見えた。
このあたりは、ちょうど多摩川と支流がぶつかる場所。堤防沿いの道はどんずまりになっていて、どこにも行き場はない。ドラムの練習をする人、昼寝に来た人、ひたすらランニングしている人。どこにも行けない道には、いろんな人がいろんな事をしに、やってくる。
写真と紀行文
この日は、風が強かった。
土手の上には、沢山の蜻蛉。吹き付ける川風に逆らうように、目まぐるしく行き交う。吹き渡る風に、草と木が揺れる。風が、見えた。
このあたりは、ちょうど多摩川と支流がぶつかる場所。堤防沿いの道はどんずまりになっていて、どこにも行き場はない。ドラムの練習をする人、昼寝に来た人、ひたすらランニングしている人。どこにも行けない道には、いろんな人がいろんな事をしに、やってくる。
太陽が頭の上目指して昇ると、大気はあっという間にジリジリと熱せられる。川縁の土手は、灼熱。真っ先に撮りたかったのは、花。マクロ撮影可能なレンズを付けた一眼レフだから、数センチにまで寄って、撮れる。そういう写真を自分でも、撮ってみたかったのだ。
夏場、花はとうにその盛りを過ぎている。わずかに咲き残ったレンゲ。所々、へたった花びらもあるけれど、まだ、美しい。手前の花びら数枚にピントを合わせて撮った。できあがった写真を見て、その精度に驚く。この写真は、是非、フルサイズで見てみて欲しい。
ふと、一眼レフを買って、翌日。
空は晴れ渡って、しかも日曜日。朝日を撮ろう、という企みには、もちろん遅すぎるが、光の良いうちに何かを撮りに行くには申し分のない時間。
朝のマクドナルドで、もそもそとフランクバーガーを詰め込む。モスに比べると、ここのソーセージはお話にならない出来だけれど、舌が寝ぼけているから、まあ許す。で、どこに行く?多摩川へ。