「地雷を踏んだらサヨウナラ」

Photo: two contax cameras
Photo: two contax cameras

浅野忠信 主演の「地雷を踏んだらサヨウナラ」を見ていた。

戦場カメラマン 一ノ瀬泰造(通称:Taizo )を題材にした映画だ。カメラマンってあんな風に撮るんだなぁ、とか思いつつ。


船上で、燃え上がる積み荷を消火する男達。それを撮る Taizo に罵声が飛ぶ、
「お前も消せ、誘爆するぞ!」
「俺の仕事は撮ることだ、お前は火を消せ、俺は撮る」

本当にそんな風に言えるものだろうか?あるいは、そんな言い方が正しいのだろうか。よく分からない。

まあ、今年も写真を撮ろうかなと、思っている。

注1.浅野忠信のご飯のたべっぷりが気持ちよい映画です。やっぱ Nikon かぁ、とか思ってしまいますね、一瞬。
注2.映画の舞台はカンボジア。それっぽい背景で CONTAX を撮ってみました。

年の瀬

Photo: 2000, Kyoto, Japan, Nikon F100, Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film, F.S.,
Photo: 2000, Kyoto, Japan, Nikon F100, Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film, F.S.,

季節感もなにもなく、年の瀬。

仕事納めの日。いつもの月末と同じように、ほったらかしにしておいた精算やらをまとめてやって、いつものビストロに行って早めの晩飯を食べる。疲れているせいか、あまり喰えない。卵の薫製とか、そんなものを少しづつ食べる。
「もう今年は最後ですから」

と、主人が残りのケーキをありったけ盛って出してくれた。


年の瀬のある日。

京都、塀の上を見上げると、職人が松を整えていた。研いだ植木鋏が、鋭い音をたてて枝を刈り込んでゆく。高い空に、青々とした常緑樹の葉が清々しく、新年を迎える準備として、とても好ましいように思えた。

年々、薄くなっていく季節感。それは、僕が年をとっていくせい、だけではあるまい。


ちなみに、羊ページ管理者は年越しは、MXテレビ を見ております。あらゆる意味で、面白いです。

皆様、良いお年を。

注1. MXテレビ。東京周辺で主に視聴可能な放送局。ある意味恐いものナシ、失うものナシの企画力が凄い。また、日本でも数少ない、完全ノンリニアの放送局(だったはず)

「外資系」ホテル

Photo: 2001, Yakushima, Japan, Nikon F100, Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film
Photo: 2001, Yakushima, Japan, Nikon F100, Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5D, Fuji-Film

とりあえず、泊まる所を確保しなければ。で、そのリゾートホテルってやつはどうなんでしょう?民宿より快適じゃないのかなぁ?

「あのホテルはさぁ、島外の資本だからね、あんまりお勧めしないよ」

と観光センターのおっさんは言った。島に着いた日の午後のことだ。狭い島の中にあって、利益は連鎖している。早い話、客を回し合っている。その鎖の外に位置する「外資系」ホテル(国外という意味ではなくて、鹿児島の資本)は、あきらかに歓迎されていない。おっさんは続ける。

「民宿とかに泊まって、屋久島にどっぷり触れて欲しい、人と出会って欲しいんだよ、知り合いの民宿に電話してあげるから」


うんざりだ。

俺は休暇に来たのだ。ゆっくりできる、ケアの行き届いたホテルがいいのだ。旅行者と語り合ったり、ほのぼのと食器の片づけを手伝ったり、洗面所の流しを譲り合ったり、そんなことをしに来たのではない。俺はぜったい、その島に唯一のリゾートホテルに泊まる。観光センターのおっさんが否定すればする程、我々はそのホテルに泊まろうという意思を強固にした。

もちろん、観光センターはその「外資系ホテル」を紹介してくれなかったから、僕たちは飛び込みでホテルの駐車場に乗り付け、その場で部屋をとった。(思ったよりも、全然安かった)


結論から言えば、その外資系ホテル いわさきホテル は、良い宿だった。広く快適な部屋、教育の行き届いたスタッフ。正直言って、この僻地に、このようなホテルがあることは意外だった。オフシーズンの静かなホテルでは、一人旅とおぼしき女性が、夕暮れの海を一望できるロビーでゆっくり本を読んでいた。6階まで吹抜のホールには、大きな屋久杉の模型が、佇んでいる。目の前の海は、夕日を受け、まるで油を流したように輝いていた。

よくよく聞いてみれば、屋久島の自然をモチーフにしてなんとかいうアニメをつくった「あの監督」や、ここの自然にインスパイアされて曲をつくった 「あのミュージシャン」も、みんなこのホテルに泊まったという。自然を満喫するのに、わざわざ快適なベットや、水洗トイレを放棄することはない。そういうことだろうか。

そして食事。メインダイニングのレストランは予想以上に良かった。安くはないけれど、地の材料にきちんと細工をした料理には好感が持てた。山ほどバターを使った、屋久島産旭蟹のビスクスープは、記憶に残る心楽しい味だった。僕らは、夕食時にはちゃんと山から下りてきて、ここでご飯を食べるようにした。


「お客様、もしかして髭を召し上がられてますか?」

「は、はぁ」

夕食に注文した伊勢エビのグラタンは、殻を使ってなかなか綺麗に盛りつけられていて、ぴんとはった髭は、特に香ばしそうに見えた。だからポリポリ食べていたのだが、、。

「そ、それは、、食べられません、、」

それを食べたお客は、

「はじめて見ました、、」

確かに、枯れた珊瑚みたいな味がした。