「ズームイン朝」

Photo: 新宿サザンテラス 2001. Tokyo, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Kodak EBX.

Photo: "新宿サザンテラス" 2001. Tokyo, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss Sonnar T* 2.8/35, Kodak EBX.

テレビの朝の番組というのが、どうも好きになれない。

時間にせかされながら、毎日同じ事の繰り返しだった、義務教育の頃を思い出すからだ。毎日見ていると、だいたい
「あー、このコーナーがはじまったからトイレにいかなきゃ」
とか、
「げげ、これでは遅刻だ」

とか、分かるようになってくる。お天気のコーナーが終わるやいなや、家を出て、坂道の続く駅までのコースを歩き、決まった電車に乗って、いつもの友達と待ち合わせて、、。

そういう、決まり切った儀式みたいな毎日が、あまり好きになれなかった。


だから、今はラジオとか、CDとか、あんまり朝っぽくない関係ないものを適宜聞いたりしている。こっちの方が、よほど快適だ。なんで機械的にテレビをつけていたのか、よく分からない。


ちなみに、CNN で American Morning という番組をやっていて、テイストがまったくもって「ズームイン朝」であることに驚く。司会者の後ろがガラス張りになっていて、外の通りがそのまま写っているのまで同じ。

こんなものを見ながら、朝のコーヒーをすする生活、というのがきっとアメリカにはあるのだろうな、と思いながらたまに見ている。

ちなみに、日本で見るとだいたい夜の10時ぐらいからのオンエアなので、違和感たっぷりで楽しい。なんでお前ら、そんなに朝なんだよ、と思う。


注:もはやズームイン朝って、名前が変わっているんですね、、それぐらい見てないということだが。

百葉箱

Photo: 雨の径 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

Photo: "雨の径" 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

雨の匂いをかぐと、最初に通った小学校の景色を思い出す。

外に出られない雨の日、渡り廊下から外を眺めると、コンクリートで固められた灰色の中庭に、白い百葉箱が見えた。教室にも廊下にも、雨の匂いが充満していた。

いつも一緒に遊んでいる仲間達も、雨の日はちょっとバラバラ。晴れたら、また遊ぼう。

そういう暮らしが、ずっと続くんだと思っていた頃の記憶。暫くして僕は、親の仕事の都合で見知らぬ土地の学校に移り、二度と戻らなかった。


朝、バス停までの裏道は舗装が悪い。道はところどころ大きな水たまりに占領されていて、僕は花壇になっている分離帯の上をバランスをとって歩く。スーツ姿でやることじゃないけど。

踏み外さないように、バランスを崩さないように。

雨の匂いはきっと変わっていない。僕だけが、変わった。

居酒屋「どん底」

Photo: バケツ 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

Photo: "バケツ" 2003. Tokyo, Japan, Sony Cyber-shot U10, 5mm(33mm)/F2.8, JPEG.

新宿某所。

雨だ、雨が降ってきた。歩くのはもう疲れた。

客引きは、こっちが弱っていると見るや、執拗に声をかけてくる。視線をあいまいにしながら、彼らをよけて歩く、歩く。

傍らのゴミ箱には赤字で「どん底」。ゴミ箱の主が、そういう名前のお店だから、仕方ない。つたの絡まった、「どん底」の入り口が、おいでおいでしている。


結局、僕達は「どん底」を回避し、近場のバーで豆のシチューとクスクスを食べた。存外にたっぷりしていて、しかも美味しかったよ。

注:居酒屋「どん底」に行ったことはないが、きっと悪くない店なのだと思う。行ったことはないが。