縁台とかき氷(牛に引かれて善光寺参り)

Photo: 縁台とかき氷 2005. Nagano, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

Photo: "縁台とかき氷" 2005. Nagano, Japan, Contax RX, Carl Zeiss Planar T* 1.4/85(MM), Kodak EBX.

友人曰く、手塩にかけて育てた後輩が、会社を辞めることになったらしい。自分が付けているのと同じお守りを請われて、記念に買ってやると言う。それは、善光寺で売られている。

善光寺って、「牛に引かれて善光寺参り」の善光寺ですか?どこにあんの、それ。


東京から 200km ちょっと、善光寺は長野にある。後輩のためにわざわざ善光寺までお守りを買いに行く友人に、温泉がてらつきあうことにした。なんかよく分からないけど、牛とか居るかもしれないし、カメラも持って行く。

昨日まで降っていた雨は上がり、長野に着く頃には太陽が眩しく輝き始めた。肌がヒリつく乾いた空気と、強い太陽。人出は思ったよりも少なくて静か だ。境内の外れで、涼しげに翻る「氷」の文字が誘う。氷はカチッと硬く、それだけで仄かに甘い。水がいいんだろうね、と話をする。


いつか見た景色のような蓙引きの縁台と、かき氷。それを楽しめる自分が、少し嬉しく思える。

注:絶対メロン味を頼んでしまう。

あっちのステーキ

Photo: ステーキ Tokyo, 2005. Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

Photo: “ステーキ” Tokyo, 2005. Contax i4R, Carl Zeiss Tessar T* F2.8/6.5.

オサレ街での仕掛け仕事が終わって、一段落。4時過ぎに起き出して、働きっぱなしだったから腹が減ったよ。ホテルの上の方に上がって遅い昼食。


大きな石造りのテーブルが据えられたオープンキッチンのステーキハウス。店の中央にウォークスルーになったガラス張りの肉ケースがある。そうなると、がぜん肉の気分になって来る。アメリカ出張で散々肉を食ってきた友人の話が頭に残っていて、あっちの感じのステーキが食べたかった。霜降りの和牛もあったが、さっぱりしていそうなオーストラリア産の肉を選ぶ。

ホテルの中層階にあるこのレストランは、真ん中が吹き抜けのテラス席になっていて、なんとなくのんびりする。彼方の席では、子連れのセレブなアジア系奥様 2人が遅い午後のお茶を楽しんでいたり、身なりの良い老婦人が娘を伴って食事に来ていたり。なるほど、そういう生活のそういう日常がある場所か。


アルコールはとらずに、ペリエを飲み(最近なんか流行ってるの?)サラダを食べながら待つこと 15分、行儀の良い野菜で腹一杯になった頃に、肉が運ばれてきた。上品な白皿の上に、どどっと乗っている。薪の火で焼き上げられた肉は、焦げ気味に見える程きちんと火が当たり、厚みもある。木の香りと塩で十分に風味が付いていて、4種類ついてくるソースはいらないぐらい。付け合わせの蒸したアスパラガスが、そのへんで売っているものとは違う一段美味しいもので一同驚く。12オンスのオージービーフサーロインは脂が少く、切っては食べ、切っては食べしていると、割と易々と腹に入った。


テラスから入る外気と、ひんやりした空調の風が混ざって、意識が遠くへ。甘いもので目を覚ます。タルトを小さめのホールでとったら、ボウルに入った山盛りのホイップクリームと、自家製のマンゴー・アイスクリームが 1カップ付いてきた。ふーん、どうやって盛りつけてくれるんだろう、と皆で 5分ほど眺めていたら、「お客様にお取り分けしていただいています」だって。

なるほど、セレブでもアイスは自分で取り分けるのか。

バニーガール

Photo: みみ 2005. Sony Cyber-shot U40, 5mm(33mm)/F2.8

Photo: “みみ” 2005. Sony Cyber-shot U40, 5mm(33mm)/F2.8

結婚式やら、二次会やら、というのが苦手だ。なるべく逃げ回り、出ないようにしている。そこにはあらゆる言い訳が存在するわけだが、気が置けない人からの誘いには率直に「そのような集まりが苦手なので」と申し上げるようにしている。

でも、ジャズシンガーの二次会ってどんなことになってんだ?という好奇心に負け、久しぶりに行ってみた。駅にほど近いカフェ。オサレ家具と、一面ガラスの壁と、吹抜の高い天井。事前に何か「やる」と聞かされていたが、舞台も無く何をするんだろう、歌は歌えないよね。


シャンパンで乾杯して普通の感じで始まったパーティーは、しかし、新婦お色直しでバニーガール(黒)で登場して一転大騒ぎに。銀のお盆にビンゴの景品を載せて螺旋階段から登場。

バニーの本物初めて見たよ。白いしっぽも付いてんだね。

このコスプレ(?)は、「これが最後のチャンス」という本人たっての希望だったらしい。ここ一番の舞台って、いろんな事をしたいと思いながら、結局 普通の方向に流されてしまうけど、実現させるのって偉い。女子にとって、バニーを着る壁がどれぐらいのものなのか、よく分からないけど、この日のバニーは スターなバニーだったな。

注1:意外と、一度はバニー着てみたいという女子の意見が多い。そんなものなのか。
注2:気が置けない – 気詰まりでない。気づかいしなくてよい。#近年誤って、気を許せない、油断できないの意で用いることがある。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]