アジアの向こう側のフィッシュ & チップス

Photo: "Fish and Chips."

Photo: “Fish and Chips.” 2016 Sidney, Australia, Apple iPhone 6S.

時差は無いけど直行便でも 10時間。近いような、遠いような、よく分からない国、オーストラリア。白人がマジョリティーを占める、アジア太平洋の国。言葉で言うと簡単だが、実際に目にするとなんとも奇妙な印象を受ける。

ビーチ沿いのレストランは、パラソルもソファーも、センスが良い。焼けるような日差しを避けて、傘の陰に席をとって、何を食べようか。イギリス文化圏なら、きっと美味しいに違いない Fish & Chips にしよう。

オーストラリア全体的に感じるのは、どこも値段が高いって事。あるいは、日本の経済的立場が弱くなっているからそう感じるのか、それとも、世界的に貧富の差がハッキリして高級品はどんどん高くなっているのか。多分両方だろう。


味は悪くない。ピクルスが水っぽくて巨大だったり、フィッシュがおかずで、チップスが喰いきれない量入っているのも欧米文化。ソーダで Fish & Chips といのも、なんだか割り切れない気分だが、浜辺の風は気持ちいい。

ここで一緒に、Fish & Chips をつまんだ同期が、この後直ぐに辞めていった。それはそれで、人生の分岐点。(と思ったら、戻ってきた)

夏休みと人生はだいたい似ていると思った

Photo: "Beautiful parasols in Bondi beach."

Photo: “Beautiful parasols in Bondi beach.” 2016 Sidney, Australia, Richo GR.

ふと、人生は夏休みたいだな、と思った。そして、もっと早くその事に気がついていたら良かったのに、誰かがもっと早くにそう教えてくれたら良かったのに、とも思った。夏休みは、人生の初期の段階で体験する。だから、それがこれからの人生の相似形であることに早くから気がついていたら、もっと素直にいろんな事を理解できた気がする。


夏休みと人生は似ている。夏休みにはリミットがある。人生のリミットは誰にも分からないけれど、200年生きる人は居ないから、やはり最初から終わりが有る。そして、常にカウントダウンは刻まれ、それが進むにつれて、焦りが増えてくる。夏休み最後の一週間は、けっこう嫌な気分だ。もう楽しいことは先にあまりない。やり残した宿題だけが残っているかもしれない。人生も似ている。

夏休みと人生は似ている。いろんな過ごし方ができるし、毎日はなんとなくくり返されていく。その長いようで短い時間は、やったことだけが積み重なる。1日目に立っていた場所と、最後の日に立っている場所は、やっぱり違っている。沢山の事をする人も、何もしない人も居る。周りがやっているような事をなぞっていたら、なんとなく休みが終わる。そんな夏休みもあるだろう。人生も似ている。

夏休みと人生は似ている。楽しい夏休みもあれば、孤独な夏休みもある。周りの人、家庭の状況、いろんな初期条件や外部要因がそれを左右する。もちろん、自分がどう過ごすかでも、変わってくる。あるいは、意外と自分の手の及ばないところで、物事が流れていってしまう感覚。人生も似ている。

夏休みは何回かやってくる。それに比べて人生は1回で終わり。でも、その分長めの時間が用意されている。

ウォンバット

Southern Hairy-nosed Wombat's nest.

Photo: “Southern Hairy-nosed Wombat’s nest.” 2016. Taronga Zoo, New South Wales, Australia, Apple iPhone 6S.

オーストラリアに来たからには、ウォンバットを見なくてはならない。そもそも、オーストラリアの動物園は、木もたっぷりしていて、人間が見やすいと言うよりも、動物が隠れやすいようにできているようであり、動物を見つけるのが難しい。その点は、いかにも「欧米」な感性で作っている。

さて、ウォンバットはさっぱり出てこない。塀から身を乗り出してのぞき込んでいると、

「あんたたち、暑いからウォンバットはみんな穴の中だよ!」

と、親切なオーストラリアのおばちゃんが教えてくれる。もっさりした茂みの下に巣穴があるらしいが、強日差しを避けて穴の中らしい。その場で 20分ほど粘ってみたが、やっぱり出てこなかった。

おばちゃん曰く、

「私の夢は、ウォンバットを飼うことなのよ。」

そんな話をして、翌日、僕の夢は、カピバラを飼うことだったのを思い出した。