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Mac 版 ATOK2012 から Google 日本語入力に切り替える

Google 日本語入力 環境設定
Google 日本語入力 環境設定

買った最初の頃は、その SSD の速さに愕然とした MacBook Air Mid 2011 だったが、いつの頃からかやけに不安定になっていた。

動作が遅い。突っかかる、レインボーカーソルが出まくる。アクティビティーモニタすら固まってしまい、SSH で外から入ることもできず、日に一度は電源ボタン長押しになる。このマシンって、こんなに遅かったっけ、と腹立たしくなる。ディスクの修復も、キャッシュのクリーンアップも効果が無い。

OS なんて使っているうちに遅くなるもの、と言うのは宿命的にわかっているのだが、どうも何かがおかしそうだ。

調べていくと、ATOKが原因という気がしてくる。僕が使っているのは、ATOK2012 で Mountain Lion に正式対応しているが、アップデータの適用で不安定さが改善するという。確かに、適用すると暫く改善したように思える。しかし、間もなく症状が再発。元の激遅 Core i7マシンになってしまった。


ふと、別のIMEに試しに変えてみようかと思う。ATOK2013 にバージョンアップする事も考えたが、基本となるコードは同じだろうから躊躇してしまう。Google日本語入力なら無償だから、それで試してみようかと思い立つ。なんとなく、サーバーに情報を送って変換候補を出していたら怖いなと思ってしまうが、そういう事はしていないようだ

ATOK のアンインストールまではせずに、使用する IME を Google 日本語入力に変更してみる。正直、IMEの変更で、これだけの不安定さが完治するとまでは思っていなかったのだが。

ATOK の辞書ユーティリティーを使い、テキスト形式でATOKのユーザー辞書をエクスポート。Google 日本語入力にインポートする。実際、辞書のコンバートは数秒で終わってしまう。少なくともユーザー登録単語については、ここ20年近い僕の成果というのは所詮その程度のものなのだ。

[言語とテキスト]->[入力ソース]で、日本語関連を全てGoogle日本語入力に変更する。念のため再起動して様子を見てみる。


結果、驚くほど動作が速い。クリーンインストールでもしたかのような速度。レインボーカーソルは、全く出ない。入力メソッドを切り替えるときのつっかかりも無い。IME を変えて約一週間、電源ボタン長押しを一度もやっていない。IME だけで、これだけシステムに影響が出るというのは正直意外だ。

サジェスト機能を切って(これが便利という人は多いのだろうが、僕にとっては違和感が凄かった)、キー割り当てを MS IME 互換に変更してしまえば(Windows でキーボードを叩いている時間のほうがやはり長いので、そちらに合わせている)、機能が少なくなった ATOK な感じで別に変換にも利用に耐えないような違和感はない。もともと、それほど ATOK 固有の拡張機能を使っていたわけではない。文法的な誤りの指摘や、送り仮名のルールなどそういう機能が無いことにいささかの不安を感じはする。しかし、圧倒的な速さは魅力だ。

やはり、自分の慣れていない環境での変換なので、そこが漢字かよとか、変換候補の順番がそれかよ(結構、意味不明な変換順序が出てくる場合がある)、とかやっぱり気にしてしまうと、どうかとは思う。だが、実用的な安定性が無いと使いようがないのだから、仕方がない。


そういえば、System 7.x の頃って、Mac の動作が不安定という質問をすると、ATOK をアンインストールしてから出なおせ、というのがデフォルトの回答だったのを思い出した。Windows版の ATOK は、なんの問題もなく 10年以上使い続けている。そう考えると、Mac 版に固有の不安定さだと思う。ATOK 自体の変換や機能への愛着はある。是非、Maverick 版では安定したものを出してほしい。

素晴らしいテキサス日本料理 Waza

Waza entrance
Photo: “Waza entrance” 2011. U.S., Apple iPhone 4S.

「あとはー、宿の近くだと、日本食レストラン。鮨と鉄板焼き。」

「それ行きましょう」

「まじか」

僕はiPhoneアプリで周辺のレストラン候補を片っ端から読み上げていた。テキサスのど真ん中で、鮨?

僕たちは、ヒューストンの宇宙センターから市の中心部を抜けて、郊外の宿に戻ろうとしていた。

20代なのに、もう日本食が食べたいのかよ、と一瞬呆れてしまったのだが、彼の意図はそうでは無かった。世界のあちこちで作られている、地元の日本料理、そのとんでもっぷりを楽しむ、それを趣味にしているのだと言う。


WAZA、というのがその店だ。

「技」とはなかなか大きく出ている。Waza Teppanとネオンの灯ったファサードを潜ると、長いエントランスに竹があしらわれ、右手にウェイティングバー、そして奥が長大なカウンターとダイニングという作り。本格的だ。

過剰な竹の醸し出す雰囲気は、完全に上野のパンダ舎である。随所にあしらわれたネオンや、酒樽といったオブジェが、マイアミバイスに於けるオリエンタルなクラブ、といった空気感を醸し出していて、大変に好ましい。


