中国からの観光客が絶えて、静まりかえった築地。その向こう側に広がっているのは、豊洲の貯木場跡らしい。
一時のことかと、この時は思っていた。しかし、それから数カ月に渡って、この東京の不思議な姿を、眺め続ける事になった。
見るものが居ない桜が散って、海へと運ばれていった。
写真と紀行文
中国からの観光客が絶えて、静まりかえった築地。その向こう側に広がっているのは、豊洲の貯木場跡らしい。
一時のことかと、この時は思っていた。しかし、それから数カ月に渡って、この東京の不思議な姿を、眺め続ける事になった。
見るものが居ない桜が散って、海へと運ばれていった。
近所の、いまにも崩れそうな長屋に入った豆腐店。歩道を覆うように、軒が伸びていて、その上に夏は夕顔が咲き誇る。さしずめ、昭和のファサードと言ったところか。
「気がついたか」
屋根?っていうかファサードに居るのは初めて見ましたよ
「お前が気がついてなかっただけだよ」
大きくなりましたね。初めて見たときは子猫だった
「なに大人ぶってんだ。お前なんかより、よっぽど色々見てんだぞ」
すみません
「俺たちが見えないような生き方はろくなもんじゃないぞ」
ん?
「見えてるのに、見てないんだ」
そうか。。そんなもんかもしれません。今日は、会えて良かった。
「ああ、じゃあな」