LS-5000で全数スキャン、を考える時に、どのような保存フォーマットをとるかを決めなくてはならない。アナログフィルムの量子化はつまり、どうやってアナログのデータをそぎ落とすかということであり、方法次第でそのデータの寿命と品質が決まってしまう。
LS-5000は最大で4,000dpi(2,300万画素相当)、48bitカラーでのスキャンが可能だ。更に、色空間プロファイルも複数選べる。そして、Digital ICE4, Digital GEM等のデジタル処理も出来る。Webを彷徨って調べてみると、どんな設定でスキャンするか、結構みんな悩んでいるようだ。
で、色々試してみたが、最終的に以下の設定でスキャンすることにした。
■解像度→4000dpi
オートフィードとは言っても、全数スキャンには相当の手間がかかる。そうそうやり直したくはないので、解像度については目一杯の4,000dpiとした。
■色深度→24bit
各色16bit取得で最大48bitまで可能だが、4,000dpiで48bitだと1ファイル120MB以上のサイズになってしまう。また、モニタやビデオカードも普通24bit色深度なので、今回は24bit取得とした。
■Digital ICE→標準
Digital ICEはかなり便利だ。カラーポジ、カラーネガについては使用。残念ながら、モノクロネガと、コダクロームには使用できない。
■Digital ROC→OFF
退色したネガフィルム用の色調補正だが、これは使用しない。幸いネガの保存品質がかなり良かったので、補正は必要なかった。
■GEM→2
グレインノイズ低減オプション。処理はPC側で行われるため、CPUパワーが必要。モノクロネガと、カラーネガにのみ、設定2でかけている。とにかく、処理に時間がかかるが、特にカラーネガについては、独特の暖かみのある質感になって好ましい。
■カラープロファイル→sRGB
最も一般的なsRGBを選択した。例えばAdobeRGBのような、より広いプロファイルを選択してみたい気もするが、その色域では普通のモニタでは見えなくなってしまう。10万円のスキャナの画像を表示するのに、50万円のモニタを買うのか、という話になるので、やっぱりsRGBだ。
■ファイルフォーマット→TIFF
LS-5000はRAWでの取得も可能だ。しかし、フィルムスキャナのRAWが読める汎用ソフトは無い(多分、Nikon純正のアプリならできるのだろうが)。そう考えると、ここは最も汎用的なTIFF(なんと、元はAmiga OSのデータフォーマットなんだって!)にしておくのが賢いだろう。ということで、TIFF。
さて、ここまでの条件を総合すると、写真1枚あたりのファイルサイズは、なんと約70MB!になる。36枚撮りをスキャンすると、2GB以上。さて、そんなものを簡単に処理できるのだろうか。できない。表示させるだけで、数秒。下手なアプリで開くとクラッシュする。
しかも、Digital ICEや、Digital GEMはPC側でソフトウェア的な処理が入るので、解像度が上がると爆発的に要求される処理量が増える。なにせ、2,3000万ピクセルを処理するのだから無理もないが、、。
ここまでやってみると、少なくとも手持ちのPentium4マシンではまったく太刀打ちできないことは分かった。1枚スキャンして処理するのに数分。ディスクも全く足りない。
つまり、次に僕がやるべき事は新しいデスクトップPCを組み立てることだった。そうなのか?
