日本国内の記事一覧(全 211件)

ムーミン谷

Photo: May 2001, ムーミン谷, Contax T2, Fuji-Film.
Photo: May 2001, ムーミン谷, Contax T2, Fuji-Film.

むっ、窓の向こうに見える建物は、、。

薄曇りのとある休日、かねてから「どうもあるらしい」と噂の場所に行って来た。

それは、ムーミン谷。建物は、もちろんムーミンの家だ。


海で入水自殺をしようとしたムーミン。それを偶然助けたのが、生き別れの両親であるところのムーミンパパとムーミンママ。ムーミンの原作というのは、けっこうキビシイ。意外とみんなが知らない、本当のムーミン。

なかでも、フローレン(ムーミンのガールフレンドね)は、そうとう厄介なワガママ娘。同性の友達からは「あの子、たいしたもんよねぇ?」とか影で言われてるタイプだ。


「こういうの好きでしょ」

そびえるムーミン屋敷を目に、わくわくしている僕に、友達が話しかけた。(つづく)

夏の北海道

Photo: July 2001, Sapporo, Hokkaido, Japan, Contax T2, Fuji PROVIA 400F.
Photo: July 2001, Sapporo, Hokkaido, Japan, Contax T2, Fuji PROVIA 400F.

夏の北海道を、初めて訪れる。

胸一杯にシロツメクサの匂いを吸い込んで、寝っ転がった。サラリとした風が吹き抜ける。

草むらは初夏。この季節の、北海道の気候というのは信じられないほど、気分がよい。空気が、輝いている。


「朝飯」を食べにやって来たのは、サッポロビール園。ここに来るのは、6年ぶり。以前と違うのは、食べ放題は頼まなかったこと。そして、肉は冷凍ではなく、ちょっと高い生のラム肉を注文したこと。僕はもう学生じゃないので。

独特の匂いのするラム肉を、ちょっと塩分濃いめにしたタレで食べると、幸せな気分。厚めに切られたラムのロースが、ジンギスカン鍋の上で、芳ばしく焼けていく。それにしても、ここってこんなに美味しかったっけ?


タクシーの運転手は、「とってもじゃないけど、東京でなんて生活できないですよ」と言っていた。ビール園の庭に寝っ転がって、空を見ていると、東京に帰るのがばからしくなった。

注:写真は、フィルター等はいっさい使ってません。風と、やまかんシャッター速度による結果。

佐賀町エキジビット・スペース

Photo: 2000. Sagacho, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Agfa
Photo: 2000. Sagacho, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D, Agfa

呆然。

観客は所在なく歩き回り、床に目をやり、少し不安そうに窓辺に身を寄せる。

「佐賀町エキジビット・スペース」最後の展示は「ドキュメント佐賀町・定点観測 1983-2000」。入り口で 500円払い、今までの展示物の年表を印刷した紙を一枚受け取る。そして、ギャラリーに入る。室内が、眩しい。


種を明かせば、展示スペースには何一つ展示されていないのだった。全ての展示物が撤収され、がらんとした空間だけが広がっている。

この場所の本質が、まさにモダンアートの展示「スペース」であったことを、「展示」している。その展示を前にして、とまどい気味の観客達は、それでもなにかを持って帰ろうと、床を触ったり、柱の写真を撮ったり、窓の外を眺めたりしている。

僕はと言えば、これで 500円はちょっと高いなぁ、などと思いつつ、面食らっている観客達を順に追いながら、シャッターを切った。


美術学校の学生らしき 3人組が、なにも無い床に携帯電話を置き、Nikon のデジカメで写真を撮っていた。携帯のディスプレイが映し出す時計が、残り少ない世紀末の時間をカウントしていた。


注:現在、「佐賀町エキジビット・スペース」は閉館している。