鮨屋のショーケースのカッパ

Photo: 河童 2010. Tokyo, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

Photo: "河童" 2010. Tokyo, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

慣れない町で、初めてのバーを開拓して、窓際のテーブルで飲んでいると、向かいの鮨屋のショーケースがどうも気になる。鮨屋のショーケースなのに、鮨のようなものが全く入っていない。何故か、カッパのようなものが入っている。


店を出て、ショーケースをのぞき込むと、やはりカッパである。

「なにしてんですか?」

「ん?俺か?」

「ここは鮨屋ですよ」

「まあ、ほらカッパ巻きとかあるから」

「まあ、そうでしょうが。」

「広い意味では、プロモーションだよ」

「なるほど、、なんかこう、和む雰囲気がありますね」

「よく、誰かに似てるって言われるんだけどね」

「ああ、そうかもしれません」

「いや、でも俺カッパだから」

昭和の喫茶店とナポリタン

Photo: show case 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

Photo: "show case" 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

昭和は既に遠くなったか。でも、この鎌倉駅近くの、昭和テイストの喫茶店には客が引きも切らない。

そこに求めるのはアトラクションなのか。であれば、既にそれが日常ではなくなってしまったということか。昭和は既に遠くなった。


などと考えて、ふと見れば、下町であるところのうちの近所にも恐ろしく昭和な感じの喫茶店がある。

しかも、そこはアトラクションとしての昭和ではなくて、リアルの昭和がある。で、なんというか怖くて入れない。夏はレーコーが主力商品だろうし、禁煙でも分煙でもないだろうし、週間なんちゃらみたいな雑誌とスポーツ新聞が常備されているに違いない。


たまに通りかかると、近所のおじちゃん達が結構入っている。怖々看板を見てみると、モーニングとかやってる。個人経営の喫茶店でモーニングを食べたのは、名古屋で一度だけだし、名古屋でモーニングと言えば観光客にとっては十分アトラクションだ。やっぱり、トーストとゆで卵とブレンドみたいなセットなのだろうか。ちぎったレタスに、酸っぱいサウザンアイランドドレッシングがかかっているのだろうか。恐ろしい。

でも、ナポリタンみたいなものがあって、メロンソーダ的飲み物があるなら、日曜の午後にちょっと行ってみても良いかもしれない。週間新潮とか読みながら、ナポリタンを食べるのだ。やっぱりアトラクションだな。

食卓塩の瓶

Photo: table salt 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

Photo: "table salt" 2010. Kamakura, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

食卓塩の瓶は、マスプロダクトのデザインとして完成されている。合理的で、効果的で、無駄がない。

例えば、ゲランド海塩の小さいサイズ(それでも食卓塩の倍はあるが)の紙とプラスチックでできたボトルは、あまり合理的とは言えない。簡単にこけるし、スライド式の開け口はいつも半開きになって、しょっちゅう湿気っている。

その食卓塩の瓶を、緩やかに捻る、ということを誰が考えついただろう。横に写っている味の素の瓶しかり。


僕は、既に完成されたデザインを、テコのように使って、別のものをつくってしまうことが、何かちょっとずるいなと思ってしまうし、どうしても否定的な目で見てしまうのだが、これは素直にやられた感じがする。

誰もが知っている記号がちょっとずれている感じ。キャンベルのスープ缶よりも、日本人にはこっちの方が馴染みがあるということもあると思う。