続く。
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続LS-5000 そして保存方式を考える
今回のフィルムスキャン用のシステム導入にあたっては、Webの情報に色々と助けられた。まあ、今の時代にフィルムスキャナを新規に導入したいという人は多くはないだろうが、せっかく集めた情報なので、まとめて書いておくことにする。
LS-5000を使ってみると、フィルムのバッチスキャンが非常に快適であって、Dimage Scanを使用していた時には、とても試そうという気にならなかったある事に挑戦してみたくなる。つまり、手持ちのフィルムの「全数スキャン」だ。
今まで僕は撮ったフィルムについては、ネガ・ポジ関係なく、スリーブ仕上げで現像のみの処理にしている。それが一番かさばらないし、費用もかからないからだ。(スライドマウントにすると高いよね、、かさばるし)で、それらのフィルムは、めぼしいコマをスキャンしたら、そのまま防湿ケースに放り込んでおく。そして、気がついたらケース一杯の、何が何だかわからないフィルムがそこにあるという事態である。
一体、何本あるのだろう?200本数えて嫌になった。(そして、もっと有ることが分かった)これをまずは整理して、ファイルしないと、とてもスキャンする作業は無理そうだ。ということで、フィルムスキャナを買った僕が次に悩むことになったのは、どんなファイルにフィルムを整理するかということだ。
新宿ヨドバシカメラのカメラ館(そう、ヨドバシカメラは、家電量販店ではなくて、もともとカメラ屋だ)の地下には、額縁やフィルム用のファイルなどがかなり充実している。今回探すのは、スリーブで36枚撮り(6コマ切り x6)を単位に収納可能なファイルだ。
フィルム用のファイルは、色々種類があるが、以下の点にポイントを絞って、コクヨの「 ネガアルバムB4天とじ具2穴35mm片面乳白20枚(ア-201D)」を選択した。写真関連のメーカーが出しているアルバムもあったが、値段が少し割高で(こういう一般には売れないものは、本当に割高だ)、文具系のメーカーの製品の方が供給も安定していそうなので、コクヨにした。
・コメントを入れたタグを入れることができる
(タグを入れる紙は、上部ではなくて、下部でないと後から見つけにくいことが分かった。めくってみられないから。コクヨは下部にある)
・横綴じではなくて、縦綴じ
(横綴じは扱いがやっかいなように思えた。でも縦綴じも、あんまり良くないかも。)
・スリーブフィルムが入れられる
(スライドマウント用は結構あるのだが、スリーブ用は実は選択肢が少なかった。コクヨは片面乳白色と、透明の2種類が選べる。乳白色の方は、ネガフィルムに、透明はポジフィルムのスリーブを入れるのに向いている)
・遮光できるケースに入っている
(残念ながらコクヨは遮光できない。紙箱に入っているものが多いようだ)
・台紙の追加ができること
(コクヨは20枚入りで、50枚収納可能だ。リーフレットは別売されている)
なんやかんやで、1万円近くしたが、フィルムをきちんと保管できるのであれば、仕方がない。あとは丸二日がかりで、フィルムファイルに詰め替える。これはかなりシビレる作業だが、これを更にスキャンするとなると、、。
続く。
戦ふ兵隊
戦意高揚映画の体裁をとっているつもり(それっぽい字幕が入る)だそうだが、普通に反戦映画。
ナレーションは無くて、現場の音声だけが入る。
前線の司令部の様子を fix で 10分撮ったシーン。兵士から淡々と報告があり、指揮官が淡々と指示を出す。そこに興奮はなくて、緊張感の漂う、努めて冷静な現場。でも、弾丸にあたった兵隊が運ばれてくる。日本人が闘っている。リアルに日本人が戦争をしていることが、とても伝わってくる。
シーンは変わって、なんか朝礼みたいに見える。長屋の軒先みたいなところでやってる。
「あ?、またやってんの?」みたいな感じで、現地のおばちゃんが見切れている。
なんだろう、テイストとしては、ナレーションの無い、「日本紀行」みたいな感じ。でも、戦争をしてる。何でも日常になって、なんでも人生になる。レンズは、その日常と人生から距離を置いて、あくまで冷徹にそれらをフィルムに焼き付ける。その距離が、美しさ、さえ感じさせる映像をつくる。でも、それは残酷でもある。
伝わってくるリアリティーと、怖さみたいなのをどう言ったらいいだろう。例えば、映画とかドラマの爆発シーンて油が燃えるような派手な炎が上がるけど、実際の爆発って、粉っぽい埃みたいな煙が一瞬にして上がって衝撃波で周りが震える。ホンモノの方がよほど地味なんだけど、重くて怖い。