時間は誰の味方でもない
強いて言えば、命ある者の味方だ。
写真と紀行文
時間は誰の味方でもない
強いて言えば、命ある者の味方だ。
「Zeiss ゲタ」って有るんじゃないかな。そんな話を、写真好きの人としていて、なかなか面白かった。
どういう事かと言うと、Zeiss のレンズで撮ると、一段いい感じというか、かなり素敵度(不思議度)がアップするのだ。いや、もちろん半分冗談だけれど、Zeiss のレンズにはそんな個性がある。それが自分に合えば、とても良いパートナーになれる。
で、その Zeiss ゲタが入った一枚。伊豆の温泉町のなんてことはない海岸の、肌寒い朝。サーファーが見つめる先に光が差して、昔サイパンで見た、夕暮れのスコールに霞む島々を思い出す景色。振り返ると、伊豆の温泉町なんだけどね。
旅に出ると、いいなぁと思う一枚が撮れることがある。それって、その時の自分の気分とかが大事な気がする。
あまり打算的に撮ると、ろくなものにならなくて、ベタベタな言い方をするとあまり考えずに素直に撮った方がいい結果になる気がする。
(おもしろいことに、買ったばかりの慣れないカメラで機材に振り回されながら撮ると、意外とよく撮れる。上手く撮ろうと考えない、それが大事なんだろう)
起き抜けに、カメラを構えて適当に近くの海岸を撮った写真。今回の旅で僕が一番気に入った写真は、(まあ、ただの海岸線ではあるのだが)なんとなく湿った朝の気配を含んで、夏の雲が輝いていた。こんな写真とったかなぁ、というような、そんな思いで眺める。
どうやったら良い写真が撮れるの?ということをたまに聞かれるが、やっぱりそれは沢山シャッターを切ることなんじゃないか。で、意外とどんな風に撮ったかも覚えてないような、そんな何気ないタイミングの写真こそ、現像からあがってきたポジを見て、えらくビックリするいい一枚になっている。
自分がつくりだしたものを、ちょっと嬉しく思う。自分の気持ちを含んだものが、形としてできあがってくる。そういうのは、やっぱり良い。