僕たちのテーブルに着いたウェイターは中国人。我々が日本人である事に、かなり動揺していた。

日本人のお客さんをもてなすのは初めてだ、と言う。脚を伸ばせばメキシコ国境にも行けてしまうヒューストンの日本料理店には、観光客も来ないのだろう。この店には、シェフも含めて日本人のスタッフは一人も居ないが、それでも良いかと念を押された。

我々は、鴨を醤油でといたワサビで食べようというのではない。テキサスっ子の解釈した日本食の神髄を、容赦なく供して頂きたい。鮨屋だと言うわりに、枝豆ギョウザなんかもある。ツマミから、鮨から、一通り頼んでみる。


前菜の、蛸の串焼きは衝撃的だった。良くもここまでこまこました脚を集めて串に刺したなという、むしろその技術に感心する。中国の屋台で売ってるサソリの串焼きみたい。考えてみれば、蛸なんて多分食べない人達なのだ。この人達は。

店長のオリジナル料理という土瓶蒸し。ウェイター曰く、これはオリジナルなので、食べ方を説明します。まず、酢橘を絞って、、てこれは日本の伝統料理で、オリジナル料理じゃ無いよ。店長は中国人に、自らの日本料理の知識をだいぶ盛り気味に示しているようだ。

枝豆ギョウザ、もはやこれは日本料理なのか?という気はするが、ちゃんと焼きギョウザなのが日本食として正しい。色も緑で楽しい。


店の料理は、はっきり言って高い。昨日まで食べていた、アンガス肉塊塩焼きとか、山盛りバター浸し海老とか、そういうものに比べたら。これは明らかに、高級店だ。皆、デートで来ている、家族を連れてきている、ここ一番な、そんな感じの客層である。

熱燗、というメニューがあって、いったい元の酒が何かよく分からないが、ビンテージのワインを味わうかのように、オッサンが誇らしげに飲んでいたのが印象的だった。

鮨は普通に美味しかったし、カニカマの握り具合も良かった。テキサスの一角で、日本食頑張ってる。誇らしい夜だった。

シンガポールに、好んで行きたくない。

Marina Bay
Photo: “Marina Bay” 2012. Singapore, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

シンガポールに、好んで行きたくない。仕事じゃなかったら、絶対に行かないだろう。住むのはどうだろう?

お金が(凄く)あるなら、そんなに住み心地は良いはずだ。冬は無く、年中暖かい。でも、観光に行きたいとは、僕は思わない。

だいたい、シンガポールがマレーシア半島の突端に有る事だって、三年前の僕は知らなかった。それが、国であり、首都であり、それで全部なほど、小さい国だという事も知らなかったのだ。


うまい晩飯を食いに行こう、という事になった。昼メシのケータリングは、トラウマになるぐらいの不味さだった。夜の国道では、F1コースに照明を取り付ける作業が世を徹して行われていた。予想よりも、随分歩いている。

No Signboard Seafood Restaurantのトリップアドバイザーの評価は、美味い、景色が良い、リーズナブル、接客が最悪、いつも混んでいる、おおまか、そういったところだ。マリーナベイサンズを望むレストランには、確かに観光客の行列ができていて、その先に立ちはだかっている中国系の受付のオバちゃんからは、ホスピタリティとは真逆の、例の、中華的無愛想さが存分に漂っている。

日はとっくに沈んだものの、外は果てしなく蒸し暑い。

「中で食べたいんだけど。」

「予約は?無いなら外よ。ほら、あのテーブルよ。」

最悪だ。日本の満員のチェーン居酒屋のバイトだって、まだましな対応をする。この時点で帰りたくなったが、しかし、喉も乾いて、腹も減った。

中国系の店はすぐ分かる。食器を大事にする文化が無い。食べ残しも、箸も、ナプキンも、吸殻も、食器も、全部バケツに放り込む。最初見た時は、かなりショックを受けた。まさに、そうした中華的片付けによって用意された我々の席は、天井のサーキュレーターの真下に位置していて、思ったほど悪くは無かった。眺めも、それなりに良い。マリーナベイを望んで居るのだから、立地の勝利ではある。


Local crab
Photo: “Local crab” 2012. Singapore, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

注文を取りに来たのは、ワンさんだ。疲れたワンさんは、オバちゃんとは打って変わって、英語は怪しいが、親切にメニューの内容を教えてくれる。もちろん、われわれは、蟹を食べに来たのだが、1番お得そうな輸入物は売り切れ。時価になっていた地元産の蟹の値段を、興味半分で聞いてみると、輸入物よりも断然安い。時価の方が安い、これは意外。出てきた蟹は、味噌のソースをたっぷり纏って、想定外に旨そうだ。

名物にうまい物なし、と言うが、この店の蟹には皆満足するだろう。地元産の蟹は、身も味噌も申し分のない入り方で、フワリとした食感に調理されていた。皆大人だから、奪い合いにはならなかったけれど、奪い合って食べたっておかしくない。値段も、シンガポールである事を考えれば、十分に納得がいく範囲だ。

冷えたタイガービールと、ベイサイドの景色と、生ぬるい夜風。多分、この出張で唯一救われた夜になりそうだった。

そして、そうなった。