「あー、満月」
と言われて、でも、2人は歩いていたから月は直ぐに建物の影に姿を隠した。僕の方が背が高いから、ちょっとだけ長く月が見えていた。だから、あれが満月じゃないことは分かった。でも、
「うん、そうだね」
と一瞬の間をおいて、言うぐらいの気は利いていた。
「ホントに見えたの?」
夜が更けて、丘の上の道を歩いていると、月がまた顔を出していた。
「あ、満月じゃない」
ちょっとした嘘。少しは嬉しそうにしてもらえた、かもしれない。
写真と紀行文
「あー、満月」
と言われて、でも、2人は歩いていたから月は直ぐに建物の影に姿を隠した。僕の方が背が高いから、ちょっとだけ長く月が見えていた。だから、あれが満月じゃないことは分かった。でも、
「うん、そうだね」
と一瞬の間をおいて、言うぐらいの気は利いていた。
「ホントに見えたの?」
夜が更けて、丘の上の道を歩いていると、月がまた顔を出していた。
「あ、満月じゃない」
ちょっとした嘘。少しは嬉しそうにしてもらえた、かもしれない。
湖は凄く静かで、水辺の寒さがあった。遠くで、不吉な感じに鳥が群がっている。深くなってゆく秋が、重苦しい冷気となって体に染みこんでくる。
湖畔では無口な釣り人が、思い詰めたように釣り糸をたれていて、とりあえず湖でも見るかとここまで来たものの、何か見るべきものがあるのか、さっぱり分からない。
湖面に、不吉な怪鳥が浮かび、時折奇妙に軋むような鳴き声を上げて、こちらに近づいてくる。って、こんな寒々しいなかで、アヒルちゃんに乗らなくてもいいのに、、。
秋です。
久しぶりに昼間の新宿を歩く。都庁から公園に抜けていく。新宿は、前に働いていた街で、秋のからっとした空気とともに、懐かしい気分になる。
どっか地方から来ているおじさんの団体が、都庁をバックにして写真を撮っている。あんなもん撮るなよ、、と思ってみると、今日の都庁はなんか凄いことになってる。高い高い空を思わずブックマーク。TVS を持ってこなかったことをちょっと後悔した。
公園脇を歩いていくと、ちょっと思い出があって寂しくなる。でも、のんびりしている暇はない。ささっと、次の予定の場所に向かわないと。