
都心の桜も結構綺麗。特に、空襲を逃れた皇居のまわりの桜は、樹齢も古く堂々としたものだ。空襲?それは、はるか昔のことだけれど、そんな歴史も、やはり今日の街並みをつくる傷の跡。
去年の桜の時期に撮った写真、結構綺麗だったのにお蔵入りしていたので、載せておく。今年は、あまりちゃんと撮りに行けなかった。その代わり、花見はちゃんとした。堀端を歩いて、近くの縁日で鮎を食べて(塩辛かった)、馴染みの店で白アスパラとビール。桜は長持ちするけれど、少し肌寒い春だ。
都心の桜も結構綺麗。特に、空襲を逃れた皇居のまわりの桜は、樹齢も古く堂々としたものだ。空襲?それは、はるか昔のことだけれど、そんな歴史も、やはり今日の街並みをつくる傷の跡。
去年の桜の時期に撮った写真、結構綺麗だったのにお蔵入りしていたので、載せておく。今年は、あまりちゃんと撮りに行けなかった。その代わり、花見はちゃんとした。堀端を歩いて、近くの縁日で鮎を食べて(塩辛かった)、馴染みの店で白アスパラとビール。桜は長持ちするけれど、少し肌寒い春だ。
五島列島には、カトリック系の教会が沢山ある。なかでも、ステンドグラスが綺麗な教会があるらしい、だから行ってみることにした。
夏の盛りの恐ろしく暑い午後、周囲の道にほとんど案内もなく、トウモロコシ畑の中を散々行ったり来たりしてようやくたどり着く。教会は別に観光のためにあるのではない、だから分かりやすい表示もない。けれど、観光ガイドには載っている。
教会には、誰もいない。窓に強い日差しが当たり、締め切られた室内には熱気がこもっている。扇風機をつけると、空気が動いて少しだけ涼しくなった。
ステンドグラスは、多分に日本的な幾何学模様で線対称にデザインされている。その向こうには、蘇鉄の葉が揺れている。
ローマ、バチカンに実際に行ったこともあるけれど、やっぱり日本と全然違う文化と歴史があって、その上にはがっちりと、キリスト教が「生きて」 いた。選択としての宗教ではなくて、文化・文明の規定値としてのキリスト教。そこから、遙かに離れたこの場所に教会が建っていて、ステンドグラスがはめ込まれていて、イエスキリストの信仰を守る人たちが居る。遠い遠いこの土地で、その有り様は、やはりバチカンのそれと同じであり得るのだろうか。
ひっそりと薄暗い祭壇には、イエスキリストの十字架が掲げられている。こじんまりとした、人の生活を感じる祭壇だ。それにしても、ここは遠い。遙かに。
新宿の本屋をうろうろしていると、平積みのベストセラーの上に、一冊だけ、放り出されたように写真集が置かれていた。誰かが手にとって、そのまま置き去りにしたんだと思う。
タイトルの Deep South それは、アメリカ深南部のことだと思ったが、中身は沖縄の写真集だった。パンフレットにあるような南の楽園、というのではなくて、強い太陽のもと、いろんなものが decompose していくような、そんな空気をよく撮していた。
たまたまそのあたりで買い物をしていた友達をつかまえて、樽のギネスを飲みながら、簡単な食事がとれる店に行く。向こうは、明日に迫っているらしい 原稿の締め切りが気になるのか、話はいまいちはずまない。僕は僕で、今日は根津のあたりに行ってみて、なにか面白いものは撮れないか、試してみたけれど、 結局一度もシャッターを切らなかった。だから、あんまり話すことはない。
フライにしたマッシュルームと(意外と美味しい)、ジャンバラヤみたいなものをつつきながら、気になって結局買ってしまったその写真集を、パラパラと眺める。沖縄の湿気を含んだ、生温い空気がこみ上げてくる。ちょっとギネスを飲んで冷やす。今日は、さっさと帰ろうか。
注: DEEP SOUTH―野村恵子写真集, 1999, リトルモア, ISBN: 489815011X.