昭和ブームとか言われると恥ずかしいのだが

Photo: 湖畔のボート乗り場 2003. Sagamiko, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Distagon T* 25mm/F2.8(MM), Kodak EBX.

Photo: "湖畔のボート乗り場" 2003. Sagamiko, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Distagon T* 25mm/F2.8(MM), Kodak EBX.

なんか、最近古いものが凄く良く感じる。

別に、昭和がブームだからとか、そういうのではなくて、もの凄い変化をくぐり抜けて、それでも実直に(あるいはたまたま)生き残ってきたものに魅力 を感じるようになった。そういうものを見たり、触れたりすると、いいなぁと思う。要領よく見た目を繕っただけの、浅薄なものがなんとなく好きになれないの は前からだけれど、自分がどんなものに馴染めるのか、という方向性が自分で分かってきた感じ。


湖畔の古めかしいボート乗り場は、多分、僕が生まれたのと同じかもっと古くからここにある。はげチョロになった板壁の、飛行場の管制塔のような受付 は、モダンなデザイン。窓一面にいろんな張り紙がしてあって、今でも使っているのかどうか分からないけれど、カッコイイ。こういう抜けたカタチを、最近見 かけることはない。この日最後の客が使ったとおぼしきボートを繋いで、乗り場の主人がのろのろと上がってくる。

乗るのか?とちょっと、淡い期待をされるのは困るから、知らないフリをして、通り過ぎる。

水辺と板のコントラストが、ちょっとだけ、グラン・ブルーに出てきた、海辺のレストランの様に思える。ジャン・レノが、パスタを喰っていたレストラン。まあ、全然違うんだけどね。

さがみ湖ピクニックランド

Photo: 肉を並べる 2003. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

Photo: "肉を並べる" 2003. Tokyo, Japan, Contax Tvs Digital, Carl Zeiss Vario Sonnar T* F2.8-4.8/35mm-105.

さがみ湖ピクニックランドというのは、どうなのか。

皆聞いたことはあるだろう、しかし、行ったことはあるのか。僕はない。イメージとしては、痛い感じの動物の着ぐるみがうろうろしていたり、ベタ甘いソフトクリームが法外な値段で売られていたりする感じか?

ということで、いざ行ってみましょう。


「なんで並んでるんだ、、」

イメージとして、寒風吹きすさぶガランとした入り口を想定していたのだが、、ゲートに車と人が並んでいる。混んでる、なんで?

ピクニックランドって何をすることろなのかいまいちよく分からなかったのだが、犬を遊ばせたり、ラジコンを走らせたり、観覧車に乗ったり、かなり好き放題なことができる。おんぶにだっこのテーマパークなんかとは対極にあって、自分で楽しみ方というか、方向性を考えないといけない。ほっといて欲しい人には、かなり居心地が良い。だって、入園チケットさえないし。(金払って、入るだけ。前売り券というのはあるけど)

で、ここでは手ぶらでバーベキューもできるらしい。食べ放題で2,100円。(食べ放題じゃないと1,500円。日ごろ馬鹿みたいに飲食費を使っている我々が、その600円の差に悩んだりする)なだからかな山の斜面を望む屋外で、微妙に薄曇りではあるが、清々しい、、というより脂っぽい空気を満喫しながら楽しめる。ビールなんかは、備え付けの自販機で買うので、中途半端な手作り感があって面白い。

周りは家族連れ、あるいはカップルであり、なんの関係も無く集団で来ているのって我々だけか。ホントに、我々だけだな。、、さて、焼きましょう。 女性は各々野菜を取りまくって来る。いや、そんなに焼けないから。男性は各々肉をとりまくって来る。いや、豚肉と牛肉がまざって分かんないから。もっとこう、分担とか、、まあ、いいや。俺、ポテトサラダ取ってくる。


