遊園地のアリ

Photo: green ant 2009. Tokyo, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

Photo: "green ant" 2009. Tokyo, Japan, Sony α900, Carl Zeiss Planar T* 85mm/F1.4(ZA), cRAW

北京の遊園地で、アリを買ってきた。ちっちゃいアリだが、ニコニコしているので気に入っている。

この遊園地は無断で、「ミッキーマウスのようなもの」をマスコットにして、ディズニーに怒られたことで(少なくとも僕の中では)非常に有名である。あの国以外でそんな事件を起こしたら、即閉園だろうが、性懲りもなくリニューアルして再度開園したらしいので、行ってみた。


で、どうやらネズミがダメというので、急遽アリにマスコットを変更したらしい。あと、芋虫とか。そんなものが人気になるのか?という疑問はあるが、園内を練り歩く普通のトラの着ぐるみに、北京市民が群がっているのを見ると、多分なんでも良いのだろう。

アリは一応、家族という設定になっていて、オフィシャルグッズを集めたお土産店では巨大な青アリと、赤アリ(パパとママという設定の模様)が売られている。どう考えても、海外旅行者が持ち帰るのは不可能な大きさだ。

もちろん全スルーで帰途につく。はずだったのだが、道ばたの屋台の前でふと立ち止まった。屋台のグッズは、お土産店のものよりも格段に安く、比較的 気軽に購入できることもあって、人が群がっている。店先では園内のマスコット(つまり虫だ)をあしらったカードとか、げんこつ棒(なんというか、げんこつ が棒の先にマウントされた謎のおもちゃ。園内では大流行)とか、そういったものが売られている。


そんな中、アリは、ビニール袋に入って、軒先の針金にぶら下がっていた。青アリと赤アリよりずっと小さくて緑色をしている。パッケージのイラストか ら想像するに、設定上は赤ちゃんということになっているようだ。何故かそいつと非常に目が合ったので、買って帰ることにした。アリのぬいぐるみというのは あまりにも斬新だし、小さいし。

かなり埃をかぶったビニールパッケージに入った緑アリは、スーツケースに丁度良く収まり、海を渡った。そして、今はアレッシの綿棒入(緑)や、博多産のカエル(緑)などと一緒に部屋に置かれている。緑色という体色と、まるまるした鼻、上から見た造形などが良い。

僕はいわゆるミッキーマウスとか、それに連なるあのへんのものはとても苦手なのだが、そもそもミッキーマウスは常に笑っているのが良いのだ、という 意見を聞いた。そういうのは、ありそうに思えて、あまり無いらしい。そういう意味では、ニコニコしているこのアリも、なかなか良い。

羊ページ 15年目

Photo: autumn leaf 2009. Saitama, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

Photo: "autumn leaf" 2009. Saitama, Japan, Ricoh GR DIGITAL III, GR LENS F1.9/28.

あけましておめでとうございます。

15年目の羊ページです。


去年は良く歩いた。よく走った。だから、前よりも少し遠くまで歩けるようになった。少し早く走れるようになった。

そんなもんで良いのかな。

では、今年もよろしくお願いします。

インドではメジャーな料理、ビリヤニ

Photo: Biryani 2009. Tokyo, Apple iPhone 3GS, F2.8/37.

Photo: “Biryani” 2009. Tokyo, Apple iPhone 3GS, F2.8/37.

スパイスと羊脂と化石燃料の混ざった臭い。このあいだ、北京の屋台村で嗅いだのと同じ臭い。そうして、店内ではザワザワと色んな国の人々が、食べ物を口に運んでいる。カトラリーを使う人が多いが、手で食べている人も結構居る。ここはリーズナブルでうまい、喧噪と匂いで入った瞬間にそう分かる。


僕はその週、とにかく、ビリヤニが気になっていた。twitter のつぶやきで、心にひっかかった単語ビリヤニ。

ビリヤニはインド料理で、ごく簡単に言ってしまえばカレーとサフランライスの炊き込みご飯なのだが、仕込みがとてもめんどくさいもので(カレーつくって、サフランライスつくって、それからやっと炊き合わせる)、日本のインド料理店ではあまりメニューに載らないのだ。つぶやき主に訊いてみても、ちゃんとしたビリヤニを出す店は限られてしまっているようだ。

どこかで食べてみたいものだ、と思いつつ、友人と晩ご飯へ。待ち合わせ場所がアウェイな所なので、お店は任せた。お勧めがあると、連れて行かれたの は、ヨガの先生に教わったというインド料理店。店内は巷に蔓延る「下品なチェーン系適当インドかパキスタンよく分からない料理屋」とは違う、ブルーの趣味 の良い内装。だが、えらく混み合っていて、匂いと喧噪は強烈だ。ひっきりなしに、客が出入りしている。ふと壁のお勧めメニューの張り紙を見ると、、 「Biryani」えーと、「びりやに?」

あるじゃん。


ここによく来る、という友人はビリヤニを頼んだことはなく、まあ、確かに知らなきゃ頼まないだろう。僕だって、ここ数日で知ったのだ。それに、この店のメニューには、別に詳細な説明が書いてあるわけではないのだから、馴染みが無い日本人にはなんの料理だか想像も付かない。

マサラドーサ、チーズクルチャなどを食べつつ(これらも初めて食べた)、ビールなどを飲んでいると、待望のビリヤニがやってきた。ビリヤニは、ちゃんとバナナの葉っぱの上に乗ってくる。この店のレギュラーメニューはマトンのビリヤニだった。ヨーグルトベースのドレッシングがかかったサラダ(友人はデザートだと言ったが、残念ながらサラダだ)が付いてくる。

ビリヤニの第一印象は、いささかしょぼい意見だが「混ぜなくて良いので、食べやすい」ってこと。カレーとご飯のバランスを気にしないで、良い感じの 味の濃度でモリモリ食える。そして、食べていて、なんとも懐かしい気分になる。ここのビリヤニは、オリジナルがそうであるように正しく超長粒米で作られていて、ご飯の食感は炒飯と混ぜご飯の真ん中のような感じ。スパイスは利いているが、日本人にとっても、安心する味だ。


よく見たら、左隣のテーブルのインド系なメンズ 3名は、全員ビリヤニ単品のみ。右隣も締めはビリヤニ。なんだろう、お袋の味、五目おこわでも食べる感じか。ビリヤニは婚礼などのお祝い料理で作る、とインド料理のサイトには書いてあった。だから、気取った感じの味だと思っていたが、なんか違うかもしれない。むしろ、糞暑いインドで、独身のメンズが日本に於けるラーメン屋の炒飯のようにモリモリ食うのが、イメージに合うような気さえする。

食べたいなぁと、思っていたら、思わずビリヤニに出会えた。そういう日。