ロンドン塔

Photo: 1995. London, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

Photo: 1995. London, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

ロンドン塔の窓から、テムズ川に架かるタワーブリッジを眺める。一般には、「ロンドン橋」と勘違いされている、この橋。童謡でおなじみのロンドン橋は、もっと下流にあるそうだ。普通、ロンドン塔の横にあれば、ロンドン橋だと思うわな。

2月のロンドンは、本当に陰鬱な気候。冷たい雨と、湿り気のある風。一瞬の晴れ間はその分気持ちがいいのだけれど、あまりワクワクするような場所ではない。

あげくの果てに、ほとんど唯一の観光名所が石造りの墓場みたいなこの「ロンドン塔」ときては、、。

ただし、この塔の見所は、鬱々とした石垣だけではない。中にある、英国王室の財宝を展示したコーナーは、是非行ってみるとよい。(ロンドン塔に来て しまったら、という話しで、わざわざ見に行くことはないが)世界最大級のダイヤモンドをあしらった、エリザベス女王の王冠や、黄金の塊の杓など、真の金持 ちの宝物が見られる。

ロンドンは夏に行くこと

Photo: 1995. London, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

Photo: 1995. London, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

ほとんど唯一の観光名所ロンドン塔。

新米衛兵が一人で行進の練習中。妙に固い動きで、同じ所をくるくるまわっている。時々、間違えてやり直したりして。妙に必死なのが、面白いというか、かわいそうというか。でも、つい撮ってしまった。

なるほど、こういうところで練習してるんだ!

いつの日か彼も、バッキンガム宮殿で行われる衛兵交代の任務に就くことになるのだろうが、なんか道程は遠そう。

ところで、よくよく見てみると、衛兵の服装が見慣れた赤い服ではない。そう、衛兵の服装にも、夏服と冬服があって、これは冬服の方なのだ。鮮やかな 真紅の衣装に、黒テンの帽子、という姿を想像していると、がっかりするかもしれない。赤い衛兵を見たかったら、ロンドンは夏に行くこと。そうすれば、ねず み色の服を着た衛兵が、鼻水をたらしているのを見て、幻滅しないで済む。

台湾の人形劇団

Photo: 1995. taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

Photo: 1995. taiwan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38

指人形が、人形師の手から飛んだ。少女の視線が釘付けになる。艶やかな衣装を纏った人形達が、名人の手の上で、踊り、歌い、そして空を、飛んだ。

コンマ数秒後、人形は操り手の指に、寸分の狂いもなく戻る。宙を舞う人形に息を飲んだ子供たちから、歓声が上がった。


ここ台湾に於いて、人形劇の芸術としての地位は高い。人形劇専門のテーマパークのような場所があり、そこには大人から子供まで、幅広い層のお客が訪 れる。写真の中で人形を操っているのは、その人形劇公園(?博物館ではない、死んだ文化ではないからだ)の主宰を勤め、そして台湾の人形師の最高峰にある 鍾任壁氏。彼は、かつての国民党総統の前でも演じたという。


鍾さんの演じる人形劇の素晴らしさは、こういったものに全く興味の無いはずの、僕を感動させた。それは、人形師の卓越した技と表現力だけによるので はない。見学に来た子供たちの前で、心から楽しそうに演じる人形師。そして、時には息を飲んだり、歓声を上げたりして喜ぶ子供達。みんな真剣で、そして楽 しそうだった。そして、僕も楽しかった。

そんなことに、心を動かされたのだった。