堀端の桜

Photo: 桜 2003. Tokyo, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX

Photo: "桜" 2003. Tokyo, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX

今年は桜を見に行こう。そう思って、あちこち見に行って、目の前が真っ白になって、うんざりした。

こんなに一生懸命桜を見たのは、生まれてはじめてかもしれない。


桜の名所。周りは、家族や、カップルや、同僚や、友達や、そんな人たちでいっぱいだ。でも、本当に見るんだったら、一人の方が良いかもしれない。堀端に揺れる桜に、ふと漂う妖しい気配はかすかで、その声を聞くには耳を澄ましていなくては。


そういえば、桜の花はほとんど匂いがしない。人の記憶は匂いに結びつくけれど、満開の桜の景色は、まるで浅い夢のように、淡い色だけを瞼に残す。

春の浅い夢だ。

Sony Cyber-shot U40, 5(33)/2.8

Photo: 2005. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10

Photo: 2005. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10

個人的に名機だと思っている Cyber-shot U10 の後継は、U20, U30 と順調に出たものの、U40 を最後にこの系統は製造中止になってしまったようだ。(ひねるカタチの U50、防水仕様の U60 はちょっと毛色が違う)

U10 に不満はないものの、密かに次の世代の U が出るのを待っていた。で、L1 がそれか?と思ったが、でかい、あまりにもでかい。U10 の時に、ビジュアルブックマークというコンセプトを鮮やかに体現した姿はもはやなく、単なるコンパクト機として LUMIX などに対抗するだけの中途半端なカメラになってしまった。


そこで、未練がましく U40 をオークションで落とした。なにせ、2005年に入ってから店頭では殆ど見かけなくなってしまったのだ。

まだあまり使っていないのだが、U10 に比べて改善されている点が多々ある。まず、memory stick が大容量でも起動時間が悪化しない。Duo になってしまったという不満はあるが、AAA サイズの乾電池が使えるという特徴を残して、さらに小型化したのだから仕方有るまい。画は、ノイズが少なくなり、発色も格段に良くなっている。機器として の質感はかなり上がっており、実売で 1万円強のカメラとは思えない。出っ張りのあったストラップ取り付け用の穴は、ひっこんていて邪魔にならない。見にくかった背面の液晶画面は、大きさこそ 変わらないものの、明るくなり、視認性は格段に向上している。白飛びして実用にならなかったフラッシュも、緊急用としては十分に使えるレベル。これだけの 改善を施しながら、サイズは U10 よりも薄く、小さくなっていることは驚異だ。


残念な点は、露出のプログラムオートが、U10 とは違ってシャッター速度をかなり落とすこと。U10 の場合、露出が足りない際には増感処理でしのいでいた(それでノイズが多くなった)ようなのだが、U40 はシャッター速度を落とす。結果として、暗い場面でのノイズ感は減ったが、手ぶれが出やすくなってしまった。このため、実は U10 よりもこのカメラは難しいカメラになってしまっている。ボディが小さいこと、利用シーンとして室内が多いこと、などを考えればこのチューニングは失敗では ないかと思う。

その他、U シリーズの特徴であるオートマクロ、シンプルな操作系、秀逸な画像転送ソフトなどは U10 以来共通のものを継承しており、何の違和感もなく使えるのが楽しい。こういったコンセプトのカメラは、有りそうで無い貴重なもの。製造中止はあまりにも惜 しく、是非、後継機種を出し続けて欲しいと思う。デジカメ文化が浸透した今だからこそ、選ばれるカメラだと思う。

そんな日本の、反戦

アメリカの対イラク戦争を巡る日本の世論は、見ていてとても面白い。イラク攻撃に、反対はする。戦争反対、イラクの女性と子供を守れ。しかし、決して「反米」というメッセージにはならない。そんな日本は、アメリカという主君の乱心をいさめる、忠臣のように見える。

日本のいろいろなところで、反戦デモが行われている。しかし、アメリカがどんなに愚かなことをしようとも、いざと言うときには、その力に頼る以外に 方法はない。だから、決して「反米」にはならないし、「アメリカは出て行け」とも言えない。緊張の続くこのアジアの地域で、ほとんどまともに戦うことを許 されない軍隊しか持たない日本。結局、アメリカ様の威光にすがるしか、生き延びる道がないことを、皆よく知っているのだ。

そんな国の、反戦平和。