バーベキューとはいってもグリルではなくて、野外に並んだ鉄板の上で、勝手に焼きやがれ、というコンセプトなので、コテで牛肉を伸ばしたり、並べたりしていると、

「牛定いっちょ?」

という気分になってくる。昔ファーストフードのバイトで鉄板を扱っていた人間がいたので、焦げ付きのケアも完璧だ。

でかい豚肉の輪切り。これが、食べ放題の肉としては(そんな行かないけど、食べ放題)たっぷり厚切りで、普通にいい。つけだれに、塩だれというのがあって、それを絡めて焼いてみると妙に美味しい。いや、別に美味しい肉とかではないんだけど、ぜんぜんあり。あと、鉄板で焼いたトウモロコシは甘くて掛け値なしにウマイ。取りすぎた野菜と麺を炒めて、粉々にして、飯を投入すれば、そば飯(特盛り)完成。最後は、押し付け合い。なんというか、普通に楽しいな、この企画。

1,400円で、園内をうろうろして、湖を眺めて、それだけで結構いいね。さがみ湖ピクニックランド侮り難し。


注:驚くべき事に、セゾンカードの会員だったりすると、入園料が1,400円から1,000円にディスカウントされる。なんだそれ。お得すぎ。
注2:なんでポテトサラダ俺しか喰わないんだ。みんな嫌いなのか。

大阪のホルモン屋

Photo: 大阪のホルモン屋 2003. Osaka, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

Photo: "大阪のホルモン屋" 2003. Osaka, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

「さぁっ、次なにしよう。ミノか、よっしゃっ、じゃあミノ行こう。」

きっぷがいい、という言い方がぴったりのホルモン屋のおやじは、もう 30年以上、ここで商売をしている。

そんなおやじの店に行くようになって、3年ぐらいになるだろうか。

場所的には鶴橋あたりなのだが、ちょっと思いつかない場所にあって、僕たちがその店を最初に見つけたのは、まさに偶然。2軒ばかり外した店に入ってしまい、それでも納得がいかなくて、ふらふらとさまよっている時に見つけた。ホルモンの暖簾、昔ながらのカウンター、関西独特の焼き台。凄く美味いか、全然ダメか、もうどっちかしか無いという感じ。思い切って、暖簾をくぐった。


以来、大阪に行くたびに、できるだけ寄るようにしている。ある時は、同席のおばちゃんに人生を占われ、ある時は、カウンターの隅で喰っていたおっさ んに神戸あたりでのキセルのやりかたを(別に教えてくれと頼んでいないんだが)教わったりした。食べ物だけじゃない、本当に、ディープな大阪の空気がある場所。

カウンターには、ブリキの「味の素缶」みたいなものとか、怪しい胡椒容器とかがあって、オヤジはそれをちょいちょいとタレに溶かして、出してくれ る。いったい何が入っているのかちっとも分からないけど、ここでしか食べられない味がする。僕はホルモンをそれほど好むわけではないのだが、ここの店のは 別だ。ホルモンが新鮮なのは言うまでもなく、かなりちゃんと掃除(下ごしらえ)をしているんではないか。僕が、この店の様子を話して聞かせた板さんはそん なことを言っていた。


今日、テレビ(なぜかトリニトロン)は甲子園の阪神戦を映していて、カウンターには僕たちだけ。ミノをつついていると、阪神が逆転サヨナラを決めた。僕は、野球には全く興味はないのだけれど、大阪で、ホルモンを喰いながら、阪神の逆転勝利を見る、というベタベタの状況に思わず声をあげた。
「おー、すげーーっ」

カウンターを出て、テレビを凝視していたオヤジもご機嫌だ。今年の阪神は強い。さて、そろそろ次のメニューを頼むかな?


注1:一般的にはテレビのついているような店は、ダメということなんだろうが、それはあくまでもつまらん一般論ではある。テレビがついていてもこの店は美 味しい。あと、ジャズが流れている居酒屋はよくないというのもあるみたいだが、ジャズが流れていても、凄い良い店はある。(チェーンじゃないよ)
注2:それでも大阪は好きではない